朝はエアコンの効いたカフェでゆっくりとブログ作業。
昼には念願だったセネガルの国民食・チェブジェンを味わい、その美味しさと安さに感動!
午後は観光馬車に揺られて、歴史を感じるクレーンやモーリタニアとの国境近く、ローカル市場まで、サン・ルイの街をぐるりと巡った。
そして滞在中ずっと気になっていた、しつこく物乞いについてくる子どもたち。
旅の後に「タリベ」という存在を知り、目の前にあったのに気づけなかった現実を思い返すことになった。
夜はスペインバルでワインとタパスを楽しみつつ、2度リジェクトされたモーリタニアe-Visaに、ようやく希望の光が見え始めた──そんな学びと発見の詰まった一日。
カフェで始まる朝と、感動のチェブジェンランチ

朝食に訪れたのは「Farmers Coffee Shop」。
エアコンが効いていて、暑いセネガルの朝でも快適に過ごせるカフェだ。

カフェラテとケーキを頼み、ブログを書きながらゆったりとした午前の時間を楽しんだ。

昼食には、「La Linguere」というローカルにも人気の食堂へ。
リーズナブルな価格と味の良さから、地元の人々にも愛されているお店だ。

お目当ては、セネガルの国民食・チェブジェン(魚の炊き込みご飯)。
名前の通り「魚とごはん」を意味する伝統料理で、トマトで炊いたスパイシーなご飯の上に、白身魚と野菜(にんじん、キャベツ、ナス、カボチャなど)がどっさり盛られた、豪快な一皿。
味も見た目もインパクト抜群だが、魚の旨みが染みたご飯はどこかやさしい味わいで、とても美味しかった。
この料理は家庭ではお昼の定番。
レストランでもだいたい14時〜16時のランチタイムにしか出されないのだそう。
しかもジュース込みでたったの2,300フラン(=605円)。
明日から毎日通いたい!と思ったほどのお気に入りになった。
物乞いの子どもたち──あとから知った「タリベ」の現実

食後、街を歩いていると、どこからか子どもたちの大きな声が聞こえてきた。
気になって建物の中をのぞくと、黒板に向かって整然と座る少年たちが、先生のリードに合わせてコーランを唱えていた。
室内は薄暗く、アラビア語の響きが反響するなか、真剣な表情で声をそろえる子どもたちの姿からは、信仰と学びが生活の一部として根づいている様子が伝わってきた。
彼らは「タリベ」と呼ばれる子どもたちで、イスラムの聖典・コーランを学ぶため、各地のダアラ(コーラン学校)に通っている。

建物の外では、木の板「ロー」にアラビア文字を書き写す少年たちの姿も。
墨で丁寧に文字を綴るその光景は、伝統の学びの場そのもので、どこか微笑ましさすら感じる。
でも、その裏側には、思いもよらぬ現実があった。
実はサン・ルイの街では、観光客にしつこくつきまとう子どもたちによく出会った。
無視しても50メートル以上ついてくることもあり、初日は驚き、2日目は戸惑い、そして3日目にはとうとう我慢の限界に。
「もうついてこないで!」
そう、日本語で怒鳴ってしまったことがあった。
けれど、どんなに怒っても怯まずについてくる彼らの姿に、「なぜここまで…?」と疑問が消えなかった。
そしてセネガルを出た後、ふと気になって調べてみた。
そこで初めて知ったのが、「物乞いをしていた多くの子どもたちが、実はタリベだった」ということ。
セネガルでは、多くの子が幼い頃からダアラに預けられ、寄宿生活をしながらイスラム教育を受ける。
しかし一部の悪質なダアラでは、教育という名のもとに子どもたちを路上に出して“物乞いのノルマ”を課し、その金品を大人が巻き上げているケースがあるという。
ノルマを達成できなければ罰を受ける子もいる──そんな現実を、私は現地では知らず、「迷惑な行為」として冷たい態度をとってしまっていた。
彼らの行動の裏に、そんな深刻な事情があったのだと知り、心から反省した。
今回、私が偶然のぞいたダアラは、きちんと教育を行っている印象だったし、物乞いを強いているようには見えなかった。
でも、サン・ルイには、他にも数多くのダアラが存在している。
セネガルという国の、美しく豊かな文化の裏側には、まだまだ知られていない「影」の部分もある。
タリベの子どもたちとの出会いは、私にとってセネガルの深い一面に触れるきっかけとなった。
ただの観光では得られない、大きな学びだったと思う。
観光馬車でぐるっと街巡り!サン・ルイの見どころめぐり

サン・ルイといえば、街を馬車で巡る観光スタイルが名物のひとつ。
私もその例にもれず、今日は馬車に揺られて街をまわってみることにした。
フェデルブ橋のたもとに行けば、観光用の馬車がずらりと並んでいる。
そこで馬使いと料金交渉をして、今回は1時間半で5,000フラン(=1,316円)という条件で乗せてもらえることに。

今回の旅の相棒は、茶色の馬・マイケル。
もう何年もこの仕事をしているベテランらしく、道順はしっかり頭に入っているようで、名所にさしかかるたびにぴたりと足を止めてくれる。
まるでガイドのような働きぶりに、思わず「賢いなぁ」と感心してしまった。

川沿いを走っていると、岸辺にぽつんと残された古びたクレーンが目に留まった。
今では錆びついた鉄の塊と化しているけれど、かつてこの港で荷物の積み下ろしに使われていた本物の機械だったという。
西アフリカの交易拠点として栄えた時代の名残を静かにとどめる、風情ある風景のひとつだった。

街の北のはずれまで来ると、目の前に広がっていたのはモーリタニア。
木々が並ぶその大地は、肉眼でもはっきりと見える距離にある。
いま私は、そのモーリタニアのe-Visa問題で頭を悩ませている最中。
「こんなに近いのに…!」と思うと、なんとしてでも行きたい気持ちがますます募ってくる。

馬車はさらに進み、ローカルの漁村エリアへ。
ここで一旦降りて、馬使いが市場の中を案内してくれることに。

訪れた「Marché Ndar」は、観光客の姿はまったくなく、地元の人々が日々の買い物に訪れる完全ローカル市場。
アーケードの下に並ぶ店々はディープな雰囲気満点で、正直ひとりでは少し勇気がいるような場所だった。

市場では布を売る店が多く、中には足踏みミシンで服を縫っている職人の姿も見られた。
その手元をじっと見ているだけで、手仕事の温かさが伝わってくる。

特に印象に残ったのは、女性が空のペットボトルに木の枝を詰めて売っていた光景。
馬使いによると、これは「水をきれいにする木」なのだそう。
詳しい使い方まではわからなかったけれど、自然の力を活かした伝統的な浄水材とのこと。
こうした生活の知恵が今も息づいていることに、静かに感動した。

案内の途中、馬使いの知り合いから、熱々の甘いコーヒーを一杯ごちそうになった。
ほんのり香ばしくて、じんわりと体に沁みるような美味しさだった。

最後に馬車の上で記念写真を一枚。
サン・ルイの歴史や暮らしを肌で感じながら、ゆっくりと街を一周して観光は終了。
戻るころには日もすっかり暮れて、お腹もペコペコ。
そのまま夕食を食べに出かけた。

夕食に選んだのは、スペインバル「Siki Rio」。
冷房が効いた快適な空間で、旅の締めくくりにぴったりのレストランだ。

タコのグリルとワインを楽しみつつ、今日の街歩きを振り返る──そんなひとときの中にも、頭の片隅にはビザのことがずっと引っかかっていた。
モーリタニアVISA問題、最後の賭け
さて、問題はモーリタニアのe-Visa。
実はすでに2回も申請をリジェクトされ、もう打つ手なしという状態だった。
藁にもすがる思いで連絡をとったのが、モーリタニア・ヌアクショットにある宿「Auberge Triskell Nouakchott」。
WhatsAppでやりとりしていたスタッフに、「ダメ元で国境に行ってアライバルビザを狙ってみようと思う」と相談したところ、「今はもうアライバルビザは発行されていない」との冷たい現実が…。
希望を失いかけていたそのとき、そのスタッフが「よければ、私が代わりに申請してみましょうか?」と申し出てくれたのだ。
彼が使う申請ページも私と同じものだが、私のやり方に何か問題があった可能性もある。
そんな可能性に賭けて、最後の望みを彼に託すことにした。
どうか、18日までにビザが降りますように──そんな祈りを胸に、眠りについた。
7月16日:使ったお金
チェブジェンがこの美味しさでたったの605円!?コスパ最高すぎ。
・カフェ代(コーヒー等):3,500フラン(=921円)
・昼食代(チェブジェン等):2,300フラン(=605円)
・ポストカード2枚:600フラン(=157円)
・馬車(1時間半):5,000フラン(=1,316円)
・夕食代(タパス等):5,500フラン(=1,448円)
・牛乳等:450フラン(=118円)
合計:4,565円