【120】ラス・エル・マの清流と展望台、モロッコ人学生と歩く青の街シャウエン(2025.8.7)

モロッコ

午前8時、涼しい空気の中、青い街シャウエンを歩き始めた。

まずは地元の人に人気のカフェで、もちもちのムセメンと穴あきパンケーキのバグリールを朝食に。

ミントティーと搾りたてオレンジジュースで、幸せな一日のスタートを切る。

食後はメディナを抜け、澄んだ水が流れるラス・エル・マへ。

小川沿いのにぎわいを横目に、さらに奥へ進み、丘の上の展望台を目指す。

そこからは白と水色の家々とリフ山脈の稜線が一望でき、防衛都市だった往時の面影が感じられた。

展望台で出会ったタンジェの大学生、ウサマとキャメルと意気投合し、街を一緒に散策。

天然冷蔵庫のような川で冷やされたオレンジジュースを味わい、カスバ博物館や青い路地で写真を撮り合うなど、観光以上に心温まる時間を過ごした。

夜はお気に入りのレストランでアンチョビタジンとスパイシーなジュースを堪能。

人との出会いが、街の景色をより鮮やかにしてくれた一日だった。

朝のシャウエン散策とローカルカフェの朝食

Café hala chefchaouen

朝8時。

今日は午前中の涼しい時間を狙って観光へ。

まず向かったのは、地元の人にも人気のカフェ「Café hala chefchaouen」。

ここでモロッコらしい朝ごはんをいただく。

ムセメン&バグリールの朝食

朝食はモロッコ定番のパンケーキ2種。

「ムセメン」は折りたたんで焼くもちもちの平パン。

「バグリール」は表面に穴がたくさん開いた、ふわふわ食感のパンケーキ。

どちらもチーズやハチミツを添えるとさらにおいしい。

ミントティーと搾りたてオレンジジュースを合わせれば、朝から幸せな気分になれる。

朝の青い街並み

食後は、まだ人通りの少ない静かな青の通りをぶらぶら。

通りの途中には、色鮮やかなモザイクタイルで装飾された水汲み場があり、景色に彩りを添えている。

ラス・エル・マの清流と展望台から望む絶景

Ras El Maa(ラス・エル・マ)

メディナを抜けて東端、山のふもとにあるラス・エル・マへ。

ここには、リフ山脈から湧き出す澄んだ冷たい水が小川となって流れている。

かつては洗濯や水汲みに使われ、今も地元の人の生活を支えている。

小川沿いにはカフェや屋台が並び、涼を求める人でにぎわうが、まずは奥の展望台を目指すことに。

展望台への道

ラス・エル・マからゆるやかな登坂の遊歩道を歩くこと約10分。

展望台にあるBouzafer Mosque

遠くからも見えるモスク「Bouzafer Mosque」が展望台の目印だ。

Bouzafer Mosqueからの眺め

高台のモスクの前に立つと、白と水色の家々が山肌に寄り添い、その奥にリフ山脈の稜線が続く──まるで絵葉書のような光景が広がる。

朝の涼しい風が心地よく、しばらく腰を下ろして景色を眺めた。

シャウエンは15世紀後半、アンダルシアからの迫害を逃れたムスリムやユダヤ人によって築かれた城塞都市。

城壁で街を囲み、中心にはカスバ(要塞)が置かれた。

展望台からは、その一部が今も残る城壁を見渡すことができ、防衛都市としての面影を感じる。

一方、モロッコ西部のラバトにある「ウダイヤのカスバ」は、それから約200年後の17世紀、同じくスペインで迫害を受けたアンダルシア系ムスリムが築いたもの。

場所も時代も異なるが、どちらも異郷で新しい生活を築いた人々の拠点だ。

歩いてみると雰囲気が似ているのは、きっと同じルーツを持つ街だからだろう。

そんな背景を思いながら眺める景色は、より深く心に響く。

モロッコ人大学生との出会いと清流ジュース

景色を見ていると、モロッコ人のウサマとキャメルと出会った。

タンジェ在住の大学生で、日帰りでシャウエンに遊びに来たという。

ウサマは日本語を勉強中で、カタコトの日本語で「一緒に観光しよう」と誘ってくれ、二つ返事でOK。

かつての共同洗濯場にはオレンジが浮かぶ

3人で丘を下り、ラス・エル・マに戻る。

かつて共同洗濯場だった場所は、今ではフレッシュジュース屋が果物を冷やすための“天然冷蔵庫”になっている。

冷たい水に浮かぶオレンジが、なんとも涼しげだ。

ぶどう入りオレンジジュース

注文したのは、ぶどう入りのオレンジジュース(15ディルハム=244円)。

小川に足を浸けてジュースを飲む

小川に足を浸けてジュースを飲むと、冷たさで足がすぐに痛くなるほど。

川辺では、地元の人たちが水遊びをしたり、お茶を楽しんだりと、思い思いに過ごしていた。

カスバ博物館と青い路地散策

カスバ博物館へ

その後、3人でメディナ中心にあるカスバ博物館へ。

外国人入場料は80ディルハム(=1,305円)と高く、ウサマたちも驚いていた。

ここはかつての要塞を改装したもので、厚い城壁に囲まれた中庭や建物が当時の姿を今に伝える。

旧牢屋の手錠で遊ぶ

館内には牢屋が残され、手錠を使って記念写真を撮ったり、見張り塔から青い街とリフ山脈を一望したり。

見張り塔からは街を一望できる
展示はフランス語・スペイン語・アラビア語オンリー

展示は陶器などが並ぶが、解説はフランス語・スペイン語・アラビア語のみ。

英語がないのはちょっと残念。

キャメルとウサマと写真を撮りあう

カスバ見学後は青い階段や路地で写真を撮り合う。

青の階段で記念写真

一人旅ではなかなか自分の写真が撮れないので、こういう機会はありがたい。

途中、アザーンが流れた。

ムスリムである彼らは1日5回の礼拝がある。

ちょうど近くにモスクがあったので、「行っておいで」と促し、私は宿でひと休み。

10分後に再び合流した。

フルーツサラダの昼食

昼食は初日にも訪れたレストラン「Assaada」で、暑さのため軽めにフルーツサラダを注文。

食後は2人と別れ、宿で昼寝。

お気に入りレストランで味わうアンチョビタジンの夜

夜はアンチョビタジン

夜も同じく「Assaada」へ。

今回で滞在中3回目になるお気に入りの店だ。

アンチョビタジンと、ターメリックやジンジャー入りのスパイシーなミックスジュース「スペシャルパナチ」を注文。

トマトとアンチョビの組み合わせが絶妙で、これで58ディルハム(=946円)はお得。

思いがけずモロッコ人の友人と街を歩き、地元の文化や暮らしについて色々教えてもらえたおかげで、今日は観光以上に充実した、心から楽しい一日になった。

8月7日:使ったお金

観光施設の入場料は、外国人価格でちょっとお高め。

・朝食(ムセメン等):30ディルハム(=489円)
・ぶどう入りオレンジジュース:15ディルハム(=244円)
・カスバ入場料:80ディルハム(=1,305円)
・昼食代(フルーツサラダ等):33ディルハム(=538円)
・夕食代(アンチョビタジン等):58ディルハム(=946円)

合計:3,522円