【128】天正遣欧使節の足跡とファドの音色に包まれた一日(2025.8.15)

ポルトガル

リスボンで迎える3日目は、朝食をゆっくり楽しむところからスタート。

ワッフルやフルーツサラダが並ぶちょっと豪華な朝に気分も上がる。

暑さの厳しい昼間は宿でのんびり過ごし、朝の涼しい時間帯に集中して観光することに。

まずはレトロなケーブルカー「Elevador da Bica」に乗車し、リスボンらしい坂の風景を満喫。

その後は、かつて天正遣欧少年使節が宿泊したというサン・ロッケ教会へ。

彼らの壮大な旅路に思いを馳せながら、歴史の重みと静けさに包まれる時間を過ごした。

午後はファドミュージアムへ足を運び、生ファドの演奏に心を奪われる。

静かな空間に響く歌声とギターの音色が胸に沁みた一日。

レトロなケーブルカーでリスボンの坂道を楽しむ

朝食

今朝は少しゆっくり起きて、朝食は9時半頃に。

今日はワッフルやフルーツサラダが並び、いつもよりちょっと豪華な朝食だった。

暑さの厳しい日中は宿でのんびり過ごし、朝の涼しい時間帯だけ観光しようと決めた。

リスボン名物、ビカのケーブルカー

まず向かったのは、宿から徒歩3分ほどの場所にあるBica – R. S. Paulo駅。

ここからは、リスボン名物のケーブルカー「Elevador da Bica」に乗車。

たった260mほどの短い距離なのに、運賃はまさかの4.2ユーロ(=721円)!

しかもクレジットカード専用。( ゚Д゚)

レトロな車両で小さな旅

乗車時間はほんの数分だったけれど、木造のレトロな車両に乗り込むだけでちょっとした旅気分。

短い時間ながらもしっかり満足できた。

Bica – Lg. Calhariz駅

終点のBica – Lg. Calhariz駅まではほんの2分ほどで到着。

ケーブルカーを外から撮るために坂を下った

登ったばかりの坂道を、今度はケーブルカーのフォトスポットを目指して下ることに。

観光客らしい行動だけど、やっぱり外からの景色も残したくなるのがこのケーブルカー。

ひとしきり撮影して、次の目的地・サン・ロッケ教会へ向かった。

サン・ロッケ教会で天正遣欧使節の足跡をたどる

サン・ロッケ教会:日本とも縁のある場所

教会の外観は、白い壁と瓦屋根のシンプルな佇まい。

豪華絢爛な内部

しかし中に入ると、まるで別世界が広がっていた。

金色に輝く祭壇、繊細な彫刻、壮麗な装飾──一歩足を踏み入れた瞬間、目を奪われるほどの豪華さだった。

この教会には、日本とも深い関わりがある。

1582年、長崎を出発した「天正遣欧少年使節」がリスボンに滞在中、このサン・ロッケ教会を宿舎として利用していたとされている。

当時わずか13〜14歳の少年たちが、命がけで喜望峰をまわる航海を経てヨーロッパにたどり着き、そこからさらにローマへと旅を続けた。

彼らはヨーロッパ各地で王侯貴族やローマ教皇に謁見し、堂々たるふるまいで多くの人々を驚かせたという。

しかもその旅路は、往復あわせて8年にも及ぶ長さだった。

私自身も飛行機・鉄道・バス・フェリーを駆使してようやく喜望峰をまわり、アフリカを縦断してここまでたどり着いたところ。

それだけでも体力も気力もかなり消耗しているのに、16世紀に子どもたちがこれをやってのけたと思うと、ただただ尊敬の念しかない。

天正遣欧使節団もこの光景を見たのだろうか?

「彼らもこの光景を見たのだろうか?」と想像しながら、教会内をゆっくりと見て回った。

カルモ修道院と展望台から眺める復興の街並み

カルモ修道院:地震の爪痕と再生の象徴

次に立ち寄ったのは、カルモ修道院。

入場料がかかるので外からの見学にとどめたが、それでも十分見応えがあった。

1755年のリスボン大地震では街の大部分が壊滅状態となる中、この修道院は屋根を失いながらも石造りの壁だけは崩れずに残った。

現在は、空が見える中庭のような不思議な空間になっており、地震の爪痕と同時に街の再生を象徴する場所にもなっている。

初日に訪れたリスボン大聖堂や、今日のサン・ロッケ教会など、一部の建物は奇跡的に被害を免れたが、街のほとんどは倒壊した。

その後の再建により、今のリスボンらしい街並み──赤茶色の屋根や整然とした建物配置──が生まれたのだと思うと、あらためてこの街のたくましさを感じた。

サンタ・ジュスタのリフトと展望台からの眺め

カルモ修道院の脇を進んでいくと、裏側にはサンタ・ジュスタのリフトが現れる。

今回はリフトには乗らなかったけれど、カルモ修道院側から陸橋を渡れば、下段の展望台にアクセスできる。

そこからは、地震から立ち直った街を一望。

その足でスーパーに立ち寄り、宿へ戻った。

生ハムとカビチーズで大満足、節約ごはんのすすめ

今日のランチは安ウマ生ハム&チーズ

お昼ごはんは、スーパーで買ってきた生ハムとカビ入りチーズ、そしてサングリア。

とても安上がりなのに、味はびっくりするほど本格的。

生ハムとチーズは合わせて5ユーロ(=858円)だったけれど、量がたっぷりあって、あと2食分くらいは楽しめそう。

サングリア(1.5L)は昨日のうちに買っておいたもので、2ユーロ以下というお手頃さ。

ポルトガルは生ハムもチーズも本当に美味しくて、レストランで食べると高くつくけれど、スーパーで買って宿でゆっくり味わうのはかなりおすすめのスタイル。

旅の合間のリラックスタイムにもぴったりだった。

ファドミュージアムで出会った、生演奏の感動

ファドミュージアム

一休みしたあと、14時半頃に再び出発し、ファドミュージアムへ。

ここでは、ポルトガルの伝統音楽「ファド」の歴史と魅力をたっぷり堪能することができた。

音声ガイドは無料貸出

入場料は5ユーロ(=858円)で、英語対応のオーディオガイドも無料で借りられる。

過去の著名なファド歌手の写真

館内には歴代のファド歌手たちの写真がずらりと並び、それぞれの顔の横にある番号をオーディオに入力すると、その歌声が流れる仕組み。

真ん中の女性がアマリア・ロドリゲス

なかでも圧倒的な存在感だったのが「ファドの女王」アマリア・ロドリゲス。

深い感情のこもった彼女の歌声は、やはり別格だった。

ポルトガルギターの展示

他にも、独特の丸い形をしたポルトガルギターの展示や、名曲に浸れる試聴ルームなどもあり、視覚と聴覚の両方でファドを体感できる素晴らしい展示だった。

名曲に浸れるファドの試聴ルーム

落ち着いた空間で、気になる曲をじっくり聴くことができた。

館内見学ツアー開始

この日は特別に、16時から無料の館内ツアーが開催されていた(夏の期間限定イベント)。

最初の30分ほどは、おそらくポルトガル語での解説付きだったので、私はツアーの終了を近くで待って過ごすことに。

16時半頃からは、館内の階段踊り場で生ファドの演奏がスタート。

初日に観光レストランで聴いたファドとはまた違い、静かな空間に響く歌声とギターの音色には、別の良さがあった。

心にじんわりと染みるような、美しい時間だった。

写真撮影は禁止されていたので、目を閉じて、耳と心でその音楽をしっかり味わった。

ファドミュージアムの存在は前から知っていたけれど、こんなふうに期間限定で生ファドの演奏があるなんて知らなかった。

それを教えてくれたのは、4月にウズベキスタンで出会ったリスボン出身のM氏。

彼は今は旅に出ていて不在だったけれど、ありがたい情報のおかげで、わずか5ユーロで生ファドの演奏を楽しむことができた。

この日の夜は、生ハムとチーズ、そしてサングリアで軽めに夕食を済ませ、M氏に心から感謝しながら一日を締めくくった。

8月15日:使ったお金

今日は外食も交通機関の利用もなし。

おかげで出費はぐっと抑えられた。

・スーパー買い物代(生ハム等):5ユーロ(=858円)
・ケーブルカー運賃:4.2ユーロ(=750円)
・ファドミュージアム入場料:5ユーロ(=858円)

合計:2,466円