ネパール滞在もいよいよ終盤。
エベレスト・ベースキャンプを歩ききった余韻と疲れを抱えながら、カトマンズのタメルで過ごす最後の数日間。
使い終わったトレッキング用品を売り、マッサージとサウナで体を整え、懐かしい日本食にほっとひと息。
観光では、父と一緒にダルバール広場やクマリの館を訪れ、カトマンズ旧市街をのんびり散策。
ヒマラヤの雪山に見送られながら、25日間のネパール滞在に別れを告げる日がやってきた。
次なる目的地は、はるか遠くメキシコ。
地球の裏側へ向けて、トルコ・イスタンブールを経由する大移動が始まる。
旅のひと区切りと新章の入り口が交差するこの4日間を、静かに、そして少し名残惜しく記録しておこうと思う。
10月23日 トレッキング用品を売ってスッキリ、イタリアンで満腹の一日
久しぶりに快適な空間とふかふかのベッドで眠れて、朝はすっきりと目が覚めた。
とはいえ、風邪はまだ完全には治らない。
私も父も鼻水と咳が止まらず、本調子とはいえない体調。
このあとは4日ほどカトマンズに滞在してからメキシコへ向かう予定だけど、あまり無理はせず、のんびり休養しながら体力回復に専念することにした。

朝ごはんは宿のセットメニュー。
目玉焼きにグリル野菜、フルーツなど、おかずがたっぷりで、シンプルながら満足感のある内容だった。

朝食を終えたあと、使わなくなったトレッキング用品を売るべくタメルの町へ。
中古品を扱っていそうなお店を3軒ほどまわり、それぞれで見積もりを出してもらう。

手放したのは、リュック、ダウン手袋2セット、トレッキングポール2セット。
合計で3,000ルピー(=3,232円)に。
一度使ったものはあまり需要がないのか、全体的に買取価格は低めだったけれど、ネパールのローカルブランドの新品ポールだけは比較的高く売れた。
ちなみに、父がネパールで10,000ルピーで購入したローカルブランドのダウンジャケットは、ガイドのゲルさんが2,000ルピーで買い取ってくれた。
最終的に、全部で5,000ルピー分の不要品を手放せたので、まずまずの成果といえる。

昼食は、事前にチェックしていたレストランを何軒かまわってみたものの、ティハール祭の影響でどこもクローズしていた。
ようやく立ち寄ったホテル併設のレストランで、なんとか昼ごはんにありつく。
注文したのは、サンドイッチとラッシー。
午後は、メキシコで使う父の短パンやTシャツ、日本の家族へのお土産などを探して、タメルの町でショッピングを楽しんだ。

夜は、外国人旅行者に人気のイタリアンレストラン「Roadhouse Cafe」へ。
トレッキング中はネパール料理が続いていたので、そろそろイタリアンが恋しくなっていた。

注文したカルボナーラは濃厚な味わいで、本格的なおいしさに感動。

窯で焼き上げられたピザもこの店の名物で、ネパールにいることを忘れるほどのクオリティ。
父も「これはうまい」と絶賛していた。
10月24日 サウナとマッサージでととのう、心は日本食でほっとひと息

この日は、2泊お世話になった「Satkar Boutique Home」をチェックアウトし、タメル地区の別の宿「Hotel Mega & Apartment」に移動。
こちらの宿は少しだけ安かったけれど、夜は周辺がやや騒がしく、部屋には冷蔵庫もなかったので、総合的には「Satkar」の方が快適だった。

昼食は、カトマンズに戻った初日に訪れた韓国料理店「Korean Kitchen Picnic」へ再訪。
今回は石焼ビビンバを注文したけれど、味付けがやや薄く、正直いまひとつだった。
初回に食べたサムギョプサルがとても美味しかっただけに、少し残念。

父はトレッキング中の落馬で肩と手首を痛めていたが、様子を見るうちにだいぶ痛みも和らいできたようで、病院には行かないことに。
そのかわり「温泉に入りたい」というリクエストがあり、カトマンズで入浴できる場所を探したところ、「Real Therapy Spa & Beauty Point」を発見。
ここは、サウナとジャグジーが時間無制限で使え、マッサージの評判も良かったので、予約なしで訪問。
お店のホームページにあるクーポンを提示すると、10%割引になった。
アーユルヴェーダマッサージ1時間+スパ利用で、2人あわせて11,700ルピー(=12,605円)だった。
館内着やタオル、ドリンクなどもすべて用意されていて、手ぶらで行けるのもありがたい。
マッサージは1時間以上しっかりと施術してくれて、疲れきっていた体が一気に軽くなった。
父の怪我の痛みも和らいだようで、ほっと一安心。

スパで体をほぐしたあとは、日本食レストラン「Momotarou Japanese restaurant」へ。
以前にも訪れていて、美味しかった記憶があるお店。
再訪して正解だった。
ネパールは、意外と日本食のレベルが高く、しかもリーズナブル。
この日は茄子の味噌炒め定食をいただいたけれど、日本の家庭の味そのままで、久しぶりの和食に心がほっとした。
10月25日 父と歩くカトマンズ旧市街。ダルバール広場とクマリの館で歴史を感じて

朝、宿の朝食会場へ行ってみると、豪華なビュッフェがずらりと並んでいた。
オムレツも焼いてくれて、朝からしっかりお腹いっぱいに。
いよいよ明日はネパールを出国する日。
そこで今日は、父を連れてカトマンズのタメル地区を観光することにした。
私にとっては訪れたことのある場所ばかりだけど、父にとっては初めて見るものばかり。
5年前の記憶を頼りに、案内役として歩いてまわる。

まずは宿から南方向へ。
上記の地図の交差点の角にあるのが、木の幹にコインがじゃらじゃらと刺さっている「コインの木」。
ここには、歯痛を治してくれると信じられている神様が祀られているのだそう。

さらに進むと、美しい木彫りの窓「切手になった窓」に到着。
その名の通り、ネパールの切手にも採用されたことのある見事な装飾で、細部までじっくり眺めたくなる。

道中は、これぞカトマンズという名物「カオスな電線」も見どころ。
空を覆うように複雑に絡み合う電線に目を奪われつつ、世界遺産のダルバール広場を目指して歩いていく。

広場の入口で入場料を払い、中へ入ってすぐの場所に立つのが「カーラ・バイラヴ」。
破壊神シヴァの化身で、この像の前で嘘をつくと即死すると信じられてきた。
昔は容疑者をこの像の前に立たせ、罪を白状させたという話もある。

広場の中心には「クマリの館」と呼ばれる建物がある。
ここには、ネパールで“生き女神”とされるクマリが暮らしていて、毎日決まった時間帯に訪れると、運が良ければその姿を窓辺に見ることができる。
写真撮影は禁止されているけれど、神秘的な存在に出会える貴重な瞬間。
私も以前訪れたときはクマリに会うことができたけれど、今回は11時ごろに行ってみたものの、残念ながらその姿は見られなかった。
なお、ここにいるのは「ロイヤルクマリ」と呼ばれる存在で、パタンなど他の地域にもそれぞれのクマリが存在している。

以前パタンで出会ったクマリは、祝福のティカを授けてくれて、一緒に記念写真まで撮らせてくれた。
クマリは初潮前の少女の中から選ばれ、生きた神として崇められる存在。
この文化はネパール独自の宗教観や価値観を象徴する一方で、児童福祉の観点からはさまざまな議論もあるようだ。
それでも私は、この伝統が信仰として大切にされながらも、少女たちの尊厳が守られる形で続いていってほしいと願っている。

クマリの館の前には、ダルバール広場の景観が広がる。
2015年の大地震では多くの建物が損壊したが、現在ではその多くが復旧・再建されている。
ナラヤン寺院やシヴァ寺院といった歴史的建造物が並び、今も変わらぬ美しさを見せている。

広場の中央にある旧王宮「ハヌマン・ドカ」には、9層の王宮「ノウタレ・ダルバール」がそびえ、階段で最上階まで登ることができる。

そこからは、カトマンズ盆地を360度見渡せる大パノラマが広がっていた。
遠くには、世界遺産「スワヤンブナート(スワンナプーム寺院)」の姿も望めて感動的。

王宮内の「ガディ・バイサク」という一角には、かつて国王の戴冠式が行われた豪華な広間があり、西洋建築風の装飾や美しいシャンデリアが印象的だった。

広場を見終えて喉が渇いたので、インドラ・チョークのラッシー屋さんへ。
小道の奥にあるお気に入りのこの店では、以前にも来て感動した濃厚なラッシーが味わえる。

ナッツとレーズンがトッピングされていて、歩き疲れた体にじんわり染みた。

細い路地にお土産屋やカフェがぎっしり並ぶ、活気あふれるタメルの街。

ヒンドゥーや仏教の神様を祀った祠があちこちにあり、花や灯明が供えられている。
観光と信仰が混在する、なんとも不思議で魅力的なエリアだ。

昼食は、欧米人旅行者に人気のおしゃれなオーガニックレストラン「OR2K」へ。

今日のランチはファラフェルに決定。
ひよこ豆を潰してスパイスと混ぜ、丸くして揚げた中東の定番料理。
外はカリッと、中はふわふわ。
父は初めて食べる料理だったけれど、ビールと一緒においしそうに味わっていた。

夕食は、昨日も訪れた「Momotarou Japanese restaurant」へ再訪。
今回は担々麺と揚げ出し豆腐を注文。
これがまた絶品だった。
これから始まる中南米の旅では、日本食は高価で手に入りにくくなる。
だからこそ、ネパール滞在の最後にこんなに美味しい和食が食べられて嬉しかった。
まるで食べ納めのような一夜になった。
10月26日 ヒマラヤに別れを告げて、空の旅はイスタンブールへ続く

いよいよネパールを離れる日がやってきた。
今日からは、トルコ航空でイスタンブールを経由し、メキシコシティへと向かう。
長時間の移動になるので、父の膝や腰が痛まないかが少し心配。
けれど、何度も乗り換えるよりはトランジット1回の方が楽なので、今回はトルコ航空を選んだ。

12時35分、飛行機はカトマンズを離陸。
窓の外にはカトマンズ盆地が広がり、しばらくすると遠くの雪山の山脈が見えてきた。
あの向こうには、旧ムスタン王国、ランタン、アンナプルナ・サーキットなど、まだ見ぬトレッキングルートがたくさん広がっている。
次にネパールに来るときは、どこに行こうか…そんなことを考えながら、雪山を見つめていた。

離陸してしばらくすると、機内食が配られた。
メインはトマトソースのパスタ。
少し固めだったけれど、味は悪くなかった。

着陸前には、ハムやチーズ、パンなどの軽食も出され、18時過ぎにイスタンブール空港に到着。
ここで約3時間半のトランジット。
父が「何か食べたい」と言い出し、空港内のレストランをのぞいてみたら……まさかの物価高に驚き。( ゚Д゚)
そのあたりの話は、次回のブログで(笑)
10月23日〜26日:使ったお金
10月23日
・売店買い物代(カミソリ等):2,185ルピー(=2,354円)
・ビール代(2本):670ルピー(=721円)
・土産代:800ルピー(=861円)
・昼食代(サンドイッチ等):1,630ルピー(=1,756円)
・Tシャツ(父用):800ルピー(=861円)
・売店買い物代(カミソリ替刃等):315ルピー(=339円)
・Tシャツ・短パン等(父用):1,580ルピー(=1,702円)
・ジッパー修理代:200ルピー(=215円)
・夕食代(ピザ等):3,520ルピー(=3,792円)
・トレッキング用品売り払い:+3,000ルピー(=3,232円)
合計:12,601−3,232=9,369円
10月24日
・宿泊代(2泊分):5,640ルピー(=6,076円)
・ピンバッジ(父用):300ルピー(=323円)
・昼食代(ビビンバ等):2,300ルピー(=2,478円)
・マッサージ1時間&スパ利用:11,700ルピー(=12,605円)
・夕食代(茄子味噌炒め等):2,960ルピー(=3,189円)
・ビール代(1本):285ルピー(=307円)
合計:24,978円
10月25日
・ダルバール広場入場代:2,000ルピー(=2,154円)
・ラッシー代:170ルピー(=183円)
・昼食代(ファラフェル等):2,060ルピー(=2,219円)
・ランドリー(3Kg):400ルピー(=430円)
・夕食代(担々麺等):2,600ルピー(=2,801円)
・ビール代(1本):275ルピー(=296円)
合計:8,083円
10月26日
・タクシー代(宿→空港):412ルピー(=443円)
・売店買い物代(ビール等):2,150ルピー(=2,316円)
合計:2,759円
これまでの旅費の合計
日本一時帰国からネパールでの旅費の合計は853,189円でした。
・航空券代(日本→ネパール):87,940円
・ネパールでの滞在費(25泊):クレカ払い22,126円+キャッシング78,252円+振込171,428円+現金両替493,443円=765,249円
合計:853,189円(2人分)
このうち、父が7割を負担してくれることになり、私の負担は 255,956円。
よって、日本出国からネパールまでの旅費の総合計は、2,369,168円でした。

