【153】ロマンチック街道の始まりへ──赤屋根のヴュルツブルクと教会めぐり(2025.9.12)

ドイツ

フランクフルトで家族と合流し、いよいよドイツ旅がスタート。

向かったのは、ロマンチック街道のはじまりの町、ヴュルツブルク。

ホテルで食べた味噌汁とゆかりご飯の朝ごはんにほっこりしたあとは、バスで赤屋根の街へ。

最初に訪れた世界遺産レジデンツは、まるで18世紀の宮殿にタイムスリップしたかのような豪華さで、大階段の天井画に思わず息を呑んだ。

庭園の美しさも印象的。

ランチは人気レストランで郷土料理をシェア。

午後は教会をめぐり、丘の上の要塞から赤屋根の街を見下ろす絶景散歩。

えんとつ付きの赤屋根が並ぶ景色に、サンタクロースの足音まで聞こえてきそうだった。

夜は部屋でフエットとチーズ、そして地元名産フランケンワインで乾杯。

観光、グルメ、絶景と大満喫の一日。

味噌汁の朝ごはんから快適バス旅へ、ヴュルツブルクへ出発!

味噌汁とゆかりご飯が美味しかった朝食

日本から到着した家族は、やはり時差の影響でかなり早起きに。

私も朝から起こされて、まだ眠い目をこすりつつ、朝6時半にホテルの朝食会場へ向かった。

さすがは日系ホテル、和食メニューも充実していて、ゆかりご飯やお味噌汁がしっかり並んでいたのがうれしい。

久しぶりの日本の味に、大満足の朝ごはんだった。

ホテル目の前のFlixBusターミナルから出発

宿泊していたホテルのすぐ目の前にFlixBusのターミナルがあったので、朝の移動はとてもスムーズ。

9時発のバスに乗り、目的地のヴュルツブルクには10時35分に到着した。

4人分の料金は合計26.95ユーロ(=4,765円)で、距離のわりにかなりお得な移動だった。

ヴェルツブルク駅前に到着

ヴュルツブルク駅前には定刻どおりに到着。

駅前のすぐ近くにある本日の宿「Hotel Regina」へ。

チェックイン前だったため、大きな荷物はフロントに預けて、さっそく街歩きへ出発した。

世界遺産レジデンツで18世紀の栄華にふれる

ヴェルツブルクのレジデンツ

最初に訪れたのは、世界遺産にも登録されている「ヴュルツブルクのレジデンツ」。

バロック建築の最高傑作とも称されるこの壮麗な宮殿は、かつてヴュルツブルクの司教たちの居城だった場所。

豪華絢爛な内装と、手入れの行き届いた庭園が見どころで、一歩足を踏み入れると、まるで18世紀のヨーロッパにタイムスリップしたような感覚に包まれる。

大きな荷物はロッカーに入れる

建物内には大きな荷物の持ち込みができないため、入口近くのロッカーにリュックなどを預ける必要がある。

とはいえ、ロッカーは1ユーロのコイン式で、利用後には返却される仕組みなので安心だ。

息を呑む美しさの大階段と天井画

まず目を奪われたのが「大階段」。

その頭上には、イタリア人画家ティエポロによる巨大なフレスコ画が広がり、見上げた瞬間、あまりの美しさに息を呑んだ。

純白の優雅なホワイトホール

続いて訪れたのは「ホワイト・ホール」。

ロココ様式の繊細な彫刻が壁や天井一面に施されていて、純白の空間がなんとも優雅。

まるで夢の中にいるかのような気分になる。

格調高い「帝国の間」

「帝国の間」は、金を基調にした重厚な空間。

天井から吊るされたシャンデリアや、壁一面に描かれた装飾画が、この宮殿が持つ格式の高さを静かに物語っていた。

日本の陶器

展示品の中には、日本の壺が飾られているのを見つけてびっくり。

ヨーロッパの宮殿の中に、こんな形で日本の文化が残っているのがなんだか誇らしい。

室内カルーセル(回転木馬)

さらに驚いたのが、室内に展示されていたカルーセル(回転木馬)。

かつて子どもたちが遊んでいたのだろうか、こんなに可愛らしい展示に、つい頬がゆるんだ。

これらの美しい調度品の多くは、第二次世界大戦中の激しい空襲にもかかわらず、奇跡的に焼失を免れたものなのだという。

戦火をくぐり抜け、今なお大切に保存されていることに、胸が熱くなる。

おとぎ話のような庭園を散策

レジデンツ内部の見学を終えたあとは、外に出て庭園へ。

きれいに刈り込まれた三角形の木々が並び、色とりどりの花々が咲く様子は、まるでおとぎ話の世界のよう。

暑すぎず寒すぎず、からりとした空気が心地よい初秋のドイツ。

観光するにはぴったりの季節で、歩いているだけでも気分が晴れやかになるひとときだった。

ヴェルツブルクの街並み

壮麗なレジデンツをたっぷり堪能したあとは、そろそろお腹も空いてきたので、街の中心部へランチを食べに向かうことに。

ヴュルツブルクの街は「ロマンチック街道」の出発点としても知られていて、旧市街にはカラフルな建物や石畳の道が広がる。

歩いているだけで、気持ちがふわっと和らぐような、あたたかい雰囲気が魅力の街だ。

ドイツビールで乾杯!人気レストランで味わう郷土料理

ドイツビールで乾杯

ランチは、旧市街にある地元で人気のレストラン「Würzburger Ratskeller」へ。

まずはドイツビールで乾杯して、家族そろっての食事に乾いた喉を潤す。

せっかくフランケン地方に来たのだからと、郷土料理を中心に4品を注文して、みんなでシェアすることに。

選んだメニューは…

  • 赤ワインソースでじっくり煮込まれた牛ロースト、Würzburger Kärnnersbraten(ヴュルツブルガー・ケルナースブラーテン)
  • ジビエとフランケンソーセージが一度に楽しめる、Bratwurst Pan(ブラートヴルスト・パン)
  • 自家製マリネサーモンがさっぱり美味しい、House-cured Salmon(ハウスキュアード・サーモン)
  • そして定番のとんかつ風、Schnitzel “Viennese Style”(シュニッツェル・ウィーン風)

どれも見た目に美しく、味のバランスもばっちり。

がっつり系からさっぱり系まで楽しめる、大満足のラインナップだった。

写真を撮る前に取り分けてしまった

……と、ここでひとつ後悔。

うっかりしていて、写真を撮る前に料理を取り分けてしまったのだ。

せっかくの美しい盛り付けが、写真にはちょっと崩れた姿でしか残っていないのが悔やまれるけれど、味の記憶はしっかりと心に刻まれているから、よしとしよう。

旧市街を歩いて教会めぐりと赤屋根の絶景へ

お腹いっぱいランチを楽しんだあとは、腹ごなしも兼ねて旧市街をのんびりとお散歩。

向かったのは、歴史ある教会が集まるエリア。

聖キリアン大聖堂

まず立ち寄ったのは、ヴュルツブルクの象徴ともいえる聖キリアン大聖堂。

ロマネスク様式とバロック様式が融合した、美しい外観が目を引く大聖堂だ。

St. Kilian’s Cathedralの内部

中へ入ると、広々とした空間にやわらかな光が差し込み、静けさの中に荘厳な雰囲気が漂っていた。

ノイミュンスター教会

次に訪れたのは、赤いバロックのファサードが印象的なノイミュンスター教会。

内部も見学させてもらったけれど、ここは写真撮影が禁止されていて、目と心でじっくりと味わう場所。

ベンチに腰掛け、天井の装飾や祭壇を静かに眺める時間は、食後のひとときにぴったりで、心まで落ち着いていくようだった。

マリエン礼拝堂

最後に足を運んだのは、旧市街の中心にあるマリエン礼拝堂。

St Mary’s Chapelの内部

中へ入ると、色とりどりのステンドグラスや華やかな祭壇装飾が目を引く。

観光客も多く訪れていたけれど、どこかあたたかみのある空気が流れていて、地元の人々に大切にされている場所なんだなぁと感じた。

レジデンツの華やかさとは対照的な、静かでやさしい午後の時間。

美しい教会に包まれ、心まですっかり満たされた。

旧マイン橋(アルテマイン橋)

教会巡りのあとは、さらに足をのばして旧マイン橋(アルテ・マイン橋)へ。

端の上でワインを飲む人々

この橋は、石像が並ぶ美しい橋で、ワインを片手に語らう地元の人や観光客でにぎわっていた。

川風が心地よく吹き抜ける橋の上からは、ヴュルツブルクの街並みが一望でき、その眺めの美しさにしばし足が止まる。

橋を渡りきった先には、小高い丘の上にそびえるマリエンベルク要塞。

マリエンベルク要塞からの眺め

階段をのぼって展望エリアまでたどり着くと、そこから見下ろす赤屋根の街並みに、思わず感嘆の声がもれた。

ポルトガルでも赤屋根の街をたくさん見てきたけれど、ドイツの赤屋根はひと味ちがう。

よく見ると、えんとつ付きの屋根がとても多いのだ。

寒い国ならではの光景に、なんだか納得。

ふと頭をよぎったのは、冬の雪降る季節、あの煙突からサンタクロースがプレゼントを届けてくれるかもしれないという、絵本のような想像。

そんな夢のような風景が現実に広がっていることがうれしくて、まるで子どもに戻ったような気持ちで、しばらく見入ってしまった。

旅の疲れを癒す、部屋でゆったりフランケンワイン晩酌

Hotel Reginaのツインルーム

18時前には、ようやくホテルに帰着。

家族がシャワーを浴びている間、私はひとりでスーパーへ夕食の買い出しへ。

フエット・チーズ等の夕食

この日の夕食は、お部屋でゆったりと。

フランクフルトで買っておいたフエット(生サラミ)に、チーズ、サラダ、フルーツなどを盛り合わせた、食物繊維とタンパク質たっぷりのヘルシープレート。

旅先では外食が続きがちだけど、こんな軽めで体にやさしい夕食があると、気持ちまでほっとする。

そして今日のごほうびは、ヴュルツブルク名物のフランケンワインで乾杯!

フランケンワインは、バイエルン州北部・フランケン地方で造られる白ワインで、ドイツワインの中でも辛口でキリッとした味わいが特徴。

そして何より印象的なのが、その独特な丸くて平たい瓶の形。

この形は「ボックスボイテル」と呼ばれ、フランケンワインの象徴ともいえる伝統的なデザインなのだそう。

見た目がかわいいだけでなく、昔は中身がこぼれにくいという理由で、実用面でも好まれていたというからおもしろい。

赤屋根の町を歩き、美しい教会と要塞をめぐり、夜は地元のワインで乾杯。

今日も心に残る、素敵な一日だった。

9月12日:使ったお金

我が家はお酒が好きなので、酒代が高めです。

・バス代(フランクフルト→ヴェルツブルク):26.95ユーロ(=4,765円)
・宿代:280ユーロ(=50,977円)
・レジデンツ入場料:40ユーロ(=6,940円)
・昼食代(シュニッツェル等):108ユーロ(=18,738円)
・トイレチップ(3人分):1.5ユーロ(=260円)
・酒代:23.8ユーロ(=4,129円)
・夕食代(翌日の朝食・昼食分含む):28.2ユーロ(=4,892円)

合計:90,701円