ヒヴァに向かう夜行寝台列車は、およそ14時間の旅。
朝目を覚ますと、車窓いっぱいに広がっていたのは、乾いた風が吹き抜けるキジルクム砂漠の風景だった。
今日の目的地は、キジルクム砂漠とカラクム砂漠に挟まれた、オアシスの町ヒヴァ。
かつてはシルクロードの要衝として栄え、多くのキャラバンがここで足を止め、文化を交わらせた。
その中心にあるのが、世界遺産にも登録されている「イチャン・カラ」と呼ばれる城壁都市。
まるで時が止まったかのような中世の街並みが、今も静かに息づいている。
今回は、そんなヒヴァへと向かう寝台列車での風景と、到着初日に歩いたオアシス都市の記録。
キジルクム砂漠を越える、14時間の夜行列車旅
朝目覚めた頃、列車はちょうどブハラ駅に停車中。
そこからしばらく走ると、キジルクム砂漠が視界いっぱいに広がっていた。

ふと隣を見ると、夜のうちに同室だった女性は降りたようで、代わりに白人の年配女性がベッドで休んでいた。
上段にも白人の男性。どうやらご夫婦らしい。
年齢を重ねても寝台列車で旅する姿に、ただただ感心する。


朝、トイレで顔を洗う。
足元のペダルを踏むとそのまま線路に落ちていく仕組み。昔ながらのスタイルだ。


給湯器も設置されていたけど、カップ麺を持ってきていなかったので今回は使わずじまい。
食堂車があることを期待していたけれど、車掌さんに「ないよ」とあっさり言われてしまい、朝食は持参したナッツと水だけという質素なものに。

それでも、車窓から見えるどこまでも続く地平線や、たまに現れる放牧の家畜たちに目を奪われ、ぼんやりと眺める時間がなんとも贅沢だった。
ヒヴァ駅に到着、砂漠の空気とまぶしい陽射し

出発から14時間ほど、列車はついにヒヴァ駅へ到着。
ドアが開いた瞬間、熱気がもわっと身体を包み込んでくる。
タシュケントの春の陽気とは打って変わり、ヒヴァの空気はカラッと乾いた初夏のような暑さ。
砂漠の町に来たことを、肌がはっきりと感じ取っていた。

ヒヴァ駅は2018年に開業したばかりで、駅舎はまだ新しく整っている。
そこからYandexタクシーを呼び、予約していた宿「Otabek B&B」へ向かう。

宿はイチャン・カラのど真ん中。どこに行くにもアクセスが良くて、散策には理想的な立地。
到着したのは午後2時前。
朝はほとんど食べていなかったので、さっそく腹ごしらえへ。

宿のすぐ近くにある「Cafe Kheivak」のテラス席で、ヒヴァ名物「Shivit Oshi(シヴィト・オシ)」を注文。

鮮やかな緑色の手打ち麺に、トマトソースで煮込んだ野菜や肉がのっていて、見た目も味も印象的。
ランチのあと、しばらく宿で洗濯タイム。
私は4日分の服しか持っていないので、旅中は3日に一度は必ず洗濯しないといけない。
手洗い→部屋干しのルーティーン。
一仕事終えて、ようやく身軽になったところで、ヒヴァの街を歩いてみることにした。
城壁越しの風景とイチャン・カラの迷路のような街並み

イチャン・カラは東西南北にそれぞれ門がある城壁都市。
まずは南門から外に出て、ぐるっと城壁の外側を歩いて東門方面へ。

「この景色を見て、“ヒヴァに辿り着いた”と胸をなでおろしたキャラバンもいたんだろうな」と思いながら、黙々と歩く。

途中にはキャラバンの銅像もあり、ここがかつて多くの旅人や商人の交差点だったことを物語っていた。

西門から再びイチャン・カラの中へ。
ゲートの近くにはチケット売り場があり、2日間イチャン・カラ内の複数ある観光施設を入場できる共通券が25万ソム(=2,842円)で販売されている。
私はヒヴァに3日間滞在するので、今日はチケットを購入せず、明日購入する予定だ。
東西南北にある門では、一見チケットがないと入れないような雰囲気だが、なくても普通に通してくれる。




Islam Khoja Minaretはお金を払えば登ることもできる。


Muhammad Amin Xon Madrasasiは現在はホテルになっている昔のメドレセ(神学校)だ。
クフナ・アルク物見櫓から見る夕暮れのヒヴァ
夕方は「クフナ・アルク」の物見櫓に登って、街の夕景を一望。
ここは共通チケットの対象外なので、入場料は10万スム(約1,136円)。

物見櫓の上から見下ろすヒヴァの街は、夕日に照らされて淡い赤に染まり、まるで絵画のような世界が広がっていた。
石段に腰を下ろして、しばらくその風景に見入ってしまう。


イタリア人観光客と仲良くなり、写真を撮りあった。
一人旅はなかなか自分の写真が撮れないので、とても助かる。

日が沈むと、イチャン・カラの建物が一斉にライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれる。


Cafe Zarafshonで夕食を食べることにした。
Islam Khoja Minaretを目の前で見ることができるテラス席があり、雰囲気が良い。

ケバブとスープを注文。
ケバブの量が多くて少し残してしまったが美味しかった。
夕食後、宿へ戻って気になったのが部屋の窓。
カーテンがなくて、通りから部屋の中が丸見え。
スタッフに相談してみると、なんと手作りのスザニを持ってきてくれて、窓に取り付けてくれた。

安全ピンで留めただけの簡易的なカーテンだったけれど、外から見えなければそれで十分。
しかも、このスザニがとっても可愛くて、ちょっと得した気分に。
お礼を伝えて、ほっとひと息。安心して眠りについた。
4月7日:使ったお金
泊まった宿はシングルルームで、シャワーと朝食付き。
それで1泊あたり約2,400円というお得な価格。
ヒヴァの世界遺産エリア内に泊まっているとは思えないほど、宿のコスパが良い。
レストランは観光地価格だけど、どこも外国人向けで味はしっかり美味しい。
・宿代2泊分:430,000スム(=4,888円)
・タクシー(ヒヴァ駅→宿):12,000スム(=136円)
・水(2本):8,000スム(=90円)
・昼食(Shivit Oshi):86,000スム(=977円)
・クフナ・アルクの物見櫓入場料:100,000スム(=1,136円)
・夕食(ケバブ):145,000スム(=1,648円)
合計:8,875円