昨日ヒヴァに到着し、街の中をあちこち歩いて回った。
今日は2日間有効の共通チケットを購入して、本格的に観光を楽しむ。
明日は15時すぎの列車でブハラへ移動予定なので、丸一日観光できるのは今日だけ。
今日は朝から夕方までヒヴァの街をたっぷり堪能する。
といっても、ヒヴァ自体はとても小さな街。
主要な見どころをまわるだけなら5時間もあれば十分だ。
それでも2泊できたおかげで、のんびりとしたペースで滞在を楽しめている。
今回は、屋外博物館とも言われるヒヴァの旧市街「イチャン・カラ」をすみずみまで歩いた1日を記録する。
ゲストハウスの朝食と、リスボンから来たすごい旅人
朝9時、お願いしていた時間に共有スペースへ行くと、テーブルには朝食がすでに用意されていた。



パン、チーズ、ゆで卵、自家製の杏ジャム、コーヒー、フルーツ…豪華な内容。
食べ始めようとしたところで、部屋から男性ふたりが出てきた。
ポルトガルから来たという彼らと朝食をともにすることになった。
会話の中で、M氏が、ポルトガル・リスボンのオーケストラでチェロ奏者をしていると聞いてびっくり。
しかも日本のサントリーホールでも演奏経験があるという。
8月にリスボンに行く予定だと伝えると、「ぜひ案内するから連絡してね」とSNSを交換。
その後調べてみたら、彼はグルベンキアン管弦楽団の第二チェロ独奏者という実力者だった。
そんなすごい人と、まさかこの価格帯のゲストハウスで偶然出会うとは思わず…。
私はといえば、リスボンのヌーディストビーチのおすすめを聞いたりしていたので、今さらながら恥ずかしい気持ちでいっぱいに。
ちょっと後悔しながら、観光の支度をしてヒヴァの街へと出かける。
チケット片手に中世の街を探訪〜イチャン・カラの見どころ巡り〜
イチャン・カラは、城壁に囲まれた旧市街。
東西南北に4つの門があり、それぞれの門の近くにはチケット売り場が設けられている。
まずは宿から一番近い東門「Polvon Darvoza(ハルヴァン・ダルヴォザ)」へ向かう。

この門の外側は、かつて奴隷市場が開かれていた場所で、ヒヴァの建築事業に多くの奴隷が使役されていたという歴史がある。

ここで2日間有効の共通チケット(250,000スム=約2,842円)を購入。

このチケットがあれば、イチャン・カラ内にある複数の観光施設に自由に入場できる。
地図付きで、番号が振られているスポットがチケットの対象。
ただし、「EXTRA TICKET」と記載されている場所は別料金が必要。

各門にはゲートが設置されているが、実際にはチケットの有無に関係なく通してくれる。
このゲートの意味は一体…と疑問に思いながら、街歩きスタート。

街を歩きながらチケットで入場できるところを順番に周っていくことにする。

まずは各所に点在するメドレセ(神学校)を巡る。
多くは現在、博物館や土産店として使われていて、建築や装飾を間近で見学できる。



あるメドレセには、綱渡りパフォーマンス用の柱が残されていた。
街中でも同じような柱を見かけたので、人気の伝統芸らしい。

メドレセ内がお土産ショップになっているところも多く、マツコ・デラックスそっくりの女性が描かれた絨毯も販売されていた。
誰が買うんだろう…(‘A`)?

次に向かったのは、タシュ・ハウリ宮殿(Tash Khovli Palace)。
1830年代に建てられたこの宮殿は、ヒヴァの中でも特に豪華な装飾を誇る建築で、内部に入るとまるで別世界に迷い込んだかのよう。
ハーレムとして使われていたエリアは2階建てで、正妻のための豪華な寝室が今もそのまま残されていた。



その敷地内には、ユルタ(Yurt)と呼ばれる遊牧民の伝統的な住居も再現されている。
木で組まれた骨組みにフェルトをかぶせて作られた円形の移動式住居で、実際に中に入ることもできた。
カザフスタンやキルギス、モンゴルなどの遊牧文化に共通するもので、都市に住む人々と自然の中を移動する人々の暮らしが、この小さな空間で交差するのを感じる。


壁や天井にまで施された繊細な装飾には思わずため息がこぼれる。

さらに歩いて向かったのは、ジュマ・モスク(Juma Mosque)。
外観は比較的控えめだが、中に入るとまったく印象が変わる。
木の柱がずらりと並んでいて、その数はなんと213本。
うち最も古い柱は10〜11世紀に作られたものだとか。
柱一本一本に異なる彫刻が施されていて、時代や技法の違いを見比べるのも楽しい。
自然光が差し込む静かな空間は、ちょっとした瞑想のような気持ちになる。

お次は、ムハンマド・アミン・ハン・メドレセ(Muhammad Amin Xon Madrasasi)。
現在はホテルとして使われているが、建物の中庭は自由に見学できるようになっていた。

イチャン・カラの中心部に位置するのが、かつての王の居城「クフナ・アルク(Koʻhna Ark)」。
1837年に建てられたが、現在の建物は19世紀初めに修復されたもの。


部屋のひとつには、シルクロード交易の様子を描いた解説画などが展示されていて、街の歴史をより具体的にイメージすることができた。
かつては多くの人と物が行き交う活気ある都市だったことが、こうした展示からもしっかり伝わってくる。
地元グルメを求めて城壁の外へ
夕方になると、観光の歩き疲れもあって、自然とお腹が空いてくる。
イチャン・カラの中のレストランはどこも観光地価格だし、地元の人が通うような場所にも行ってみたかったので、気分転換がてら外に出ることに。

バフチャ・ダルヴォザ(Bakcha Darvoza)を抜けて、イチャン・カラを出る。


北門から歩いて10分ほどの場所にあるローカルレストラン「ATA GAMBURG」で、牛肉がたっぷり入ったホットサンドを注文。
ピクルスや香草、ソースを自分の好みでトッピングして仕上げるスタイル。
メニュー表には価格が記載されていないので、おそらくローカル価格と外国人価格2種類あると思う。
ジュースと合わせて42,000スム(=476円)だったので、イチャン・カラ内のレストランよりは安上がりだ。

食後は、城壁を眺めながら西門「オタ・ダルヴァサ」から再びイチャン・カラ内へ。
テラスでは西日と格闘、宿では子どもたちと大はしゃぎ

夕暮れの中、評判の良かった「Terrassa Cafe & Restaurant」に立ち寄ってみた。
ここは、ヒヴァの街を一望できるテラス席が有名で、夕方の時間帯は特に景色が美しい…らしい。
だけど、この日は西日がかなり強くて、座ったそばからジリジリと暑さが体にまとわりついてくる。
これでは食事どころじゃないと思い、ドリンクだけをオーダーして、すぐに退散。

代わりにやってきたのはCafe Zarafshon。
ここはなんと、日本語メニューがある貴重なお店。

あまりお腹が空いていたわけではなかったので、さっぱりとした野菜のサラダをチョイス。
優しい味で、疲れた体にちょうどよかった。

帰り道、可愛い猫を発見。
撫でられて気持ちよさそうに目を細めている姿に、なんだかこちらも癒されてしまった。

宿に戻ってからは、共有スペースでブログを書こうとパソコンを広げたけれど、宿の子どもたちがわらわらと集まってきて、すぐに作業は中断。
「写真とって〜!」とせがんでくる可愛らしい女の子、マウスやイヤホンを勝手に触りだす元気な男の子。
注意しても無邪気に笑ってごまかすその様子に、ついついこちらも笑ってしまう。
結局、ブログの執筆はほとんど進まなかったけれど、あの素直な笑顔とエネルギーに触れて、心がぽっと温かくなるような、そんな夜だった。
4月8日:使ったお金
今日はイチャン・カラの共通チケットと食事・カフェ代だけ。
出費は控えめ。
・イチャン・カラ入場料:250,000スム(=2,841円)
・軽食(肉サンド):42,000スム(=477円)
・カフェ:45,000スム(=511円)
・夕食(サラダ):60,000スム(=681円)
合計:4,510円