ポルトの朝は、宿の美味しい朝食からスタート。
この日は「世界一美しい本屋」と称されるレロ・イ・イルマオンへ。
うねる赤い階段やステンドグラスが幻想的で、本屋とは思えない非日常空間だった。
そのあとは、ポルトの街のあちこちに広がるアズレージョ(装飾タイル)巡りへ。
カルモ教会やアルマス聖堂はもちろん、サン・ベント駅の壁一面に描かれた歴史絵巻も圧巻。
征服者エンリケの姿に複雑な思いを抱きつつ、素朴な暮らしの壁画には心が和む。
途中、ストリートオルガンの音色に足を止め、クレリゴス教会の外観にも感動。
お昼は名物フランセシンハと爽やかな微発泡ワインでがっつりランチ。
夜はチーズとワインでのんびり。
観光も食もたっぷり味わった、ポルト満喫の一日だった。
宿の朝食で元気チャージ。今日もポルトを歩く

朝8時、宿の朝食会場へ。
チーズ、ハム、野菜、果物、ヨーグルト、パンなどが並ぶ、バリエーション豊かなビュッフェ。
ポルトの宿の朝食も例にもれず豪華で、朝から幸せな気持ちになる。
レロ・イ・イルマオンで“魔法の書店”体験

この日は9時45分から、「世界で最も美しい本屋」とも称されるレロ・イ・イルマオンの時間指定入場チケットを、公式HPで予約していた。
でも、今後の旅の予約手配などに手間取ってしまい、気づけば予約時間を少し過ぎていた。
とはいえ、このチケットは当日中なら時間を過ぎても入場可能。
チケットの時間ごとに列ができていたけれど、係の人に遅れたことを伝えると、そのまますぐに中へ案内してくれた。

中に入ってまず目に飛び込んでくるのが、うねるようにカーブを描いた真っ赤な階段。
この階段と、重厚で幻想的な内装から、「ハリー・ポッターのホグワーツにそっくり」と言われるのも納得の雰囲気だった。

天井には美しいステンドグラスが広がり、空間全体がクラシックな装飾に包まれている。
もはや書店というより、“魔法の城の図書館”に迷い込んだような気分。
2階の四隅には個性的な照明器具が配置され、棚にはポルトガル語だけでなく英語の本も並び、ハリー・ポッター関連の書籍も多数。
原作ファンなら、つい手に取ってしまうに違いない。

ただし、想像以上の人の多さで、写真を撮るのも一苦労。

せっかくなので、赤い階段の真ん中で記念撮影してみたけれど、写り込むのは人・人・人。
映え写真にはならず、ちょっと残念(‘A`)
でも、これも人気スポットならではの宿命かも。
アズレージョ巡りで出会う、青と白の芸術たち
本屋を出たあとは、ポルトの名物・アズレージョ(装飾タイル)めぐりへ。
ポルトの街を歩いていると、教会や駅、建物の外壁など、至るところにアズレージョが使われていて、まるで街全体が屋外美術館のよう。
青と白のタイルが織りなす風景は、この街ならではの美しさ。

まず訪れたのは、ポルト中心部でぴったり寄り添って建つふたつの教会。
左がカルメリータ教会(Igreja dos Carmelitas)、右がカルモ教会(Igreja do Carmo)。
まるでひとつの建物のように見えるが、実は別々の教会で、そのあいだには“隠し家のような細長い建物”が挟まっていることでも知られている。

カルモ教会は有料だったため、外から眺めるだけにしたけれど、外壁一面を覆う青と白のアズレージョが本当に美しくて、それだけでも十分に満足できた。

一方、無料で見学できたカルメリータ教会では、バロック様式の重厚な内装を堪能。
観光客も少なく、静かで落ち着いた空間の中、ゆっくりと見学することができた。

街を歩いていたら、ストリートオルガンを奏でる路上パフォーマーに出会った。
くるくるとハンドルを回すと、穴のあいた紙が箱の中を通り、その動きにあわせて音楽が鳴り出す、昔ながらの機械仕掛けの楽器。
どこか懐かしく、やさしい音色が響いていて、通りすがりの人たちも足を止めて聴き入っていた。

クレリゴス教会(Igreja dos Clérigos)は、ポルトの街でもひときわ目立つバロック様式の建物。
高さ75メートルのクレリゴスの塔は、街のあちこちから見えるランドマークになっていて、外観だけでも十分な存在感。
今回は中には入らず、外から眺めるだけだったけれど、迫力あるファサードと塔の美しさに、しばし見入ってしまった。

そのあと薬局に立ち寄って、痒み止めを購入。
おしゃれなポルトの宿だけど、エアコンがなくて夜は窓を開けっぱなしにしているせいか、蚊が入ってくるらしく、夜中に何度か刺されてしまった。
日本から持ってきた処方薬ももうすぐ無くなりそうだったので、念のため追加で購入。
Google翻訳で成分をポルトガル語に変換しながら、無事に希望の薬を手に入れることができた。
サン・ベント駅で歴史と日常が交差する

宿のあるサン・ベント駅に戻ってくると、何度見てもその美しさに息をのむ。
ここはただの鉄道駅ではなく、壁一面を埋め尽くす青と白のアズレージョが見どころ。
ポルトガルの歴史や日常を描いた絵タイルは、まるで壮大な物語を紡ぐ絵巻物のようで、思わず足を止めて見入ってしまう。

中でも印象的だったのが、「征服者エンリケのセウタ上陸」を描いた場面。
1415年、ポルトガルがモロッコ北部のセウタを占領した出来事を描いたもので、エンリケは後に「航海王子」として知られ、大航海時代を切り開いた重要人物でもある。
彼の功績を称える視点には納得できる一方で、モロッコから旅してきた身としては、少し複雑な気持ちも湧いてくる。
征服された側の歴史もまた、たしかにそこに存在しているのだから。

一方で、牛を引く人々や、踊る村人、収穫の風景など、素朴な日常を描いた壁画も心に残った。
あたたかくて、どこか懐かしい風景。
ポルトガルの人々の暮らしが、静かに、でも力強く伝わってくるようだった。
ただ美しいだけでなく、見る人の立場や旅の背景によって、いろんな感情を呼び起こす空間。
少し宿で休憩したあと、また街歩きへと出かけた。

次に訪れたのは、アルマス聖堂(Capela das Almas)。
この教会は、外壁一面を飾るアズレージョがとても印象的。
残念ながらこのときは閉まっていて中には入れなかったけれど、外観だけでも充分に見ごたえがあった。

ポルトでは、アズレージョの上に保護用の白い布がかけられていることも多いけれど、ここではタイルがむき出しのまま。
そのおかげで、青と白の繊細な絵柄を間近に見ることができた。
聖人たちの物語が緻密に描かれていて、ただ眺めているだけでも物語の世界に引き込まれるような迫力だった。

そのあとは、ボリャン市場へ立ち寄り。

シーフードや野菜、果物などが並んでいたけれど、全体的に観光客向けに整えられたフードコートのような雰囲気。
価格も高めだったので、見学だけして通り過ぎた。
名物フランセシンハとワインでランチタイム

お昼ごはんは、「Santiago da Praça」というお店で、ポルト名物のフランセシンハ(Francesinha)を注文。

パンのあいだにはステーキやハム、ソーセージがぎっしり詰まっていて、その上に玉子とチーズがとろり。
熱々のソースをかけたボリュームたっぷりの一皿で、付け合せのポテトはソースにひたして食べるとまた絶品。
中に入っていたステーキはとてもジューシーで、肉好きにはたまらない味だった。
飲み物は、微発泡の白ワイン「ヴィーニョ・ヴェルデ」の中でも定番の「ムラルハス(Muralhas)」をチョイス。
軽やかで爽やかな口当たりが、濃厚なフランセシンハともよく合い、ボリューム満点のごはんもどこか優雅なランチに変えてくれた。
とはいえ、さすがに全部は食べきれず、少し残してしまったのが悔やまれる。
昼食のあとは宿に戻り、ブログを書いたり昼寝をしたり、ゆったりとした午後を過ごした。

夕食は、昨日に引き続きチーズ、ハム、フルーツにワイン。
今日は新しくサイダー系のお酒も買ってみた。
観光もごはんも、どちらも満足な一日だった。
明日はポートワインのワイナリー巡り!
…といっても、見学はパスして併設バーではしご酒の予定。
観光よりもワイン優先、そんな一日もあり。
8月18日:使ったお金
本屋に入るだけで10ユーロとは、なかなかのお値段でびっくり。
・レロ・イ・イルマオン入場料:10ユーロ(=1,717円)
・痒み止め薬:5.53ユーロ(=952円)
・昼食代(フランセシンハ等):15.7ユーロ(=2,703円)
・スーパー買い物代(酒):1.19ユーロ(=204円)
合計:5,576円