ユーラシア大陸最西端のロカ岬へ。
今日はリスボンから電車とバスを乗り継ぎ、断崖の先に広がる大西洋の絶景を見に出かけた。
本来はシントラのペーナ宮殿も訪れる予定だったけれど、猛暑による山火事の影響で閉鎖中とのことで、プランを変更。
それでもロカ岬の迫力ある風景や、途中立ち寄った海辺の街カスカイスでのんびりした時間が、とても心に残る一日となった。
シーフードたっぷりのランチ、轟く波音、冷たい海水、夕焼けに染まる街並み──リスボン郊外の自然と街の魅力をじっくり味わった一日だった。
電車とバスでアクセス!ロカ岬への行き方
今日は、ユーラシア大陸の最西端「ロカ岬」を目指して、リスボン近郊への日帰り旅。
本当はロカ岬の近くにある街・シントラにも立ち寄り、名高いペーナ宮殿を見に行く予定だったのだけれど、ここ数日の異常気象で計画が変わってしまった。
リスボン周辺は連日猛暑が続き、山火事のリスクも高まっているそうで、ペーナ宮殿は安全のため閉鎖されているとのこと。
事前に公式サイトから時間指定の入場チケットを購入していたが、当日も閉鎖とのメールが届いたため、返金手続きを行った。
ペーナ宮殿に行けなかったのは残念だけれど、そのぶんロカ岬や、途中に立ち寄る海辺の街カスカイスで、ゆっくりとした時間を過ごすことにした。

朝はのんびり朝食をとって、10時すぎに宿の近くのCais do Sodré駅から電車に乗り、カスカイスへ向かう。

駅の窓口で、リスボン〜カスカイス間の往復チケットを購入。
料金は5.4ユーロ(=927円)で、そのうち0.5ユーロはViva Viagemカードの発行手数料。
このカードはチャージ式で、地下鉄や市電などでも使えるのだけれど、チャージの最低金額が決まっている上、使い切るのが難しそうだったので、今回はこの区間でしか利用しなかった。
電車に揺られること約1時間で、終点のカスカイス駅に到着。
そこからロカ岬行きのバス停までは徒歩5分ほど。

ロカ岬へ向かう1624番のバスは、およそ30分に1本のペース。
うまくタイミングが合わないと、しばらく待つことになるが、この日はちょうどバスが遅れていたおかげで、予定していた便に間に合った。
運賃は2.6ユーロ(=446円)。
ドライバーに直接支払って乗車。
カスカイスの町を抜け、丘を越えながらバスで30分ほど進むと、ついにロカ岬に到着した。
地の果てを感じる、ロカ岬の絶景とモニュメント

バスはロカ岬の観光案内所前に停車。
ここには有料のトイレ(0.5ユーロ=85円)がある。
正直ちょっと高いけれど、背に腹は代えられず利用。

建物の入り口には郵便ポストもあり、ここから投函されたハガキにはロカ岬の消印が押される。

事前にリスボンで用意しておいたハガキと切手を取り出し、日本の家族を思いながら、願いを込めて投函した。

いよいよ、ロカ岬の岬先端へと歩いていく。
海に近づくにつれて風はどんどん強まり、リスボン市内とは明らかに体感温度が違う。
冷たい風が吹きつけるため、上着は必須。
帽子をかぶる場合は、飛ばされないように気をつけた方がいい。

目の前に現れたのは、断崖の上に立つ赤と白のロカ岬灯台。
そしてその背景には、大西洋の青がどこまでも広がっていた。
風に吹かれながら見下ろすその風景は、「ここで陸が終わり、海が始まる」という言葉がぴったりの、まさに“世界の果て”を感じさせる絶景だった。

観光客に人気の記念撮影スポットは、大きな石碑が建てられたロカ岬のモニュメント。
そこには、ポルトガルの詩人・カモンイスの詩の一節が刻まれている。
「Aqui, onde a terra se acaba e o mar começa」
(ここに地果て、海始まる)
まさにこの場所の空気感すべてを表しているような一文だった。
アフリカ大陸の最南西端「喜望峰」、最西端「カーポ・ヴェール岬」を旅してきた中で、今日こうしてユーラシア大陸の最西端に立っていることに、しみじみとした感慨を覚えた。

灯台の方へとさらに歩いていくと、海沿いの断崖には遊歩道が整備されていた。
観光客の多くはモニュメント周辺にとどまっているため、こちらまで来る人は少なく、静かに絶景を楽しめる穴場だった。
帰りは、再び観光案内所前のバス停からカスカイス行きの1624番に乗車。
なお、同じ1624番のバスでもシントラ行きがあるため、乗る前に行き先がカスカイスかどうか、必ず確認を。
私も念のため、ドライバーに「カスカイスに戻るか」を尋ねてから乗り込んだ。
海の幸と緑ワインを堪能!カスカイスでランチタイム

カスカイスに戻ってきたのは、ちょうど14時ごろ。
お腹もすっかり空いていたので、人気レストラン「Manjar da Vila」でランチをとることにした。

カスカイスはリゾート地であると同時に港町でもあり、シーフードが美味しいことで知られている。
そんなわけで迷わず頼んだのは、海の幸がたっぷり入ったシーフードライス。
ムール貝、エビ、アサリがごろごろと盛り込まれ、見た目にも味にも大満足の一皿だった。
一緒に頼んだのは、ポルトガル名物の緑ワイン(VINHO VERDES)。
爽やかな口当たりで、シーフードとの相性も抜群だった。
「地獄の口」やビーチ散歩、カスカイスの街歩き

お腹も満たされたところで、カスカイスの名所「地獄の口」へ向かう。
レストランから歩いて20分ほど。
ここは海の浸食によってできた断崖の裂け目で、打ち寄せる波の音がごうごうと響く、迫力満点のスポット。
自然の力を間近で体感できる。

その後は海辺に建つ美しい邸宅「Museu Condes de Castro Guimarães」へ。
まるでお城のような外観だが、もともとは貴族の別荘として建てられた建物で、現在は博物館として公開されている。
今回は中には入らなかったが、独特の建築と海辺のロケーションがとても印象的だった。

近くには、旧城塞の石造りの門も残っていた。
かつてはこの門を通って街に出入りしていたのだろうと思うと、ただのアーチも歴史の重みを帯びて見えてくる。

ビーチには海水浴を楽しむ人たちの姿が。

街歩きで暑くなったので、足だけ海に浸けてみたところ、驚くほど冷たくてびっくり。
だけどその冷たさのおかげで、ちょっと体がリフレッシュされた。

中心街にはショップやカフェが並び、多くの観光客でにぎわっていた。
カスカイスは「リスボン子の憧れの街」とも言われ、リスボンから日帰りで訪れるのが定番コースらしい。
夕方、電車でリスボンに戻ると、すでに18時を過ぎていた。
もしペーナ宮殿に行っていたら、ここまでゆっくりロカ岬やカスカイスを楽しむ時間はなかったと思う。
これはこれで、充実した一日だった。
旅の余韻とともに、リスボン最後の夜を過ごす

リスボンの宿に戻り、テラスに出て街を眺めると、夕日に照らされて建物がやわらかくオレンジ色に染まり、とても美しかった。

帰り道のスーパーで、カットメロンの3種盛り(5ユーロ=858円)を見つけて購入。
生ハムとチーズを合わせて、ささやかながら満足度の高い夕食になった。
今日は電車とバスでリスボン郊外の海辺をまわり、自然と街の両方をじっくり堪能した1日だった。
いよいよ明日、リスボンを離れてポルトガル第二の都市・ポルトへ向かう。
ドウロ川沿いに広がる歴史ある街並み、美味しいポートワインの本場。
リスボンとはまた違った「北のポルトガル」の空気を感じられるのが楽しみだ。
リスボンで過ごした数日間を振り返りながら、新しい街へ向けて出発する。
8月16日:使ったお金
今日は外食や交通費はあったものの、観光施設には入らず、出費は比較的控えめ。
・電車代(リスボン↔カスカイス):5.4ユーロ(=927円)
・バス代(カスカイス↔ロカ岬):5.2ユーロ(=892円)
・トイレ代:0.5ユーロ(=85円)
・昼食代(シーフードライス等):23.5ユーロ(=4,034円)
・夕食代(カットメロン):5ユーロ(=858円)
合計:6,796円