トマトまみれになるあのお祭りを目前に、今日はバルセロナからバレンシアへバスで大移動。
早朝発の満席バスに揺られて、昼前には地中海の港町バレンシアに到着した。
まず向かったのは、活気あふれるバレンシア中央市場。
カラフルな食材がずらりと並ぶなかで、ぷりぷりのタコの刺身やイカスミパエリアをつまみ、ひんやりサングリアでひと休み。
午後は、世界遺産ラ・ロンハ・デ・ラ・セダやセラノスの塔を巡り、歴史の香りにひたる時間に。
地元名物オルチャータも初体験して、しっかりトマト祭りの準備用ゴーグルもゲット。
夜は旅仲間と合流して、海沿いの有名店で本場のパエリアを囲んだ。
観光も食も、バレンシアの魅力をたっぷり味わえた一日。
明日はついに、念願のトマト祭り!
トマト祭り前日、バレンシアへ早朝バス移動

今日はバレンシアへの移動日。
早朝、Barcelona Nordのバスターミナルまで徒歩で向かう。
宿からは約30分の道のり。
バスはalsa社で、公式サイトから事前に予約していた。
朝7時発、到着は11時半の予定。
翌日がトマト祭りということもあり、バスは満席。
他にも同じ時間帯にバレンシア行きの便がいくつも出ていた。
トマト祭りの会場はバレンシア郊外のブニョールという小さな田舎町だけど、宿が少ないため、バレンシアを拠点に日帰りで参加する人が多い。
そのため、トマト祭り前後のバレンシア発着バスや宿は争奪戦になる。
私は宿を3月に、バスを1ヶ月半前に予約していた。

車内を見渡すと、どこかパリピっぽい雰囲気の人たちがちらほら。
きっとみんな、トマト祭りに行くんだろうな〜と思いながらぼんやり眺めていた。

朝ごはんは、昨日スーパーで買っておいたクロワッサンとドーナツ。
車内で軽く食べる。
移動日の朝は、こういう手軽な朝食がちょうどいい。

バスは予定より20分ほど遅れて、バレンシアのバスターミナルに到着。
降りたとたん、バレンシアの強烈な日差しが容赦なく降り注ぐ。
暑い……。(‘A`)
ここから宿までは徒歩30分。
炎天下の中、バックパックを背負って汗だくになりながらも歩いた。
チェックインまで少し時間があったので、荷物だけ預けて、そのまま街歩きに出ることに。
活気あふれる中央市場でシーフードを食べ歩き

まず向かったのは、旧市街にあるバレンシア中央市場。
とにかく活気があって、歩いているだけでワクワクする場所。
明日がトマト祭りだからか、観光客の姿も多かったけれど、地元の人たちもふつうに買い物していて、観光地すぎない空気感が心地よかった。
市場の中には、野菜、果物、ハム、オリーブ、スパイス、お菓子、チーズなど、カラフルな食材がぎっしり並んでいて圧巻。

なかでも魚市場エリアはお店の数も多く、見ているだけで楽しかった。
牡蠣やエビ、タコなどをその場で食べられるお店もあり、シーフード食べ歩きができてしまうのがうれしい。

その中で見つけた美味しそうなタコの刺身を、3.5ユーロ(=606円)で購入。
なんだか安いぞ?と思いながら、アルヘシラス以来のローカル価格でのシーフードに、ちょっと嬉しくなった。
たっぷりレモンを絞って食べるタコは、ぷりぷりの食感でとても美味しかった。

さらにバーでサングリアも購入。
こちらは2.5ユーロ(=433円)で、暑い中でもすっきり飲める軽やかな味。

市場内にはテイクアウト専門のパエリア屋さんもあり、いろんな種類のパエリアが並んでいた。
私はイカスミパエリアを選んで、6ユーロ(=1,040円)。
その場で電子レンジで温めてくれるのがありがたい。

市場のすみっこで、イカスミパエリアとサングリアの立ち食いランチ。
パエリアの味はそこまで感動ものではなかったけれど、スペインに来てから初めて食べたパエリアだったので、それだけでちょっと嬉しかった。
全体的に、バレンシアは物価が落ち着いている印象。
観光地価格すぎることもなく、ローカルな価格帯で気軽に食べ歩きできるのが魅力的。
世界遺産ラ・ロンハ・デ・ラ・セダと旧市街めぐり

お腹も満たされたところで、バレンシア旧市街の観光へ出発。
最初に訪れたのは、ラ・ロンハ・デ・ラ・セダ(La Lonja de la Seda)。
かつて絹の商品取引所として使われていた建物で、15〜16世紀、バレンシアが地中海交易で大いに栄えていた時代に建てられたもの。
いまは世界遺産にも登録されていて、まさに当時の黄金時代の面影を感じさせる歴史建築だった。
外観は重厚な石造りで、どっしりとした存在感がある。

中でいちばん印象的だったのは、やっぱり「契約の間」。
らせん状の柱がずらりと並ぶ広々とした空間は、天井も高く、空間そのものが芸術作品のようだった。
かつてここで商人たちが契約を交わしていたと思うと、自然と背筋が伸びるような気持ちになる。

2階には「海の評議会の間」と呼ばれる部屋も残っていて、当時は商人同士のトラブルを裁く場として使われていたという。

その部屋の見どころは、繊細な彫刻が施された木製の格天井(カセトン)。
細部まで丁寧に作られていて、職人技の美しさに見惚れてしまった。
これだけの見応えがあって、入場料はたったの2ユーロ(=346円)。
バレンシアの中でも、かなりコスパ最強のスポットかもしれない。

次に向かったのは、旧市街の中心に建つサンタ・マリア大聖堂。
「最後の晩餐の聖杯」があることで有名な教会だけれど、内部見学は入場料が少し高めだったので、今回は外観だけ見て満足することに。
隣にあるミゲレテの塔は2ユーロで登れるけれど、行列が長すぎて今回は断念。

その代わりに訪れたのが、旧市街の城門として建てられたセラノスの塔。
ゴシック様式の立派な双塔で、外から見るとまるでお城のような迫力がある。

中はぐるぐると階段を登っていく造りで、かつては貴族や政治犯の「牢屋」として使われていたこともあるそう。

塔のてっぺんまで登ると、バレンシアの旧市街をぐるりと見渡すパノラマビューが広がっていた。
街並みと青空が気持ちよくて、登った甲斐があった。
地元名物オルチャータとトマト祭り準備ショッピング

観光をひととおり終えたあと、スポーツ用品店のDecathlonへ。

明日のトマト祭りに備えて、ゴーグルを購入。
価格は4.99ユーロ(=865円)。
モロッコでも探していたけれど、安くてしっかりしたものがなかなか見つからず、祭り前日まで買えていなかったので、ここで無事にゲットできて一安心。
トマトの汁や果肉が目に飛んでくるらしいので、ゴーグルは必須アイテムだ。

Decathlonのすぐ向かいにはコロン市場がある。
今は市場というより、おしゃれなレストランやカフェが並ぶモダンな空間になっていた。

その一角にあるのが、地元で人気のオルチャータ専門店「Orxateria Daniel」。

ここで初めて、本場バレンシアのオルチャータを飲んでみた。
タイガーナッツ(chufa)という芋のような植物から作られる、ほんのり甘くてすっきりした冷たい飲みもの。
見た目はミルクのようだけどクセがなく、素朴な甘さが疲れた体にじんわりと染みわたる。
地元の人も観光客も一緒にオルチャータを楽しんでいて、バレンシアの夏らしいやさしい時間だった。
駅チカでトマト祭りにも便利なバレンシアの宿

観光と買い物を終えて、宿「Art&Flats Bed&Breakfast」へ。
女子ドミは5人部屋で、2段ベッドではなくシングルベッドが並んでいる広めの部屋。

共用スペースも落ち着いた雰囲気で、おしゃれで快適だった。

共用キッチンにはパエリア鍋がインテリアとして飾られていて、なんともバレンシアらしい演出。
街のあちこちでパエリアを見かけるけれど、こうして生活の中にお鍋自体が馴染んでいる感じがとても素敵だった。

共用バスルームもシックで清潔感があり、使い心地も良好。
宿は旧市街にあり、明日のトマト祭りの集合場所であるSorolla駅にも徒歩20分以内とアクセスも良好。
2泊で61.2ユーロ(=11,052円)と、バレンシアにしてはやや高めではあるけれど、他の中心地の宿よりはお得。
おすすめできる宿だった。
人気店「ラ・ペピカ」で旅仲間と本場パエリアを堪能

夜は、海沿いにあるパエリアの有名店「ラ ペピカ」へ。
ここでは、タンザニア旅行中に出会ったコウダイさんと、その旅仲間のヒナコさんと待ち合わせ。
明日は3人でトマト祭りに参加予定なので、今夜はその前夜祭として一緒にパエリアを囲むことにした。

コウダイさんとヒナコさんはビール、私はロゼワインで乾杯。
3人とも世界一周旅行中という共通点があって、自然と旅の話で盛り上がった。
ヒナコさんとはこの日が初対面だったけど、すぐに打ち解けて恋愛トークまで飛び出すほど楽しい時間に。

前菜には、バレンシアの郷土料理でもあるムール貝の月桂樹の葉蒸しを注文。
月桂樹の香りがよくて、ふっくら蒸し上がった貝は美味しかった。
ただ、大きいのもあれば、へそのおみたいな小さいのもあって、当たり外れはけっこうあったかも。

メインは赤海老のパエリア。
大きな鍋にたっぷりのパエリアが盛られて運ばれてきた瞬間、3人で思わず歓声が上がった。
マドリードやバルセロナにもパエリア店は多いけれど、中には冷凍パエリアを出すのに高額な料金を取るお店もあって、なかなか良い店を見つけられずにいた。
しかもパエリアは基本的に2人前からしか注文できないので、ひとり旅だとハードルが高い料理だった。
だからこそ、今回は3人で注文し、会話を楽しみながら本格的なパエリアをシェアできたことが嬉しかった。
美味しいのはもちろんだけど、「一緒に食べてくれる人がいる」というだけで、何倍にも美味しく感じられた。
帰り道も徒歩1時間と長かったけれど、有名店まで足を運ぶ価値は十分にあった。
明日はついにトマト祭り本番。
インドのホーリー祭りやスリランカのペラヘラ祭りなど、これまでいろいろな奇祭に参加してきたけれど、これはどんなカオスになるのか…。
期待と不安が半分ずつの気持ちで、眠りについた。
8月26日:使ったお金
人気パエリア店はちょっと高めだったけど、3人でシェアできたのがよかった。
・バス代(バルセロナ→バレンシア):20.8ユーロ(=3,678円)
・タコの刺身:3.5ユーロ(=606円)
・サングリア:2.5ユーロ(=433円)
・イカスミパエリア:6ユーロ(=1,040円)
・ラ・ロンハ・デ・ラ・セダ入場料:2ユーロ(=346円)
・セラノスの塔入場料:2ユーロ(=346円)
・ゴーグル:4.99ユーロ(=865円)
・オルチャータ:2.65ユーロ(=459円)
・夕食代(パエリア等):30ユーロ(=5,200円)
・宿代(2泊分):61.2ユーロ(=11,052円)
合計:24,025円