【59】レンタカー無しでナミブ砂漠でキャンプ泊する前夜──18kgの鉄骨テントに絶望(2025.6.6)

ナミビア

明日からナミブ砂漠へ──その準備として、今日はテントを借りに行っただけのはずだった。

が、出てきたのは「これミニタリー用のやつ?」とツッコミたくなるほどゴツくて重い鉄骨テント。

まさかの18kg(‘A`)

しかも寝袋もスリーピングマットも一式レンタルして、自前のバックパックもあるとか、持つもの多すぎて泣けてくる。

さらに追い打ちをかけるように、宿に戻って組み立てを試みるも、説明書は謎解きレベル、設営は一人じゃ無理ゲー。

そんな絶望のなか、神が舞い降りた──。

明日から2泊3日でナミブ砂漠へ──なんと自力手配でキャンプ泊!

ナミブ砂漠へ行く手段は、基本的にレンタカーを借りるか、現地ツアーに参加するかの2択。

ウィントフック発・ナミブ砂漠2泊3日のツアーは、なんと7〜8万円。

…ちょっと高すぎやしませんか(‘A`)?

というわけで、多くのバックパッカーはレンタカーをシェアして、他の旅人とグループを組んで向かうのが定番らしい。

でも、私はなかなか日程の合う旅仲間に巡り合えず……。

それに一応、国際免許は持っているけれど──教習所時代は反対車線を走り、ウインカーの代わりにウォッシャーを出すという神業を繰り返して、教官を青ざめさせた前科あり。

あの時、私は固く誓ったのだ。

「もう極力、運転はしない」と。

ということで、レンタカーは却下。ツアーは予算オーバー。

じゃあもう、全部自力で行ってやるしかないじゃないか!

調べてみると、ウィントフックからナミブ砂漠の玄関口・セスリエムまでは、GO2という会社の乗合シャトル(片道790N$=6,565円)があり、所要時間は約5時間。

すぐに公式サイトから予約完了。

セスリエムに着いたら、「Sossusvlei Lodge」併設のSossusvlei Adventure Centreが催行する半日ツアーに参加すれば、レンタカーがなくてもソーサスフレイやデッドフレイといった有名スポットに行けるらしい。

メールで問い合わせたところ、ホテル宿泊者でなくても1,325N$(=10,701円)で参加可能とのこと。

こちらも予約OK!

……と、順調かと思いきや、またしても壁が立ちはだかる。

セスリエムの宿泊施設は軒並み高額で、Sossusvlei Lodgeも例外ではなく、バックパッカーの私には手が届かない。

そこでひらめいた。

「テント借りてキャンプすればよくない?(・∀・)」

──今思えば、このひらめきこそが、のちの地獄の入り口だったのだけれど…。

このときの私は、「私ってば天才♪」とご機嫌だった。

テントは、ウィントフックにあるAdventure Camping Hireでレンタル可能。

営業時間が8時〜16時半と短めだったので、前日に借りに行くことにし、WhatsAppで連絡&予約も済ませた。

キャンプ場は、国立公園ゲート内にある「Sesriem Campsite – NWR」をオンラインで予約(1,340N$=11,136円)。

テントも予約済み、ツアーも手配済み、移動手段も確保済み。

計画通りに進んでいる感じがして、ちょっと得意げだった。

「これで準備はほぼ完了じゃん!」と浮かれながら、ざっと費用をまとめてみると……

  • 往復乗合シャトル:1,580N$(=13,130円)
  • 半日ツアー:1,325N$(=10,701円)
  • キャンプ場2泊:1,340N$(=11,136円)
  • テント・寝袋・マットのレンタル:660N$(=5,330円)

合計:4,905N$(=39,615円)で、ナミブ砂漠自力キャンプ旅が完成!

安くはないけれど、7〜8万円かかるツアーに比べればかなり抑えられたし、なにより自力で行ける達成感もある。

あとはテントを借りて、食料の準備をすればOK。

キャンプ場にはレストランもあるけれど、けっこうお高めらしいので、3日分のお弁当を持っていくことにした。

午前中にスーパーで食材と使い捨て弁当容器を購入し、あとはテントを受け取りに行くだけ。

…なのだが──まさかそのテントが、とんでもない“爆弾”だったとは、このときの私はまだ知らなかった。

まさかの18kg!?鉄骨テントとの格闘とプリンス降臨

レンタルテント店「Adventure Camping Hire」

昼過ぎ、予約していたレンタルテントを受け取りに「Adventure Camping Hire」へ。

せいぜい数キロのコンパクトなテントだろうとタカをくくっていたら、出てきたのは「これミニタリー用ですか?」とツッコミたくなるほどのゴツさと重量感。

カウンターで思わず顔が引きつる。

なんと2人用の鉄骨組テントで、重さはまさかの18キロ!

「もっと軽いのありませんか…?」と聞いてみたけれど、スタッフの答えは無慈悲だった。

「これが一番軽いやつよ」

マジか……(‘A`)

ただでさえ重いこの鉄骨テントに、寝袋とスリーピングマットもレンタル。

もちろん、自前のバックパックもある。

合わせたら、もはや“人ひとり”分の重量感。

レンタカーもなく、女ひとりでこれをシャトル移動って、どう考えても無理ゲー。

でも、すでにキャンプ場は予約済みで料金も支払い済み。

今さらロッジに変更なんてできない。

表情だけなんとか笑顔をキープして、引きつりながらお会計を済ませた。

※ちなみに後日談※
5日間レンタルしたつもりが、実際は4日間になっていたと返却時に判明。
でもたまたま帰りのシャトルが早めに出発したおかげで、返却タイミングはギリセーフ。危なかった……。

レンタルテント類一式

タクシーでなんとか宿に持ち帰ったものの、見るからに頑丈なそのテント、組み立てた経験なんてもちろんない。

ぶっつけ本番はさすがに不安すぎるので、宿のキャンプスペースを借りて練習してみることに。

謎解きレベルの説明書に絶望

しかしそこに立ちはだかったのが、英語で書かれた謎解きレベルの説明書。

説明図は少なく、構造も複雑で、何度読んでもどうやって組み立てるのか全く分からない。

テントを前に呆然と立ち尽くす私。

巨大なテントを前に絶望。そこに神が舞い降りた──!

あまりの絶望感に膝が折れかけたそのとき、キャンプスペースに泊まっていたナミビア人が話しかけてくれた。

名前はなんとプリンス!カッコよすぎでは!?( ゚Д゚)

「それ、僕も同じテント持ってるよ。手伝おうか?」

神様ァ!プリンス様ァ!!。・゚ ‘゜(*/Д\*) ‘゜゚・。

プリンスの力でテント完成!

プリンスは「手伝う」どころか、ほぼ彼一人の力でテントを完成させてくれた。

鉄骨フレームの重たいテントなんて、私の非力では到底無理だった。

私はせいぜい骨組みを支えるだけの戦力外(‘A`)

これ、もしキャンプ場でも誰にも助けてもらえなかったら、私はぺっしゃんこのテントに包まれて寝ることになるかもしれない……。

そうそう何度も神が降臨するわけがない。

今日の練習でプリンスという神を使ってしまった私は、明日の本番で果たしてうまくやれるのか……と不安になる。

でももう、なるようにしかならない!腹をくくってテントを丁寧に収納。

弁当5食!砂漠キャンプの食料準備と夜のほっこり時間

テントを収納し終えたあとは、夕食作り&弁当作りタイム。

キャンプ場に冷蔵庫なんてもちろん無いので、できるだけ日持ちしそうなメニューを…と考え、お弁当の中身は、パスタ・ブロッコリー・ミニトマト。

それにパン、ゆで卵、デザートのみかんを添えて、5食分を使い捨て容器に詰めた。

パスタソースは今のうちにかけてしまうと傷みそうだったので、瓶入りのクリームソースを別で持参し、食べるときにかけるスタイルに。

そして、水も1.5Lのボトルを3本準備。

夕食タイム

夕食は、弁当用に作ったおかずの残りで簡単に済ませていたところ、なんとプリンスがパイを差し入れしてくれた!

牛肉入りのパイ

オーブンで焼いたあつあつの牛肉入りパイ。

これが本当に美味しくて感動。

まだ大学生というプリンスに、今日はもう全幅で甘えてしまっている気がする……ありがとう……。

みんなでビリヤード

夜は、プリンスと、宿で出会った日本人旅人のナリさんと3人でビリヤード。

久しぶりのビリヤード。

しかも海外でやるビリヤードって、なんだか特別で、すごく楽しかった。

プリンスと記念写真

プリンスはダマラ族で、出身はカティマ・ムリロという村。

カティマ・ムリロは、ザンビア・ジンバブエ・ボツワナとの国境に近い場所にあるそうだ。

実は、私がナミブ砂漠から次に向かうのはザンビアのリビングストン。

カティマ・ムリロはそのすぐ近くにある村で、移動中に車窓から見えるらしい。

ほんの一瞬かもしれないけど、彼が生まれ育った場所を見るのが今から楽しみだ。

今日はプリンスに助けられ、そして遊んでもらった1日だった。

6月6日:使ったお金

ナミブ砂漠キャンプに備え、今日は準備費用がいろいろとかさんだ日。

・ランチボックス箱代:39Nドル(=315円)
・スーパー買い物代:282Nドル(=2,280円)
・タクシー代(宿↔レンタルテント店):100Nドル(=808円)
・テント等レンタル代:660Nドル(=5,337円)
・ビリヤード代:6Nドル(=48円)

合計:8,788円