夜行バスでスペイン・アルヘシラスからポルトガル・リスボンへ。
早朝6時、Sete Riosバスターミナルに到着し、旅の新章スタート!
中心部のホステルに荷物を預け、まずは地元カフェで朝食。
そして向かったのは、テージョ川沿いのコメルシオ広場や、オレンジ屋根が美しく並ぶアルファマ地区の展望台など、リスボンらしい風景が広がる名所の数々。
この日はメイン観光として、重厚なロマネスク様式のファサードが印象的なリスボン大聖堂へも訪問。
バラ窓や宝物展示、バルコニーからの眺めなど見応えたっぷりだった。
ランチは話題のTime Out Marketで、メロンといちじく入りの生ハムプレートと甘口ワインを味わい、夕食にはファドの生演奏を聴きながらタラのクリーム焼き。
美しい街並みと音楽、美味しい料理に触れ、リスボン初日は大満足の1日に。
夜行バスでリスボン到着!まずはカフェで朝ごはん

朝6時、夜行バスは定刻通りにリスボンのSete Riosバスターミナルに到着。
ここから徒歩5分ほどの場所にある市バスの停留所から、リスボン中心部の宿を目指す。

「Sete Rios」のバス停からは、758番バスに乗車。
運賃は2.2ユーロ(=379円)で、乗車時に支払うスタイル。
金額が分からず少し戸惑っていたところ、運転手さんに「クレジットカードのタッチ決済が使えるよ」と教えてもらい、カードをかざして無事乗車できた。

中心部にあるLisb’on Hostelに到着。
チェックインは16時からとのことで、それまで荷物は預かってもらえるそう。
夜行バス明けの体はぐったり。
昨夜はシャワーも浴びられなかったので一刻も早くさっぱりしたかったけれど、ヨーロッパの宿はチェックイン時間に厳しい印象。
ここは割り切って、荷物を預け、近くのカフェで朝食をとることにした。

朝食に向かったのは、地元の人々に人気の「Pastelaria Emenda」。
朝早くから活気があり、たくさんの人で賑わっていた。
英語は通じなかったので、翻訳アプリで注文。
スペインではスペイン語、ポルトガルではポルトガル語。
似ているようで微妙に違う。
「こんにちは」はどちらも「オラ」だけど、「ありがとう」はスペイン語では「グラシアス」、ポルトガル語では「オブリガード(男性)/オブリガーダ(女性)」。
「いくらですか」も、スペイン語は「クアント・クエスタ?」、ポルトガル語では「クアント・クスタ?」となる。
この3つのフレーズを連発しながら、あとは翻訳アプリとジェスチャーの合わせ技でなんとか乗り切った。

頑張って注文したのは、チョコパンとミルク入りコーヒー。
朝の一杯でようやく落ち着き、今日の予定をぼんやり考える。
夜行バス明けの疲れもあるので、今日はあまり予定を詰めすぎず、のんびり過ごすつもり。
リスボンには4泊する予定なので、時間はたっぷりある。
コメルシオ広場からアルファマ地区へ、街歩きと展望台めぐり

最初に訪れたのは、リスボンを代表する開放感あふれる「コメルシオ広場」。
かつて王宮があった場所で、黄色い建物にぐるりと囲まれ、中央にはジョゼ1世の騎馬像が堂々と立っている。
テージョ川に面しており、川から吹く風がとても心地いい。
北側には立派な凱旋門「アルコ・ダ・ルア・アウグスタ」があり、門をくぐると石畳のアウグスタ通りへと続く。
観光客で賑わうエリアだけれど、朝早くの時間帯は人も少なく、広場をゆっくりと歩くことができた。

その後は、リスボンの下町・アルファマ地区を抜けて、「Miradouro das Portas do Sol」展望台へ。
ここは「リスボンで最も絵になる場所」と言われる絶景スポット。
オレンジ色の屋根がぎっしりと並ぶアルファマの街並みの向こうに、テージョ川の青が広がっている。
まるで絵葉書のような景色が目の前に広がり、思わず息をのんだ。
リスボンでは合計で4か所の展望台を訪れたけれど、私はこの場所の景色が一番好きだった。
まるで「魔女の宅急便」の世界に入り込んだような、あたたかく懐かしい風景。
何時間でも眺めていられそうだった。

ふと港の方を見ると、そこには巨大な豪華客船が停泊していた。
世界中の都市を巡る旅の途中なのだろうか。
あの船の上にも、それぞれの物語があるのだと思うと、少しロマンを感じる。

すぐ隣にある展望台「Miradouro de Santa Luzia」にも立ち寄ってみた。
ブーゲンビリアが咲き誇る小さな空間は、まるで秘密の花園のよう。
青と白のアズレージョ(ポルトガル伝統の装飾タイル)が壁一面に描かれ、どこを切り取っても絵になる美しい場所だった。
ここから眺める街の景色もまた素晴らしく、思わず足を止めてしまった。

坂道を下っていく途中、リスボン名物のレトロなトラムを見かけた。
石畳の急坂を、きしむ音を響かせながら進んでいく黄色い車体。
その姿は、まるで昔話の絵本の中から飛び出してきたかのようだった。
リスボン大聖堂をじっくり見学。宝物展示やパイプオルガンも

そしてこの日のメイン観光地、リスボン大聖堂へ。
ロマネスク様式の重厚なファサードが印象的な、リスボン最古のカトリック教会だ。
要塞のような構造に、中央にそびえる二つの塔が堂々としていて、リスボンのランドマークとしての存在感を放っている。
1階の入り口付近は無料ゾーンになっていて、そこから中央祭壇を遠目に眺めることは可能。
ただ、7ユーロ(=1,206円)の入場料を払うと、より多くの見どころにアクセスできるので、ぜひ中に入ってみてほしい。

入場後、階段を上っていくと、間近で見られるのが大聖堂の象徴ともいえるバラ窓。
石細工の緻密さと、そこに差し込むやさしいステンドグラスの光が、外観の重厚さに美しさを添えていた。

2階には小さなバルコニーがあり、そこからはリスボンの街並みを見下ろすことができる。
静かな教会の中で、高台からの景色をしばし楽しんだ。

同じく2階には、金や銀を使った宗教美術品が並ぶ宝物展示室もある。
どれも荘厳で華やかで、大司教区の歴史を感じさせる品ばかり。
思った以上に見応えがあった。

再び1階に降り、ぐるりと一周。
ふと見上げた先にあったのが、壁から突き出すように設置された豪華なパイプオルガンだった。
繊細な木彫りの装飾とその存在感に思わず目を奪われる。
音は鳴っていなかったけれど、いつか実際に演奏される姿を見てみたいと思った。

本堂の中央祭壇は、無料ゾーンからでも視界に入る。
重厚な柱に囲まれた荘厳な空間には、静けさと神聖さが満ちていた。

大聖堂を出たあとは、街の土産屋でポストカードを2枚購入。
切手も買おうと思ったけれど、観光地価格で高かったため、街中の郵便局「ctt」で購入することに。
リスボン近郊にはユーラシア大陸最西端の「ロカ岬」があり、そこには実際にハガキを投函できるポストもある。
今回はそこから家族へ送る予定。
これまでにも、アフリカ大陸最南西端の喜望峰があるケープタウンや、アフリカ最西端の岬に近いダカールの街から、家族宛にハガキを送ってきた。
今回も「世界の果て」から、旅の便りを届けたいと思う。
Time Out Marketでランチ、宿でひと休み

ランチには、リスボンの人気グルメスポット「Time Out Market」へ。
もともとは市場だった建物をリノベーションしたフードホールで、館内には有名シェフのレストランやスイーツ、ローカル料理の店などがずらりと並んでいる。
観光客にも人気で、雰囲気はとってもおしゃれ。
…でも、価格はちょっと高め。

この日は軽めのランチに、メロンといちじくの中に生ハムを詰めた一皿と、ほんのり甘いコンポートワインを選んでみた。
爽やかで夏らしい味わいの組み合わせで、見た目も美しい。
ただ、お値段は11.5ユーロ(=2,060円)……なかなかの贅沢ランチになってしまった。
“ポルトガルの美味しいものが一度に楽しめる”のが魅力だけど、ローカル価格を想像して行くとびっくりするかも。
とはいえ、雰囲気ごと楽しむにはぴったりの場所で、一度は訪れてみる価値がある。
ランチの後は疲れが出てきたので、少し早いけれど宿に戻ることに。
チェックインは16時からだけど、スタッフに聞いてみると、「共用スペースは使っていいよ」とのこと。
ありがたくお言葉に甘えて、しばし休憩させてもらった。

Lisb’on Hostelは、約200年前に建てられた邸宅を改装したゲストハウス。
共用スペースにはシャンデリアがきらめく美しい部屋もあり、まるで小さなお城のような雰囲気が漂う。

キッチンもとても清潔でおしゃれ。
調味料類もひと通り揃っているので、自炊もできるのが嬉しい。

私が泊まっているのは6人部屋の女子ドミトリー。
エアコン完備で清潔感もあり、とても快適。
朝食付きで1泊約6,700円。
立地と設備を考えると、コストパフォーマンスはかなり良い。
何より嬉しいのは、その立地の良さ。
リスボン中心部に位置しているため、観光地の多くが徒歩圏内にある。
疲れたらすぐに戻って休憩できるし、「トイレだけ宿に帰る」なんて使い方もできてしまう。
ヨーロッパの有料トイレ事情を考えると、これは意外とありがたいポイント。
観光にも休憩にも便利で、リスボン旅の拠点にぴったりの宿だ。
ファドの演奏とタラ料理でリスボンの夜を満喫

夜になり、夕食のために再び街へ。
向かったのは、アルト地区にある「Tasca de Noticias」というレストラン。
ここでは本格的なファドの生演奏を聴きながら、ポルトガル料理を楽しむことができる。
ファドとは、ポルトガルに古くから伝わる伝統音楽で、哀愁を帯びた旋律と感情のこもった歌声が特徴。
ポルトガル人の心に根づく「サウダーデ(郷愁)」を歌い上げる音楽として、今も多くの人に愛されている。
この日は、女性歌手、ポルトガルギター奏者、クラシックギター奏者の3人による演奏。
まず女性歌手が2曲ほど歌い、その後、ギター奏者の男性が弾き語りを披露。
15分ほどの休憩を挟みながら、この流れを何度も繰り返していくスタイルで、夜の営業時間中いつ訪れてもファドが楽しめるようになっている。


夕食には、タラのクリーム焼きを注文。
とろりとした優しい味わいのソースに、ほどよい塩気のタラがよく合っていて、とても美味しかった。
ファドが聴けるレストランは高級なところが多い中、ここは良心的な価格で、バックパッカーの私でも気兼ねなく入れたのがありがたい。
心に沁みるファドのメロディと、優しい味のポルトガル料理。
リスボン初日の締めくくりにふさわしい、満ち足りた夜だった。
8月13日:使ったお金
バス代(アルヘシラス→リスボン)は、ポルトガルでの合計に含めるため13日分に計上します。
・バス代(アルヘシラス→リスボン):39ユーロ(=6,896円)
・バス代(Sete Rios→宿):2.2ユーロ(=379円)
・朝食代(コーヒー&パン):2.6ユーロ(=448円)
・リスボン大聖堂入場料:7ユーロ(=1,206円)
・ハガキ2枚:1ユーロ(=172円)
・切手代2枚分:2.66ユーロ(=458円)
・昼食代(生ハム&メロン等):11.5ユーロ(=2,060円)
・宿代(4泊分):156ユーロ(=26,917円)
・夕食代(タラのクリーム煮等):14.95ユーロ(=2,579円)
合計:41,115円