【144】世界遺産スース旧市街めぐり、迷路の路地と要塞リバトの風景(2025.8.31)

チュニジア

地中海に昇る朝日で目覚めたスースの朝。

オーシャンビューのカフェで朝食をとり、明日の海賊船クルーズを手配したあとは、世界遺産に登録された旧市街・メディナをぶらりと散策。

9世紀のモスクや要塞リバトを訪ね、正方形の構造が響き合う美しい景観に見入った。

迷路のような路地を抜け、アーモンドティーとシーシャで涼をとったのは、地元で人気のカフェ「Dar Mariem」。

観光地でありながら観光客が少なく、価格も比較的ローカル水準なのがスースのいいところ。

暑さと歩き疲れもあり、午後は宿で海を眺めながらのんびり過ごした。

そんな静かで濃密な旧市街探訪の一日。

地中海の朝日とホテルで迎える爽やかな朝

朝日を浴びて目が覚める

朝6時。

カーテンを全開にして寝ていたから、部屋いっぱいに差し込む朝日で目が覚めた。

窓の外には地中海に昇る朝日。

眩しい光が海面にきらめき、まさに最高の一日の始まりを告げてくれた。

ホテル1階のカフェ

朝食はホテル1階のカフェへ。

すぐ目の前がビーチなので、海を眺めながらのんびり食べられる。

パン3種、ゆで卵、カフェオレの朝食

パン3種類にゆで卵、カフェオレというシンプルなセットながら、朝からしっかりお腹を満たしてくれる内容だった。

食後、ホテルスタッフに「海賊船クルーズに乗りたい」と相談すると、すぐに旅行エージェントを紹介してくれた。

スタッフの電話一本で担当者が現れ、クルーズ船の送迎付きで3時間、ランチ込み、水1本ついて70ディナール(=3,565円)とのこと。

悪くないと思い、その場で申し込み。

明日の午前中に出発することが決まり、ひと安心。

今日は気ままにスースのメディナ(旧市街)を歩くことにした。

世界遺産スース旧市街──グランドモスクと要塞リバトを歩く

メディナ入口

旧市街の入口には、不思議なモザイク画が残っている。

入口にあるモザイク画

三叉の槍を持つ男が、魚の尾をもつ馬を従えて海を駆ける姿──おそらく古代ローマ神話の海神ネプトゥヌス(ポセイドン)だろう。

かつて海洋交易で栄えた街らしく、今も神話の一場面が街角にひっそり残っているのが面白い。

スースのメディナ(旧市街)

スースのメディナは9世紀から続く海沿いの城塞都市で、世界遺産にも登録されている。

白壁とアーチの連なる細い路地は、アラブ・イスラム都市の原風景を思わせる。

生活感のある市場や行き交う人々の姿も、観光地というより地元の街の延長のような素朴さがあった。

グランド・モスク

まず向かったのは旧市街の中心にあるグランド・モスク。

入口で5ディナール(=254円)を払えば観光客も見学でき、女性にはスカーフも貸してくれる。

9世紀のアグラブ朝時代に建てられたチュニジア最古級のモスクだ。

静けさに包まれた美しい回廊

中に入ると、まず回廊の美しさに心を奪われた。

アーチと石柱が規則正しく並び、光と影が交差する空間は、不思議な静けさをまとっている。

礼拝ホール

奥の礼拝ホールも装飾は控えめで、祈りに集中できる落ち着いた雰囲気。

華美ではないけれど、その簡素さが心をすっと整えてくれるようだった。

修道士の要塞リバト

続いて訪れたのは、石造りの要塞「リバト」(入場料8ディナール=407円)。

9世紀に築かれたこの施設は、祈りと警備を兼ねた場で、修道士でもあり戦士でもある人々がここで暮らし、外敵に備えていたという。

中庭を囲むアーチ型の回廊と小部屋は質素ながら重厚で、当時の暮らしを静かに伝えている。

螺旋階段をのぼって塔の上へ

螺旋階段を登って塔の上へ行くと、眼下にリバトの中庭と回廊、すぐ隣にはグランド・モスクの丸屋根と四角い中庭が見渡せた。

リバトの全景と街並み
グランド・モスクと海

二つの建物がともに正方形を基調にした構造を持つことが一目でわかり、信仰と防衛の中心が寄り添うように建っていることを実感した。

Zaouia Zakkak

散策の締めくくりは、17世紀に建てられた聖者の霊廟「Zaouia Zakkak(ザウィア・ザッカーク)」。

八角形のミナレットが特徴で、オスマン建築の影響が感じられる。

内部には入れなかったが、静かな通りに佇む姿はどこか異国情緒を漂わせていた。

メディナのカフェでひと休み──アーモンドティーとシーシャ

迷路のようなメディナ

迷路のような旧市街を歩き回り、暑さに限界を感じたころに見つけたのが、奥まった場所にあるカフェ「Dar Mariem」。

Dar Mariem

入口のディスプレイからして可愛らしく、ローカルで賑わう人気店だった。

おしゃれな店内

洞窟のような店内はチュニジアらしいテキスタイルで彩られ、扇風機の風に救われながら一息。

アーモンドティー、フルーツサラダ、シーシャ

ここでアーモンドティー、フルーツサラダ、そして久々のシーシャ(水タバコ)を注文。

アーモンドティーはこれまで訪れた国では見かけなかったので試してみたら、香ばしくてほんのり甘く、とても美味しかった。

フルーツの酸味とシーシャの煙に包まれ、すっかりクールダウンできた。

スースのモニュメント

帰り道、ビーチ沿いに立つスースのモニュメントに出会った。

青い空とヤシの木、そして美しい海──まさにリゾートの象徴のような風景。

旧市街の歴史とビーチの開放感、その両方を楽しめるのがスースの魅力だと感じる。

午後は観光をやめ、宿で海を眺めながらのんびり過ごすことにした。

旅人の味方、夕食にシャワルマサンドをテイクアウト

シャワルマサンド

夕食は昨日に続き、宿の近くのファーストフード店でテイクアウト。

今日はシャワルマサンド、8ディナール(=407円)。

手軽で美味しく、旅人の味方だ。

チュニジアはモロッコと似ているけれど、物価は全体的にこちらの方が安い印象。

観光客はオールインクルーシブの高級リゾートに滞在しているのか、街中で外国人を見かけることは少なく、観光地やレストランの価格もローカルに近い水準だ。

ただ、都市間の交通はモロッコほど発達していないので、気ままに周遊するにはやや上級者向けかもしれない。

宿代はやや割高に感じるものの、総合的にはリーズナブルで、低予算のバックパッカーにもおすすめできる国だと思う。

明日はいよいよ、楽しみにしていた海賊船クルーズ。

どんな一日になるのか、わくわくしている。

8月31日:使ったお金

海賊船の乗船代は少し高めだったけれど、それ以外は全体的にリーズナブルで助かった。

・海賊船乗船代:70ディナール(=3,565円)
・グランドモスク入場料:5ディナール(=254円)
・リバト入場料:8ディナール(=407円)
・昼食代(フルーツサラダ等):30ディナール(=1,527円)
・夕食代(シャワルマ):8ディナール(=407円)

合計:6,160円