チュニジア観光の実質最終日。
前日はまさかの休館に泣いたバルドー博物館へ、リベンジの思いで再訪。
世界屈指と称されるローマ時代のモザイクコレクションが並び、襲撃事件の記憶とともに守られ続ける文化財の数々に心を打たれる。
広大な館内を歩きながら、緑に囲まれたカフェでシトロンジュースを飲んでひと休み。
再び展示を楽しんだあとは、タクシーでメディナへ戻る。
午後は中央市場でエビとイカを買って食堂で焼いてもらう絶品ランチを満喫。
郵便局でハガキを出したあと、昨日は入れなかったオリーブモスクへも無事に入場。
夕方にはEl Mrabet Cafeでアイスティーを飲みながら、旅の終わりを静かに噛みしめた。
世界屈指のローマモザイク!バルドー博物館で時空を旅する

国立バルドー博物館
昨日はまさかの休館日にぶつかり、入口の前で呆然。
今日はそのリベンジを果たすべく、再び足を運んだ。
チュニス郊外にある国立バルドー博物館は、世界でも屈指のローマ時代モザイクのコレクションを誇る、チュニジア最大の博物館。
もともとはフサイン朝の宮殿として建てられた建物が使われていて、イスラーム建築の繊細な装飾と、古代ローマ・ビザンティン・カルタゴ時代の展示が共存する、まるで時空を超えたような空間が広がっている。

チュニスの博物館と聞いて、あの2015年の銃撃事件を思い出す人もいるかもしれない。
日本人観光客3名を含む22名が犠牲となった、痛ましい事件。
博物館の入口近くには、亡くなった方々の名前が刻まれた記念碑が、静かに佇んでいた。
事件以降、館内の警備体制は大きく強化されていて、入口では空港並みの荷物検査と金属探知機によるセキュリティチェックが実施されている。

館内には、19世紀のチュニスの邸宅を再現した展示スペースも。
T字型の建物に囲まれた中庭には、カラフルなタイルや小さな噴水、優雅なアーチ装飾が施され、当時の上流市民の暮らしぶりが静かに語られていた。

こちらは、魚や鳥、草花などが描かれたモザイク装飾が美しい、初期キリスト教の洗礼盤。
縁にはラテン語の祈りが刻まれ、神聖さと美の調和が空間全体に漂っていた。

バルドー博物館はとても広く、途中で一度休憩を挟むことに。
敷地内のカフェは緑に囲まれた癒し空間で、ゆりかごのような椅子に身を預け、ゆらゆら揺られながらしばし体力回復。

冷たいシトロンジュースを飲みながら、ぼーっと過ごす贅沢な時間。
今日の最高気温は37度。
屋外なのでじりじりと暑いけれど、日陰にいればまだまし。
館内にもエアコンはなく、ちょっと蒸し暑いけど、それでも外で観光するよりははるかに快適。
本当はカルタゴ遺跡も行きたかったけれど、この暑さでは無理…。
結果的に、こちらに来て大正解だった。
カフェでしっかり休んだあと、再び展示室へ。

このモザイク画は3世紀初頭、スース近郊のローマ邸宅に飾られていたもの。
中央には詩人ウェルギリウス、両脇には詩のミューズと演劇のミューズが描かれ、彼の創作を見守っている。
文学と芸術の象徴として残された、貴重な一枚。

この博物館の目玉のひとつが、ネプチューン(ポセイドン)の勝利を描いた巨大なモザイク画。
残念ながら部屋は修復中で中には入れず、ドアの隙間からのぞき見するしかなかった。
ネプチューンが海を駆ける馬車に乗り、波間を突き進む壮大な場面。
…でも私には、どうしても『リトル・マーメイド』のアリエルのお父さんにしか見えなかった。(‘A`)
この部屋の前で、背伸びしながらなんとか写真を撮ろうとしていたら、係員さんが「中に入って写真を撮ってきてあげるよ」と声をかけてくれた。
スマホを預けたものの、「もしや偽物係員でこのまま持ち逃げされたら…」と一瞬ヒヤッとしたけど、ちゃんと写真を撮って戻ってきてくれた。
お礼にチップを渡し、にっこり感謝。

展示の最後に見たのは、ローマ時代の沈没船から発見されたお宝コレクション。
商船が地中海を航海中、嵐に遭って沈没。
その積み荷とともに、ブロンズ像なども海底から引き上げられ、模型とともに展示されていた。

数百年ものあいだ、暗い海の底に眠っていた像。
それが今、こうして目の前に現れている。
まるで時を超えて現れた宝物のように見えた。
難破の歴史に思いを馳せながら、その重みをじんわりと感じた。

博物館見学を終えたあとは、タクシーでメディナへ戻る。
喉がカラカラだったので、屋台でパイナップルジュースを一杯。
フレッシュジュースらしく、とろりと濃厚でクセになる味わいだった。
中央市場でローカルシーフードランチ!エビとイカで大満足

その足で、チュニス中心地にある「Central Market of Tunis(中央市場)」へ。
観光地化された雰囲気はまったくなく、新鮮な野菜や果物、スパイス、シーフードがずらりと並ぶ、地元感たっぷりのローカル市場。
観光客の姿は見当たらず、活気と熱気に満ちていた。
今回は魚売り場でエビ3匹(2.5ディナール)とイカ2杯(1ディナール)を購入し、市場内にある食堂でその場で焼いてもらうことに。



焼き代は6ディナール。
しかもこの料金には、前菜としてケフタジ(野菜と卵の炒めもの)やフライドポテト、パンも付いてくるという太っ腹さ!

プリプリのエビと香ばしく焼けたイカを、その場で食べる贅沢。
これ全部で9.5ディナール(=480円)という、驚きのコスパ最強ランチだった。
チュニス中央郵便局から、日本の友人へハガキを投函

食後は市場近くにあるチュニス中央郵便局へ。

昨日買っておいたポストカードに切手を貼り、日本の友人へ送る。
「無事に届きますように」と、心の中でそっと願いを込めて投函した。
オリーブモスク再挑戦!静寂の中庭と祈りの空間へ

15時になり、昨日入れなかったオリーブモスクへの再挑戦へ。
今日は入口で誰にも止められることはなく、すんなりと中へ。

入口で係の人が無料でスカーフを貸してくれた。
やっぱりGoogleマップの情報どおり。
昨日、やたらと止めてきた通行人は一体なんだったのか…。

オリーブモスクは、北アフリカ最古級の歴史あるモスク。
白い丸屋根と、静けさに包まれた中庭。
アーチを描く回廊がとても美しい。

内部には赤い大理石の柱がずらりと並び、シャンデリアがきらめいている。
信者たちが静かに祈りを捧げており、見学者はスカーフを着けたうえで、入口からそっと中を覗くだけ。
荘厳で神聖な空気が漂っていた。

中庭では、ミナレットを背景に鳩と遊ぶ子どもたちの姿も。
祈りの場であると同時に、地元の人々の日常が息づく、大切な空間だと感じた。
El Mrabet Cafeでチュニス最後のティータイム

夕方、昨日も立ち寄ったEl Mrabet Cafeへ。
今日は食事スペースではなく、カフェスペースでゆっくりお茶をすることに。
選んだのはアイスティー(青りんご+キウイ味)。
さっぱり爽やかで、疲れた体が一気に生き返るようだった。
こうして、博物館、市場、モスクと、昨日とはうってかわって充実した一日が終わった。
明日の朝は、早朝便でドイツ・フランクフルトへ。
灼熱のチュニジアから一気に秋のヨーロッパへ──気温差に体がついていけるかちょっと不安に思いながら、眠りについた。
9月9日:使ったお金
10日に支払ったタクシー代とサラダ&フルーツ代は、チュニジアでの合計に含めるため9日分に計上します。
・タクシー代(メディナ→バルドー博物館):3.4ディナール(=172円)
・博物館入場料:13ディナール(=660円)
・カフェ代(シトロンジュース):10ディナール(=507円)
・写真チップ:2ディナール(=101円)
・タクシー代(バルドー博物館→メディナ):7.2ディナール(=365円)
・エビ3匹:2.5ディナール(=126円)
・イカ二杯:1ディナール(=50円)
・焼き代:6ディナール(=304円)
・切手代:3ディナール(=152円)
・早朝見送り代:10ディナール(=507円)
・カフェ代(アイスティー):12ディナール(=609円)
・タクシー代(メディナ→空港):11.8ディナール(=596円)
・サラダ:22ディナール(=1,111円)
・カットフルーツ:19ディナール(=960円)
合計:6,220円
これまでの旅費の合計

スペイン(第二回)からチュニジアでの旅費の合計は105,016円でした。
・航空券代(マドリード→チュニス):22,110円
・チュニジアでの滞在費(10泊):クレカ払い18,636円+キャッシング64,270円=82,906円
合計:105,016円
日本出国からチュニジアまでの旅費の総合計は、2,083,392円でした。