【35】シュノーケルして寝て食べて ダハブで沈没生活(2025.5.8〜12)

エジプト

エジプト・シナイ半島にある海辺の町、ダハブ。

美しいサンゴ礁と素朴なローカル食堂、そして自由気ままに歩き回る猫と犬たち。

気づけばここで“沈没生活”に突入していた。

午前は宿でブログを書き、午後はぷかぷかと海に浮かび、夜はシーフードを食べながら猫と攻防戦。

特別なイベントがあるわけでもないのに、毎日がゆるやかに満ちていく。

今回はそんなダハブ後半5日間の「沈没モード」を、レストラン情報や猫とのエピソードを交えながらゆるっと振り返ってみた。

ダハブで過ごす、ひとつのゆるいかたちとして楽しんでもらえたら。

5月8日 ライトハウスリーフでぷかぷか初泳ぎとごろ寝タイム

ライトハウスリーフ

この日は午後から、定番スポットのライトハウスリーフ(Lighthouse Reef)でシュノーケル。

町の中心から歩いてすぐアクセスできるうえ、岸からわずか5m泳げばサンゴ礁が広がっているので、初心者にも安心。

浅瀬にはカラフルな小魚が群れ、少し沖へ出ればダイナミックなリーフが現れる。

地元の子どもたちが海に飛び込んで遊ぶ姿も、どこかのんびりしていて、こちらの気分まで緩んでくる。

Yalla Bar Dahab

ランチは、ライトハウスから少し歩いた場所にある「Yalla Bar Dahab」へ。

海沿いのテラス席でくつろぎたくて、少し離れてはいたけれどここを選んだ。

監視カメラがあり、店員も常に目を配ってくれているので、荷物を置いて海に入るのも比較的安心。

ただし、貴重品だけは手元管理がベター。

フルーツサラダ

フルーツサラダは、名前の通り果物がたっぷりで甘くて美味しかった。

ただしお値段は390ポンド(=1,146円)とちょっと強気設定。

海沿いの外国人向けレストランなので、これも“チル代”として割り切るしかない。

ソファでごろ寝

食後はクッションを枕に、ソファでごろ寝。

波の音を聞きながらぼんやり海を眺める、そんな時間が何よりの贅沢。

同じく一人旅中のエジプト人女性と相席になり、少しおしゃべりしながら、まどろみの午後を共に過ごした。

King Chicken

夜はローカルの人気店「King Chicken」へ。

グリルチキンのセット

グリルチキンのセットを頼むと、チキンに加えてご飯、パン、小鉢のおかずが4品もついてきてボリューム満点。

これで150ポンド(=440円)という安さ。

やっぱりローカル飯は最高。

5月9日 注射にびびってぐったり寝込む金曜日

この日は狂犬病ブースター接種の2回目。

注射は苦手だし、また病院か…と気が重かったけれど、午後、覚悟を決めて向かう。

モスクでお祈りする人々

病院近くのモスクでは、ちょうどお祈りの時間だったようで、たくさんの人が集まっていた。

金曜日はムスリムにとっての休日。

病院が開いているのか不安になりつつ、そっと入口をくぐる。

ダハブの病院

中はひっそりとしていて、誰もいない。

「やっぱり今日は休診かな…」と思ったが、受付のスタッフに接種スケジュールの紙を見せると、あっさり受付完了。

ナースが冷蔵庫からワクチンを取り出し、注射器に黄緑色の液体を吸い込むと、無言でブスッ。

あっという間に接種は終了した。

休日にも対応してくれるとは、ありがたい限り。

フルーツとスイカジュース

宿の隣のジュース屋でスイカスムージーとカットフルーツを買って、軽めの昼食。

病院に行く、注射を打つ──それだけで思っていた以上に疲れたようで、午後はベッドでぐっすり。

岩山に沈む夕日

夕方、ふと目を覚ますと、空は夕焼け色に染まりはじめていた。

宿を出て、すぐ近くのバス会社のチケットカウンターへ。

広い駐車場の向こうには、ゴツゴツとした岩山が連なっていて、その稜線に太陽がゆっくり沈んでいく。

砂漠の一角にある、静かな夕暮れの風景だった。

Go Busチケットオフィス

もともとは10日にダハブを離れるつもりだったけれど、あまりにも居心地がよくて、もう少しだけ延泊することにした。

ただ、このままだと気づけば際限なく居座ってしまいそうだったので、自分に区切りをつけるためにも、先にカイロ行きのチケットを買っておくことに。

Go Busのチケットオフィスで、13日朝10時発・カイロ行きのチケットを購入(575ポンド=1,689円)。

それから宿に戻り、「あと3泊したい」と伝えると、1泊600ポンド(=1,754円)に値下げしてくれた。

ダハブの夕暮れ

ダハブの夕暮れ時。

空は青からオレンジへ、オレンジから濃い群青へと、ゆっくりと色を変えていく。

穏やかな海にはカヤックが浮かび、その上には真っ白な月がぽっかりと浮かんでいた。

空と海の境目がなくなっていくような、不思議な景色。

Nemo Dahab

夕食は、Nemo Dahabへ。

店先にいた呼び込みのお兄さんは、カメラを向けるとすかさず決めポーズ。

海外あるあるの「俺を撮れ」ムーブ、ここでも健在(笑)。

シーフードパスタ

頼んだシーフードパスタには、大きなエビがゴロゴロ入っていて満足度高し。

のんびりした一日の終わりにぴったりの一皿だった。

5月10日 イールガーデンで再会ランチとにょろにょろの庭

Yum Yum

この日は、ダハブで「一番安く食べられる」と評判のローカル食堂「Yum Yum」へ。

ファラフェルサンド

ファラフェルサンドはたったの15ポンド(=43円)。

一緒に買ったコーラは30ポンド(=87円)で、なんとコーラがファラフェルの倍の値段という逆転現象。

安くて美味い、まさにバックパッカー御用達の店だった。

ライトハウスリーフ目の前の砂浜

今日はシュノーケリングを無料で楽しむべく、防水ケースにスマホと少額のお金、水、日焼け止め、帽子、サングラスだけを持って出発。

目指すのは、Lighthouse向かいにある日陰つきの砂浜。

ちょうど歩行橋が屋根のようになっていて、休憩にちょうどいい。

高いお金を払ってレストランに居座る気にはなれない!というバジェット派にぴったりな場所。

とはいえ、レストランと違って誰も見張ってくれないので、荷物の管理は自己責任。

貴重品を浜に置いて海に入るのは避けた方がよさそう。

ライトハウスリーフ

昨日も来たので、サンゴ礁の場所はばっちり把握済み。

今日も狙いのスポットに直行して、気持ちよく泳いだ。

そのあと、さらに北へ5分ほど歩いたところにある「イールガーデン(Eel Garden)」へも足を伸ばすことに。

イールガーデンへの道のり

観光客が集中するライトハウスリーフとは違い、イールガーデンへと向かう道は静かで人影も少ない。

イールガーデン

イールガーデンは、その名の通り「ウナギの庭」。

白砂の海底から、ガーデンイールたちがびっしりと顔を出す幻想的な光景が広がる。

水の透明度も高く、サンゴ礁も美しい。

流れがある日もあるので、泳ぎに不安がある人はライフジャケットの着用を。

View Restaurantから見たガーデンイール

View Restaurant前の海からまっすぐ20〜30メートルほど泳ぎ、サンゴ礁に沿って左へ少しカーブした先──そこがガーデンイールたちの棲むエリア。

遠目にはただの砂地にしか見えないが、目を凝らすと、にょろにょろと無数の影が揺れている。

まるで砂の庭に命が宿ったような、静かで不思議な光景。

View Restaurant

View Restaurantの前を歩いていると、アカバからダハブまで一緒に国境を越えたハンガリー人女性と偶然再会。

彼女もまたイールガーデンにシュノーケルをしに来たようで、再会を喜び合い、自然と一緒に食事をとることになった。

フルーツサラダ

頼んだのはフルーツサラダとミントティー。

お会計は205ポンド(=602円)で、ライトハウス周辺のレストランより良心的。

観光客も少なく、値段も高すぎず、イールガーデンは穴場かもしれない。

ただ、サンゴ礁までは少し泳がないといけないので、泳げない人には不向きかも。

ハンモックでごろ寝

帰り道、Lighthouse前の歩行橋にあるハンモックでのんびり。

夕方にはちょうど影ができて、寝転ぶのにぴったりの時間帯。

無料なのが嬉しい。

シャワーを浴びて、夕食に出かける頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。

月明かりが照らす海

夜のダハブは、風も波もなく、月だけが静かに海を照らしていた。

その光は透き通った海の中にまで届き、浅瀬の白い砂を青白く浮かび上がらせる。

岸から見ていても、水の透明度がはっきりわかるほど。

Green Vally Resturant

この日の夕食は「Green Vally Restaurant」へ。

ダハブの夜景

海と夜景を眺めながらいただいたのは、海老入りモロヘイヤスープ。

海老入りモロヘイヤスープ

エジプト定番のモロヘイヤスープに、ぷりっとした海老が加わって、磯の香りと緑のとろみが絶妙に混ざり合う。

にんにくの風味がほんのり香り、地味な見た目に反して、身体に染み入るような優しい味わいだった。

5月11日 猫とバズーカと魚のグリルの攻防戦

View Restaurant横にある砂浜

この日はイールガーデンのシュノーケリングを無料で楽しむべく、View Restaurantのすぐ横にある砂浜へ。

ファラフェル

日陰を見つけて腰を下ろし、Yum Yumでテイクアウトしたファラフェルをつまみながら、簡単な昼ごはん。

イールガーデン

レジャーシートがあればもっと快適だけど、なくても十分楽しめる。

防水ケースにスマホと少額の現金だけを入れて、水や日焼け止めは砂浜に置いたまま海へ。

この日もイールガーデンとライトハウスリーフ、ふたつのスポットを泳いでまわった。

荷物は自己責任なので、貴重品は置かない方がいい。

じゃれる子犬

ダハブの街には、犬と猫がとにかく多い。

時折、首輪をつけた犬も見かけるが、日本では考えられないほどのんびりと放し飼いされている。

大型犬も
宿に住み着いている猫たち

私が泊まっている宿にも、何匹もの猫が住み着いている。

部屋のドアを開けた瞬間に、スルリと中へ入り込もうとしてくるので、毎回必死で追い出す。

かわいいけど、食べ物への執念がすごすぎて、初日からテラス席で食べるのをあきらめた。

今ではすっかり、部屋にこもってこそこそ食べるスタイルが定着している。

Shark Restaurant

この数日、いろんなシーフードレストランに行ってみたけど、やっぱり初日に食べた「Shark Restaurant」が一番おいしかった。

少し値段は張るけど、その分だけの価値はある。

この日の夕食は、Shark Restaurantで魚のグリルを注文することに。

魚のグリル

呼び込みのおじさんが「小さめの魚でいいなら500ポンド(=1,461円)にまけてあげるよ!」と笑顔でディスカウントしてくれた。

たしかに小ぶりではあったけれど、私にとっては十分なボリューム。

しかも、焼き立てのパンが食べ放題で、フムスなどの付け合わせもついてくる。

パンがとにかく美味しくて、癖になりそうな味。

でもその香りに誘われてか、次々と猫がやってきては、じりじりとテーブルに近づいてくる。

困っている私に、店員さんが「バズーカ!」と言って水の入ったスプレーを手渡してきた。

猫が近づいてきたら、これで撃退するのだという。

一発放つと、猫は驚いて逃げていく。

効果は絶大。

何度かスプレーを使っていると、「この席の人間は魚をくれないらしい」と猫たちも悟ったのか、やがて誰も近づいてこなくなった。

寝ている犬たち

宿への帰り道、あちこちに犬たちが寝転がっていた。

ときどき吠える犬もいるけど、ダハブの犬たちは基本的に穏やかで、のんびりとした空気が流れている。

メロンスムージー

宿の横にあるジューススタンドで、メロンスムージーを注文。

60ポンド(=176円)。

食後のデザートがわりに、ひんやりと甘くて、ちょうどよかった。

5月12日 カルカデーでとろけて海にさよならする日

View Restaurant

ダハブ最終日。海で泳げるのも今日が最後。

まずはView Restaurantでフルーツサラダの朝食をとってから、今日も思いきりシュノーケリングを楽しんだ。

ハイビスカスティー

シュノーケルのあとは、席をビーチベッドへ移してひと休み。

注文したのは、エジプト名物の「カルカデー(ハイビスカスティー)」。

しっかり甘くて冷たいこの飲みものは、もはやお茶というよりジュース。

火照った体にすーっと染みわたっていく感覚が心地いい。

ビーチベッドでくつろぐ

そのまま風に吹かれながら横になると、波の音に包まれて、いつの間にかうとうとしていた。

この日も、ライトハウスリーフとイールガーデンをはしご。

これでしばらく海とはお別れなので、美しいサンゴ礁の光景をしっかり目に焼きつけた。

Shark Restaurant

夜は、ダハブで一番のお気に入り「Shark Restaurant」へ。

顔を覚えてくれていた店員さんが、にこやかに迎えてくれた。

シーフードスープ

締めくくりの一皿は、シーフードスープ。

具だくさんで、魚介の旨味がぎゅっと詰まった一杯だった。

最後の最後まで、海の味を堪能。

5月8日〜12日:使ったお金

5月8日

・昼食代(フルーツサラダ等):390ポンド(=1,146円)
・夕食代(チキン等):150ポンド(=440円)
・洗濯洗剤:15ポンド(=44円)

合計:1,630円

5月9日

・昼食代(カットフルーツ等):110ポンド(=323円)
・バス代(ダハブ→カイロ):575ポンド(=1,689円)
・夕食代(パスタ等):350ポンド(=1,028円)

合計:3,040円

5月10日

・昼食代(ファラフェル等):45ポンド(=132円)
・宿代(3泊分):1,800ポンド(=5,290円)
・軽食代(フルーツサラダ等):205ポンド(=602円)
・夕食代(スープ等):340ポンド(=999円)

合計:7,023円

5月11日

・昼食代(ファラフェル):30ポンド(=88円)
・夕食代(魚グリル等):525ポンド(=1,543円)
・日焼け止め(50g×2個セット):350ポンド(=1,028円)
・メロンジュース:60ポンド(=176円)

合計:2,835円

5月12日

・昼食代(フルーツサラダ等):215ポンド(=631円)
・夕食代(スープ等):375ポンド(=1,102円)

合計:1,733円