アタカマ砂漠で過ごした、滞在後半3日間の記録。
前半は温泉や砂漠ツアーを中心に動き回っていたけれど、この後半は、宿を拠点にしながら予定を詰めすぎずに過ごすことにした。
いちばん楽しみにしていた星空観測ツアーは、新月近くを狙って組んだにもかかわらず、まさかの中止。
正直かなり落ち込んだけれど、思い通りにいかない時間も含めて旅なのだと、少しずつ気持ちを切り替えていく。
翌日は、セハ湖で体が自然にぷかぷか浮かぶ不思議な体験をし、冷たい湖水と塩に包まれながら、前日の気持ちをゆっくりほどいていった。
最終日は、隕石博物館で宇宙から来た石に触れ、街を歩き、宿で過ごすいつもの時間を大切にする。
観光地を巡るというより、滞在する中で感じたアタカマの日常と心の動きを、そのまま書き留めた後半の日記。
1月14日 大ショック。楽しみにしていた星空観測が中止に

サンペドロ・デ・アタカマ4日目の朝。
今日からデザートはチェリーではなくメロン。
砂漠の街だけど、メロンもしっかり甘くて美味しい。
今日の予定は夜21時から星空観測のツアーのみ。
昼間は何も予定を入れていなかったので、日中は宿の猫・ソルちゃんと戯れたり、ブログを書いたりしてのんびり過ごした。

朝食にしっかり食べたので、お昼はお腹が空かず、夕方頃に早めの夕食をとった。
ソーセージとトマトを炒めたものに、ハムやチーズなどの軽めのメニュー。
21時に星空観測ツアーの迎えの車が来るのを待つ。
しかし……。

空を見上げると雲が多く、ツアーが本当に催行されるのか、なんだか雲行きが怪しい。
そしてしばらくして、「雲が多いため本日の星空観測ツアーは中止」という連絡が届いた。
11日から13日までは雲もなくツアーは催行されていたのに、まさか今日になってダメとは……。
実は今回、アタカマでいちばん楽しみにしていたイベントだった。
アタカマ砂漠は、世界でも有数の星空観測地として知られている場所。
澄んだ空気と標高の高さ、そして周囲に街の光が少ない環境がそろえば、肉眼でも天の川がはっきり見える夜空を体験できるという。
ツアーでは、プロの天文ガイドがその日の空の状況を見ながら星座や天体について解説してくれ、望遠鏡も複数台用意されている。
温かい飲み物を飲みながら星空を眺められる、かなり魅力的な内容だ。
新月が18日だったため、6日間滞在する中で、なるべく新月に近い14日に星空観測を入れていた。
だからこそ、この中止はかなりショックだった。
新月なんて気にせず、もっと早く参加しておけばよかったと後悔(T_T)
アタカマは一年を通して晴れの日が多いけれど、意外と雲が出る日も少なくない。
晴れが多い=星が見える日も多いだろう、と楽観視していたのがよくなかった。
一応、明日のツアーに振り替えてもらったけれど、明日の予報も雲が多い。
明日も見られなければ、明後日の夜にはアタカマを離れるため、星空を見るチャンスはなくなる。
この日の夜は、「明日は見られますように」と祈るような気持ちで眠りについた。
1月15日 セハ湖でぷかぷか。体が浮く不思議な午後

アタカマ5日目。
いつもと同じ内容の朝食だけど、好きなものばかりなのでまったく飽きない。
この日は昼過ぎにサン・ペドロ・デ・アタカマを出発し、セハ湖を中心としたアタカマ塩湖地帯を巡る半日ツアーへ参加する予定。
それまでは特に予定がなかったので、宿でブログを書きながらゆっくり過ごした。

昼食は少なめに。
今日のツアーでもカクテルパーティが用意されているので、軽く済ませておいた。
迎えは14時〜14時半と聞いていたのだけれど、時間を過ぎてから15時までの迎えに変更になったと連絡が来た。
いつもギリギリ、もしくは後出しで連絡が来るので、正直ちょっとイライラする。

今日のツアーでは、セハ湖のほかに「塩湖の目」やテビンキチェ湖にも立ち寄る。
まず訪れたのが塩湖の目。
ここは淡水湖ではなく、アタカマ塩原の地下に広がる、塩分を多く含んだ地下水が地表に現れた場所だ。
ほとんど雨が降らない環境の中で、水分だけが蒸発し、塩分やミネラルが地中に蓄積されていく。
その地下水が、円形の穴のような形で地表に現れたのが、この「塩湖の目」。
湖は2つ並んでいて、深さは約20m。
泳ぐことはできないため、写真撮影だけして次の場所へ向かう。

次に訪れたのはテビンキチェ湖(Laguna Tebenquinche)。
湖の周囲は厚い塩の結晶で覆われており、典型的な塩湖の風景が広がっている。

白く固まった塩が層状に堆積し、ここでしか見られない独特の景色だった。

ガイドと一緒に湖沿いの遊歩道を一周したあと、バスに戻るとカクテルパーティが始まった。
サラミやチーズ、ミニトマト、みかんなど、さっとつまめるものが並んでいる。

サングリアやフレッシュジュースもあり、交代でいろいろ飲んでいたら、あっという間にほろ酔いに。
他の参加者はあまり食べていない様子だったので、私だけやたらと食べていて、少し恥ずかしくなった。
カクテルパーティの後は、いよいよお目当てのセハ湖へ。

セハ湖(Laguna Cejar)は、非常に塩分濃度の高い塩湖。
湖に入ると体を動かさなくても自然と水面に浮かび、死海のような感覚を味わえるのが特徴だ。
湖のそばに荷物や着替えを置いたらすぐに入水するため、あらかじめ水着を着てツアーに参加しておくのがおすすめ。

湖は透明度が高く、キラキラと光ってとてもきれい。
ただし水温はかなり冷たく、体が慣れるまで時間がかかる。
私は足、お腹、胸と順番に浸かっていき、胸まで入るのに5分以上かかった。
塩分濃度が高すぎるため、長時間浸かるのは体によくなく、滞在時間は15分と決められている。

冷たさに慣れた頃、ようやくぷかぷか浮いてみる。
足を離した瞬間に体がふわりと持ち上がる感覚は不思議で、ヨルダンで入った死海を思い出した。
注意点として、顔は絶対に湖につけないこと、目をこすらないこと。
塩分が強烈なので、かなりしみる。
体に傷がある人も、相当しみると思うので注意が必要だ。

15分の入水を終え、ガイドに誘導されてシャワーへ。
シャワーはボタンを1回押すと、1分ほど真水が出る仕組みで、一人1プッシュまで。
さっと洗い流す程度だけど、塩でベタベタのまま帰るよりはずっといい。
その後、更衣室で着替えて帰路へ。
濡れたまま車には乗れないので、ビーサン、着替え、水着は必須。
19時頃、アタカマの中心地で解散し、歩いて宿に戻った。

この日も夜は雲が多く、半ばあきらめながらツアー会社からの連絡を待つ。
出発時間は21時だったけど、中止の連絡が来たのは21時半。
本当に時間にルーズな会社だなあと思いつつ、もう笑うしかなかった。
アタカマでは結局、星空ツアーに参加できなかったけれど、これまでの南米旅は驚くほど天気に恵まれてきた。
だから、あまり文句を言うのも違う気がして、こういうこともあるさと自分を納得させた。

カクテルパーティでしっかり食べたので、夕食は簡単に。

夜もソルちゃんとひと遊び。
とにかくお転婆で、窓を開けていると夜中に部屋へ侵入してきたり、ダイニングにも飛び込んできたりする。
そのたびに抱っこして外へ出すのだけど、どうやらかまってほしくて仕方ないらしい。
アタカマでの一番の思い出はソルちゃんかもしれない、と思うほど、本当にかわいい猫だった。
1月16日 隕石博物館と宇宙の石、アタカマ最終日

アタカマ最終日の朝食。
この日はフレンチトーストを焼いてみることにした。
自分でもびっくりするほど美味しく焼けて、思わずにんまり。
この宿はキッチンがとても充実していて、宿泊客もきれいに使ってくれる人ばかり。
いつも気持ちよく料理ができた。
観光するよりも宿に滞在している時間の方が長かった分、食事もいつもより少し豪華な感じに。
ペルーやボリビアでは観光に追われる日々だったので、ここでゆっくり休養できたことは、心身ともにとても良かったと思う。
今日は夜23時59分発の飛行機でサンティアゴへ飛び、空港で一晩過ごしてから、翌朝アルゼンチンのブエノスアイレスへ向かう予定。
19時にホテルから空港への送迎シャトルバスを予約しているため、それまでは宿の共同スペースでくつろがせてもらうことにした。
※カラマにあるインテルナシオナル・エルロア空港までの送迎シャトルは、Altiplanico社(WhatsApp:+56984413019)で、一人15,000ペソから予約可能。
チェックアウト後もキッチンやシャワーを利用する場合は、5,000ペソ(=903円)が必要。
カフェで時間を潰すことを考えれば、十分安い。
せっかくなので利用料を払って、最後まで宿滞在を満喫することにした。

昼食は、余っていた食材をすべて使い切る形で食べきった。
そして夕方、星空鑑賞ツアー代金の返金を受け取るため、RICA RICA TRAVELへ。
本来、星空鑑賞ツアーは40,000ペソだけど、他のツアーとセットで割引してもらっていたため、差額分として30,000ペソを返金してもらった。

予想外にまとまった現金が手元に戻ってきたので、無理に使い切るのももったいないと思い、両替所へ向かうことに。
ドルかアルゼンチンペソに替えたかったため、いくつかの両替所を回ってレートを確認。
最終的に、いちばん条件の良かった「La Llamita」で両替することにした。
39,000チリペソ(=7,050円相当)を、62,950アルゼンチンペソに両替。
アルゼンチンは現金の入手がかなり難しい国なので、ここである程度の現金を、そこそこのレートで確保できたのは大きかった。

帰り道、街の中心にあるサン・ペドロ教会(Iglesia San Pedro)にも立ち寄ってみる。
白い土壁と素朴な鐘楼が印象的な外観は、周囲の砂漠の風景に自然に溶け込んでいて、観光地というより、町の暮らしの一部のような佇まい。
派手さはないけれど、長い年月この地に根づいてきた教会らしい落ち着きを感じさせる。

内部は、白い壁と木製の天井が広がる、とても簡素な造り。
砂漠の強い日差しから一歩離れ、静かにひと息つける空間だった。

その後、街のはずれにある隕石博物館(Meteorite Museum)へ。
この博物館は18時から21時30分まで、夜だけ開館している少し珍しい施設。
ドーム型の建物は、遠くから見るとまるで宇宙施設のようで、訪れる前から期待が高まる。

内部の展示室は、小さな一部屋のみというかなりコンパクトな構成。
見学時間はおよそ45分ほどで、短時間でも無理なく楽しめる。
展示の中心は、アタカマ砂漠で実際に発見された隕石。
形や大きさ、金属質の違いなどを間近で見ることができる。
乾燥したアタカマの環境が、隕石の保存状態を良好に保ってきたという点も、この地域ならではの特徴だそうだ。
規模は大きくないけれど、宇宙から来た石を眺める体験はどこか不思議で、アタカマ旅の締めくくりにぴったりの場所だった。

ここで特に印象に残ったのが、実際に触れることができる隕石。
表面は思っていたよりもつるつるしていて、一見するとただの石のよう。
それが宇宙から飛んできたものだと思うと、不思議な気分になる。

磁石を使って、隕石の強い磁力を体感する展示もあった。
磁石を近づけると、驚くほどの勢いで引き寄せられる。
隕石に含まれる鉄分の多さを、体感として理解できる瞬間だった。
展示室にはほかにもさまざまな種類の隕石が並んでいて、その中でも特に印象に残ったものを、ここから4つ紹介したい。

まず目を引いたのが、鉄隕石に浮かぶ美しい幾何学模様。
これは100万年で数度しか温度が下がらない環境でしか生まれない結晶構造で、地球上では再現できないものだという。

次に心を奪われたのが、パラサイト隕石。
小惑星の核とマントルの境界から生まれた隕石で、背後からライトを当てると、鉄の中に閉じ込められたかんらん石が宝石のように輝く。
金属と鉱物が混ざり合った姿は、まるで宇宙のステンドグラスのようだった。

また、メソシデライト隕石に見られる、青りんご色の結晶も印象的。
この隕石は海に近い地域に落下し、霧を含んだ湿った空気の中で、長い時間をかけて結晶を育ててきたそうだ。
宇宙から来た石が、地球の空気や湿気と出会い、少しずつ姿を変えていく。
この展示は、「隕石は落ちて終わりではない」ということを静かに教えてくれる。

そして最後は、一見するといちばん地味だけれど、とても重要な炭素質コンドライト。
有機物や水を多く含み、内部からはアミノ酸やDNAにつながる物質が見つかっている。
生命のはじまりと深く関係している可能性があると考えられている隕石だ。
この石の中には、地球外生命の手がかりが、今も静かに残されているのかもしれない。
そう思った瞬間、もうただの石には見えなくなった。
正直なところ、宇宙や科学の知識がほとんどない私にとって、展示パネルの説明はかなり専門的で難しかった。
それでも、知識がなくても十分に宇宙の神秘を感じることができ、訪れて本当に良かったと思う博物館だった。

19時、空港行きの迎えを待つため、宿で荷物を持って待機。
シャトルバスに乗り込む際、宿のおじさんが別れ際に、リャマのかわいい人形をプレゼントしてくれた。
おばちゃんの方は英語が堪能で会話できたけれど、おじちゃんはスペイン語のみ。
あまり言葉は交わせなかったけれど、最後に笑顔で送り出してくれたことが、とても嬉しかった。
優しいオーナー夫妻と、かわいい猫のいる宿。
Hostal Misky Wasiをアタカマ滞在に選んで、本当に良かったと思う。

サン・ペドロ・デ・アタカマから、カラマにあるインテルナシオナル・エルロア空港までは車で約1時間半。
道中、夕焼けに染まる空を背景に、静かに回る風車が並んでいて、思わず見入ってしまった。

21時頃、空港に到着。
小さな空港なので、保安検査もあっという間に通過。
搭乗予定はLATAM航空。
23時59分発でサンティアゴへ向かい、翌日深夜2時03分着。
その後トランジットを経て、同じくLATAM航空で7時15分発、ブエノスアイレスには9時15分着の予定だ。
深夜の空港野宿は正直きついけれど、203,286チリペソ(=36,596円)で購入できたので、価格的には悪くないと思って頑張ることにした。

今回乗るどちらのフライトも短距離のため機内食は期待できない。
そのため、カラマ空港のラウンジ「Harmony Lounge Calama」で、プライオリティ・パスを使って軽食をとることに。

サンドイッチやスープ、サラダ、ケーキなどの軽食でお腹は十分満たされた。
赤ワインやジュースもいただき、機内で飲む用にペットボトルの水も確保。
これからブエノスアイレスまで、長い長い移動が始まる。
ブエノスアイレスは、これまでパタゴニアへ向かう際のトランジットで通過しただけで、街に出たことはない。
南米のパリと称されるその街は、いったいどんな場所なのだろう。
日付が変わる頃、期待に胸を膨らませながら飛行機に乗り込んだ。
1月14日〜1月16日:使ったお金
1月14日
この日は出費なし
1月15日
この日は出費なし
1月16日
※RICA RICA TRAVELから星空観測のツアー代金30,000ペソの返金あり
・シャワー&キッチン使用料:5,000ペソ(=903円)
・隕石博物館:6,000ペソ(=1,084円)
・空港シャトルバス代:15,000ペソ(=2,711円)
合計:4,698円
これまでの旅費の合計
ボリビアからチリでの旅費の合計は59,658円でした。
・チリでの滞在費(5泊):クレカ払い6,302円+キャッシング53,356円+=59,658円
合計:59,658円
よって、日本出国からチリまでの旅費の総合計は、3,257,876円でした。
※ 余った 39,000チリペソ(=7,050円相当) は、両替所で62,950アルゼンチンペソに両替しました。


