【6】列車が砂漠で立ち往生!?ヒヴァからブハラへの波乱の鉄道旅(2025.4.9)

ウズベキスタン

ヒヴァでの最後の朝。

朝食前にイチャン・カラの街をぶらりと散歩すると、観光客も店もまだ眠っていて、まるで中世の世界に迷い込んだような静けさが漂っていた。

朝食のあと、イスラーム・ホジャ・ミナレットに登ってヒヴァの街並みを眺め、午後の列車までゆったりとした時間を過ごす。

午後3時すぎ、寝台列車でブハラへ向けて出発。

予定では夜9時すぎに到着するはずだった…しかし、列車はなんとキジルクム砂漠のど真ん中、トルクメニスタン国境付近でまさかの立ち往生!

果たして、私は無事にブハラへ辿り着けるのか!?(‘A`)

朝のヒヴァをひとり占め、静寂の街を散歩

朝食は9時からだったので、それまでの時間を使ってイチャン・カラ内をのんびり散歩。

観光客もお土産屋もまだ開いておらず、人気のない石畳の通りを歩くと、まるで時が巻き戻ったかのような錯覚に陥る。

ヒヴァの街並み
カルタ・ミノル
陶芸職人の像
お土産屋さんも閉まっている
かわいい子猫がいた

宿に戻ると、ダイニングには私ひとり分の朝食が用意されていた。

もしかすると、今日は宿の宿泊客が私ひとりだったのかもしれない。

朝食

昨日とは違う種類のパンも並び、温かい朝のひととき。

ミナレットのてっぺんから見たヒヴァの絶景

イスラーム・ホジャ・ミナレット(Islam Khoja Minaret)に登ってみることにした。

ここは共通券とは別に、EXTRA TICKET(10万スム=約1,097円)が必要。

急勾配の階段

内部はらせん階段が118段。しかもかなりの急角度。

手をついて四つん這いになるようにして、ぜえぜえ言いながら登る。

頂上からの景色

登りきった先には、土色の屋根の波打つ風景と、ヒヴァの城壁都市がぐるりと広がる絶景。

ヒヴァの街並み

しばし上からの景色を堪能した後、再び階段を下る。

天井が低いので歩きにくい

降りるときも注意が必要で、天井は低く、足元は急。

気を抜いたら頭をぶつけそうだった。

金物職人

そのあとは金物職人の工房へ。

どこからともなく聞こえてきた「カーン!カーン!」という音に誘われて路地を進むと、伝統的な技法で水差しなどを作る職人の姿があった。

職人が作った金属製品

次に向かったのは、Allakuli Khan Caravanserai。

Allakuli Khan Caravanserai

ここは、昔キャラバンが休んでいた宿泊所だったらしい。

お土産屋をひやかしながらひとまわり。

道端で花を植える女性たち

街のあちこちでは、地元の女性たちが花を植えている姿が見られた。

カラフルな花々が並ぶ通りはとても華やかで、街の美しさを引き立てている。

イチャン・カラの入場チケットは、ウズベキスタンの物価からすると少し高めだけど、こうした街の景観づくりに役立っているなら、納得できるし、払う価値があるなと思った。

写真撮影用のラクダ

街の中心部には、観光客向けの写真撮影用のラクダもいた。

料金を払えば、ヒヴァの歴史的な建物を背景にラクダと一緒に写真を撮ってもらえるようだ。

街歩きをひと通り楽しんだあと、そろそろお腹がすいてきたので、ランチを食べに行くことに。

Khorzem Art Restaurant

Khorzem Art Restaurantは美味しいウズベク料理が食べれる人気レストラン。

ピーマンにトマトソースがのった料理

注文したヨーグルトジュースは甘くなく、少ししょっぱい。

ピーマンにトマトソースがのった料理は味付けがとてもよかった。

トマト・玉ねぎ・きゅうりのオリーブオイルあえ

暑くてさっぱりしたものが食べたかったので、トマト・玉ねぎ・きゅうりのオリーブオイルあえを注文したら、パンもついてきた。

寝台列車でブハラへ、出発は穏やかだった

ランチの後は宿に戻り、預けていた荷物をピックアップ。

ヒヴァ駅まで徒歩20分ほどなので歩くことにした。

暑さと重いバックパックに苦しみながらも、節約のため頑張って歩く。

並木道を歩いて駅へ向かう
ヒヴァ駅

駅前は現在工事中で、ぐるっと遠回りして入口へ。

手荷物検査を終え、待合室で列車を待つ。

改札

やがて出発時刻が近づき、改札がオープン。

Eチケットを駅員さんに見せてホームに出て、自分の乗る寝台列車を探して乗車する。

ブハラ行きの列車
列車の客室

今回も事前にウズベキスタン鉄道の公式サイトで下段のベッドを予約しておいた。

乗り込むと、同室にはイギリス人の家族連れがいて、軽く挨拶。

パパ・ママ・娘の3人旅で、アゼルバイジャンから入国し、今後はトルコへ抜けていくという。

10代後半と思われる娘さんも含め、とても仲の良さそうなファミリーだった。

車内販売で買ったアイスクリーム

しばらくすると車内販売のスタッフが通りかかり、アイスクリームを売っていた。

暑さに負けて、ちょっと高いなと思いながらも購入。

スイカとメロン味のアイスで、20,000スム(=220円)分の清涼感をしっかり感じた。

配られたシーツでベッドメイキング

配られたシーツでさっそくベッドを整え、あとはブハラ到着までのんびり……のはずだったのだが。

突然のアクシデント!砂漠の真ん中で列車が停止

列車がヒヴァを出発しておよそ1時間ほど走った頃、突然の停止。

キジルクム砂漠のど真ん中で立ち往生

場所はキジルクム砂漠のど真ん中。

車内にアナウンスはなく、何が起こったのかまったく分からない。

しかもこの寝台列車にはなぜかエアコンがなく、風が通らない状態の車内は一気に蒸し風呂のように暑くなっていく。

スマホの電波も届かずネットも圏外。

現在地も分からないまま不安だけが募る。

唯一の手がかりはMAPS.MEのアプリから突然表示されたトルクメニスタンのESIM購入案内画面。

おそらく、ここはトルクメニスタンとの国境地帯。

ちなみにヒヴァ〜ブハラ間の寝台列車は、トルクメニスタンの領土内を一部通過する特殊なルート。

でも列車はそのまま通過するだけなので、入国VISAは不要という珍しい設定になっている。

砂漠に日が沈んでいく

車内でただ待つしかない状況。

窓からは夕日が砂漠に沈んでいくのが見え、幻想的な景色に気を取られながら、なんとなくお腹もすいてきた。

同室のイギリス人パパが「この列車、食堂車あるよ」と教えてくれたので行ってみることに。

食堂車

メニューは3種類のみで、スープ、サモサ、シャシリク(ケバブ)。

私はスープを選択。

壺に入ったスープ

壺に入ったスープはアツアツで、じゃがいもや人参、牛肉など具材たっぷり。

じゃがいも、人参、牛肉など具だくさん

じっくり煮込まれたお肉は柔らかく、パンと一緒に食べてお腹も心も満たされた。

食事を終える頃には、空はすっかり暗くなっていた。

そんな中、反対方向からやってきたブハラ発の列車が、私たちの列車の隣に停車した。

すると、数人の乗客がこちらの列車からその列車へと乗り換えていく姿がちらほらと見えた。

どうやら、今乗っているこの列車がいつ動き出すか分からない状況に見切りをつけて、ヒヴァ方面に引き返す決断をしたようだった。

その判断は、たしかに賢明かもしれない。

アイスの空きカップで紅茶を飲む

食後、席に戻ると紅茶が飲みたくなった。

客室のテーブルにティーバッグは置かれているのに、カップがない…ということで、昼に食べたアイスの空きカップを洗って流用。

思いつきで楽しむ紅茶タイムも、またひとつ旅の思い出に。

夜になると気温が下がり、イギリス人パパに勧められて列車の外へ出てみると、涼しい空気に包まれて乗客たちが線路の上に座ってくつろいでいた。

車掌や乗客と会話していると、ようやく状況が見えてくる。

「列車が壊れたわけじゃない。先の線路が壊れてるみたい。」

「今、鉄道職員が現場で修理してる最中なんだ。」

壊れた線路を直している鉄道職員

100mほど先では、確かに数人の職員が線路の補修作業をしているのが見える。

万が一、そのまま突っ込んでいたら大事故になっていたかもしれない。

そう思うと、この“立ち往生”すら、命を守るためのありがたいトラブルだったようにも感じた。

月と砂漠と列車

砂漠に浮かぶ月と、止まった列車。

この静かな時間は、なんだか忘れられない旅の1ページになりそうだ。

3時間以上の遅れで、列車がようやく再出発。

車内には安堵と拍手が広がり、イギリス人ファミリーとも「これは一生モノの旅の思い出だね」と笑い合った。

夜中のブハラに放り出された私を救った、小さな奇跡と出会いの連鎖

ヒヴァを出発した列車は、本来なら夜9時すぎにはブハラ駅に到着する予定だった。

ところが、線路トラブルの影響で到着は大幅に遅れ、深夜になってしまった。

実は、ヒヴァに滞在していたときから、ブハラでの宿に少し不安があった。

Agodaで予約をしていたのだけれど、出発の直前になって、なぜかAgodaのアプリ上からその宿の情報が消えてしまったのだ。

そのため、宿にメッセージを送ることもできず、電話をかけてみても全くつながらない。

「この宿、本当に存在するの…??」と、疑いの気持ちがどんどん強まる。

念のため、日中にAgodaのカスタマーサービスにも連絡を試みたものの、まったく頼りにならず解決には至らなかった。

しかも、その宿のある旧市街までは、ブハラ駅から車で約30分と離れていて、チェックイン受付は「夜12時まで」と書かれている。

このまま深夜に行っても、宿に入れない可能性があるなんて……不安材料が多すぎて気が気じゃない。

「深夜のブハラの街を、女一人でうろつくなんて絶対にイヤ!!(T_T)」

とはいえ、Googleマップの最新のクチコミには「1週間前に宿泊した人」のレビューがあった。

そこを信じて、とにかく行ってみようと腹をくくった。

ブハラ駅

列車がようやくブハラ駅に到着したのは、夜中の12時半すぎ。

しかし、安心する間もなく、またしても新たな問題に直面する。

なんと、駅周辺はインターネットの電波が極端に悪く、Yandexタクシーのアプリがまったく起動しないのだ。

他の乗客たちは問題なくYandexカーを呼んでいる様子で、どんどん駅を後にしていく。

中には、客引きのタクシー運転手について行く人もいたが、私は深夜にひとりで流しのタクシーに乗るのは避けたかった。

そこで、駅で見かけた外国人カップルに声をかけ、「旧市街まで行くなら一緒に乗せてほしい」とお願いしてみた。

彼らはフランス人で、事情を話すとすぐに快くOKしてくれた。

しかもそのタクシーの中で分かったのは、なんと彼らの宿は私の宿と徒歩1分の距離という奇跡。

タクシー代もシェアできて、安全に目的地まで辿り着けるなんて、もう本当に感謝しかない。

そして、心配していた宿はちゃんと実在していて、なんとフロントスタッフも待っていてくれた。

無事にチェックインできて、ようやくホッとひと息。

不安や焦りで疲れ果てていたので、シャワーを浴びてそのままバタンとベッドに倒れこみ、泥のように眠った。

4月9日:使ったお金

今日は寝台列車と宿代3泊分の出費があるので、使ったお金は少し多め。

タクシー代をフランス人とシェアできて半額で済んだのでラッキー☆

・ミナレット入場料:100,000スム(=1,099円)
・昼食(サラダなど):105,000(=1,154円)
・寝台列車(ヒヴァ→ブハラ):208,660スム(=2,506円)
・アイス:20,000スム(=219円)
・夕食(スープ):45,000スム(=494円)
・タクシー:25,000スム(=274円)
・宿代3泊分:550,000スム(=6,049円)

合計:11,795円