カイロから配車アプリ「inDrive」でギザへ。
今回はライトアップや屋上からの景色も楽しみたくて、1泊でピラミッドを見に行くことに。
ピラミッドビューのレストランで夕食をとり、夜はライトに照らされたピラミッドを眺めた。
翌日は本格的に観光へ。
巨大なスフィンクス、蒸し暑いクフ王のピラミッド内部、そして午後「Ladurée」の上品な空間で、窓越しにピラミッドを眺めながら静かな時間を過ごす。
…と、ここまでは優雅だった。
そのあとは灼熱の砂漠をひたすら歩いて、ピラミッドビューポイントを徒歩で巡るという苦行タイムに突入。
観光客はみんなラクダか馬車なのに、歩いていたのは私だけ。
もはやピラミッドより目立ってたかもしれない。
ピラミッドの圧倒的な存在感とともに、汗と砂にまみれた1泊2日のギザ滞在記。
カイロからギザへ|ピラミッドを見に1泊の小旅行

カイロから配車アプリ「inDrive」でギザへ。
当初は日帰りの予定だったけど、夜のライトアップや、宿の屋上から見える「街の中にそびえるピラミッドの景色」も楽しみたくて、1泊することに。

宿泊先は「Moses Pyramids Inn」。
ピラミッドの入口から歩いてすぐの好立地。

1泊朝食付き・バスルーム付きで600ポンド(=1,738円)。
バルコニーもあったので、たらいを借りて大量の洗濯をして外に干したら、一晩でしっかり乾いた。

この宿では、朝食をとなりのホテルの屋上テラスで食べるシステム。
そこからはピラミッドが一望できる。
朝食の時間以外でもテラスに行っていいと言われたので、夜のライトアップもここで見せてもらうことに。

ギザの街には動物がいっぱい。
野犬はちょっと怖いけど、山羊、ラクダ、馬などがあちこちに。
特にラクダは観光客を乗せるためにたくさん飼われていて、朝晩には「らくだの出勤風景」も見られる。
夕暮れとライトアップ|屋上とレストランからの絶景

夕食はピラミッドビューの高級レストラン「Rooftop 7000」へ。
お値段はもはやエジプト価格ではないけれど、ピラミッドを間近に眺められるロケーションと、美味しい料理が人気。

注文したのは、サーモンとアボカドのサラダ。
チーズも入っていて、ドレッシングの味付けも良く、久しぶりのサーモンがとても美味しかった。

食後にはバニラアイスをいただきながら、夕陽がピラミッドの合間に沈んでいくのを眺める。

巨大な四角錐が4500年前に建てられたという事実に驚きつつ、その神秘的な存在に畏敬の念を抱きながら、美しい夕日に感動した。

宿の人に聞いたところ、ライトアップショーは20時から始まるとのこと。
屋上でスタンバイしていたけど、なかなか始まらない。
「21時からかも」「21時半からかも」とスタッフに言われつつ、宿泊客数人と粘って待ってみたけど…この日は結局始まらなかった (T_T)
有料席のチケット購入者がいないと始まらないのか、それとも機材トラブルか。
原因は不明だけど、楽しみにしていただけにちょっと残念。
タダで見ようとしていたバチが当たったのかもしれない (‘A`)
それでも、暗闇に浮かぶライトアップされたピラミッドの姿は幻想的で、この景色だけでもギザに泊まってよかったと思えるほどだった。

翌朝、再び屋上テラスでピラミッドを眺めながら朝食。
朝はまだ気温もそれほど高くなく、風が吹くテラス席で優雅な朝食タイム。
これから始まる観光に向けて、気分の上がる1日のスタートになった。

スフィンクスを見学し、カフラー王のピラミッドで写真大会

まずはギザのピラミッドエリアに入場するため、Giza Pyramids Ticket Officeでチケットを購入。
入場券が700ポンド、さらにクフ王のピラミッド内部にも入りたかったので、追加で1,500ポンドを支払う。
合計2,200ポンド(=6,607円)と、なかなかの高額チケット。

入場してすぐ、目の前に現れるのは3つの巨大なピラミッド。
左がメンカウラー王、中央がカフラー王、右がクフ王のピラミッド。
まずは入口からいちばん近いカフラー王の河岸神殿を目指す。

この神殿は、ピラミッドとスフィンクスを結ぶ参道の起点にあたる。
花崗岩の柱が並ぶ荘厳な空間で、かつては王のミイラがここに運び込まれたとされている。
現在は内部の一部が見学でき、神殿を抜けると…ついに巨大なスフィンクス像が姿を現す。

スフィンクスは、世界最大の一枚岩の像。
ライオンの体に人間の顔を持ち、カフラー王を模したとされる守護像だ。
全長約73メートル、高さ約20メートル。
実際に見ると、想像よりはるかに大きくて驚く。
写真に収めるのもひと苦労。

風化や破壊によって、スフィンクスの鼻は失われ、あごにあったヒゲの一部はイギリスに持ち去られたまま。
その断片はいまもロンドンの大英博物館に展示されていて、返還はされていない。

背後には、くるんと巻かれたしっぽが丁寧に彫られていて、この“後ろ姿”も実は隠れた見どころ。
スフィンクス像を眺めながら、カフラー王のピラミッドへ徒歩で向かう。

三大ピラミッドの中で2番目に大きく、頂上付近には今も化粧石が残る唯一のピラミッド。
かつては白い石で覆われ、太陽に反射して輝いていたと言われている。
間近でしげしげと眺めていると、土産売りの男性が近づいてきて「写真を撮ってあげるよ」と声をかけてきた。
後で高額請求されるかも…と警戒しつつお願いしてみたら、面白い写真を何枚も撮ってくれて、しかもその腕前がプロ級!


この人、土産売りじゃなくて本業カメラマンの方が向いてるのでは?と思うレベル(笑)
一人旅で自分の写真を撮る機会が少ないので、たくさん撮ってもらえて嬉しかった。
お礼にチップとして50ポンド(=144円)を渡し、次はいよいよクフ王のピラミッドへ。
王妃のピラミッドと、クフ王のピラミッド内部の大回廊へ
クフ王のピラミッドへ向かう途中、小さなピラミッドを発見。

クフ王のピラミッドのそばに、ひっそりと佇む小さな石造りのピラミッド。
これは、王妃ヘヌトセンのものとされている。

外観の一部は崩れているが、低い入口から内部へ入ることができ、急な階段を下ると簡素な石室へたどり着く。


内部には装飾はないが、静まり返った空間に王妃の眠りの気配を感じることができる。
普通の入場券で入れるので、クフ王のピラミッドのチケットを買わない人も、代わりに立ち寄ってみるのもいいかもしれない。
ただし、内部はかなり狭くて蒸し暑いので、覚悟して入るべし。
そしていよいよクフ王のピラミッドへ。

三大ピラミッドの中でも最も大きく、最古の世界七不思議としても知られるクフ王のピラミッド。
かつては高さ146メートルを誇り、現在も138メートルの巨体で砂漠にそびえている。
真正面から見上げると、石灰岩の巨石が何層にも積み上げられた姿に圧倒される。

現在使われている入口は中腹にある小さな開口部。

ここでチケットを見せて、内部へ。

奥へ続く細い通路を進むと、やがて分岐点にたどり着く。

下へ続く通路もあるが、観光客は立入禁止。
観光ルートは上へ続く急な階段を登ることになる。

この階段がなかなかの難所。
通路幅はすれ違えないほど狭く、降りてくる人と鉢合わせすると、通過を待たなければならない。
天井も低く、頭を打たないよう体をかがめながら、慎重に進む。
しかも角度が急で、すぐに汗が噴き出すほど暑い。
中には大柄な男性が肩をこすりながら苦労して登っている姿もあり、「こんなに狭くて暑いとは…」と驚いている人も多かった。

やがて天井が高くなる「大回廊」に出ると、閉塞感から一気に解放され、積み上げられた巨大な石材の迫力に言葉を失う。
さらに進むと、装飾のない石の埋葬室へ。

中央には赤色花崗岩の石棺がひとつ、静かに残されていた。

内部はすでに空だが、ひんやりとした石の空間そのものが、王の眠りを今も物語っているようだった。
高級カフェ「Ladurée」と、ピラミッドビューポイント巡り
クフ王のピラミッドを見学し終え、あまりの暑さと疲れにカフェでひと休みすることに。

ピラミッドエリア内に佇む「Ladurée Khufu」は、世界的に有名なパリ発の老舗パティスリーブランドが、大ピラミッドのふもとに出店した異色のカフェ。
砂色の外観が遺跡とよくなじみつつ、洗練された雰囲気を放っている。

店内はフランスらしい上品なインテリアで、エアコンの効いた涼やかな空間。
窓の外には、まるで絵画のようにピラミッドが広がっている。

この日はマカロンとレモネードを注文。
これだけで603ポンド(=1,745円)と、なんと宿代より高い(‘A`)
でも、甘さと酸味のバランスが絶妙で、灼熱の観光後にはぴったりの癒しコンビだった。

店内ではエジプトの富裕層や観光客たちが静かにくつろぎ、まるでパリの午後のような空気。
その中で、貧乏バックパッカーの私はちょっと場違いな気もしたけど、ピラミッドを眺めながらの優雅なティータイムをしばし満喫。
ひと息ついて体力が回復したところで、観光の後半戦スタート。

三大ピラミッドの中で最も小さなメンカウラー王のピラミッド。
高さは約65メートル(現在は62メートルほど)で、隣のクフ王やカフラー王のピラミッドと比べるとコンパクトに感じる。
この小ささには理由があって、時代の移り変わりとともに王の権力や国家財政が弱まり、大規模な建築が難しくなっていたと言われている。
ピラミッド建築のピークを過ぎ、王のあり方自体が変わり始めた時代の象徴ともいえる。
ここから、ピラミッド全体を一望できる「Panoramic View of the Pyramids」へ徒歩で移動。

広大な砂漠の中に、クフ、カフラー、メンカウラーの三大ピラミッドが整然と並ぶビュースポット。
さらに奥にはもうひとつの絶景ポイント「Panoramic View of the Giza Pyramids」があると知り、思いきってそちらも目指すことに。

問題は、この先がかなり遠いこと。
普通ならここまででも徒歩は少数派だけど、その先へ歩いて行く人なんてまずいない。
みんなラクダや馬、馬車に乗って移動している。
しかも、それらの乗り物は公定料金があるはずなのに、観光地価格でふっかけられるのが現実。
すでにピラミッド入場料やマカロンで散財していた私は、ここは意地で徒歩を選択。

広大な砂漠を、ただひとり徒歩で進む人間。
もはやピラミッドより目立ってたかもしれない。
足元の砂に足をとられながら、「私はラクダ…私はラクダ…」と自分に言い聞かせて歩き続ける。

ピラミッドを背景に、馬車やラクダたちが観光客を乗せてサッと目の前を通り過ぎていく。
その姿はまるで絵葉書のような風景だった。

やっとの思いで到着した「Panoramic View of the Giza Pyramids」。
砂漠の中に一直線に並ぶ三大ピラミッドの眺めは圧巻で、まるで古代にタイムスリップしたかのような不思議な感覚に包まれる。
敷地内にある「9 Pyramids Lounge」で昼食をとることに。

注文したのはフルーツとカルカデーのセットで280ポンド(=810円)。
でも出てきたフルーツはほんのちょっぴり。
ちょっと切ない気持ちになったけど、観光地価格だから仕方ない。
食後はまた砂漠を歩いて出口へ戻る。

ピラミッドを背に、隊列をなして進むラクダたちの姿がなんとも絵になる。

足元には崩れかけた遺跡が点在し、ただの砂漠ではない“歴史の残骸”がそこかしこに。
じりじり照りつける太陽のもと、靴の中に砂が入るたびに「これは観光じゃなく修行だ」と思いながら宿まで帰還。
もう全身ぐったりだった。
カイロへ帰還、そしてコスパ最強のシャワルマで締めくくり
宿で荷物をピックアップし、タクシーでカイロ市内へ戻る。
今日からカイロで2泊する。

泊まったのは「Freedom Hostel」。
ダウンタウンのど真ん中にあり、立地は抜群。
ツインのシングルユースで朝食付き、共用バスながら1泊2,285円という格安さが決め手。
実際に案内されたのはベッド4台の広々とした部屋で、そこを一人で独占。

夕食は宿の近くの「Akram Gad Restaurant」へ。

店先で焼かれていたシャワルマサンドがあまりに美味しそうだったので、フルーツサラダとストロベリーシェイクも合わせて注文。
昼間のフルーツとは違い、こちらはボリューム満点で味も大満足。
しかも値段は140ポンド(=405円)と、昼のカフェの半額。
やっぱりローカル食堂はコスパ最強。
5月22日〜23日:使ったお金
ギザのレストランやカフェは、宿代より高いという衝撃の価格設定。
でも、ピラミッドを眺めながらの贅沢な時間はそれだけの価値があったと思う。
クフ王のピラミッド入場料は1,500ポンドという破格だったけれど、中に入れたのはエジプト旅の中でも特に印象的な経験で、まったく後悔はない。
5月22日
・タクシー代(カイロ→ギザ):160ポンド(=463円)
・宿代:600ポンド(=1,738円)
・洗濯洗剤:10ポンド(=28円)
・夕食代(サラダ等):890ポンド(=2,578円)
合計:4,807円
5月23日
・プラミッド入場料&クフ王内部:700ポンド+1,500ポンド(=6,607円)
・写真チップ:50ポンド(=144円)
・カフェ代(マカロン等):603ポンド(=1,745円)
・昼食代(フルーツ等):280ポンド(=810円)
・タクシー代(ギザ→カイロ):180ポンド(=520円)
・宿代(2泊分):1495.34ポンド(=4,571円)
・化粧水:35ポンド(=101円)
・夕食代(シャワルマサンド等):140ポンド(=405円)
合計:14,903円