今日はオマーンの秘境「ワディ・シャーブ(Wadi Shab)」の日帰りツアーに参加。
最初に待っていたのは、切り立った岩壁に囲まれた、まるで小さなグランドキャニオンのような渓谷トレッキング。
ゴツゴツした岩を飛び越えながら奥へ奥へと進んでいくと、やがてエメラルドグリーンに輝く川が道をふさぐ。
ここで一度立ち止まり、トレッキングシューズを脱いでマリンシューズに履き替え、荷物は岸に置く。
防水ケースに入れたスマホだけを持ったら──ここからが、本当の冒険の始まり。
足がつかないほど深い水路を、上流の方へぐんぐん泳ぎ進んでいく。
そしてたどり着いたのは、人ひとり、頭ひとつ分がギリギリ通れるくらいの狭い割れ目。
首の角度を慎重に調整しながら、手探りで岩をつたい、さらに奥へ。
その先にひっそりと隠れていたのは──静かに水をたたえる秘密の洞窟だった。
今回は、この秘境ワディ・シャーブの渓谷探検を、たっぷりお届けします。
ツアー出発|道中マリングッズ販売店に立ち寄り装備を整える
今回のツアーは、GET YOUR GUIDEというツアー販売サイトでネット予約。
バス停「Sarooj Bridge_2」の近くにあるAl Fairというスーパーマーケット前に8時集合。
集合・解散場所までは往復タクシーを利用した。
集合場所にはベルギーから来た一人参加のレイラがいて、一人旅同士すぐに仲良くなった。
レイラと話していると、ツアーバンが迎えにきた。
ガイド兼ドライバーのラシェは、大学生で若いのにおどろくほどしっかりしていて笑顔が素敵な青年。
他のメンバーは、イラク出身の一人旅女性マリアン、ドイツ人の男女コンビでアブダビ在住のマルティーノ&ブラジル在住のドールティ、アフリカ出身で現在EU在住のムスリム夫婦。
総勢7人、多国籍な顔ぶれで出発となった。

バンは途中、トイレ休憩を兼ねて、マリングッズを売っている店に立ち寄った。

実はツアー前日に、ツアー会社から「マリンシューズなどが売っている店に寄るよ」と連絡があった。
それを知っていたら、一昨日必死でマリンシューズを探し回った挙句にサンダルを買うなんて無駄な労力をかけなくてよかったのに……(T_T)
この店には、食料品や日用品に加え、ライフジャケット、マリンシューズ、防水スマホケースなど、渓谷トレッキングに必要なものがほぼすべて揃っていた。
ツアー客を乗せたバンもたくさん停まっていて、ここでみんな装備を整えてから向かうのが定番らしい。


ラシェいわく、「ライフジャケットは渓谷入口で1リアルでレンタルできるよ」とのことだったので、私はここでは日焼け止めだけ購入。
渓谷到着|渡し船で対岸へ渡りトレッキングスタート

バンに乗って、マスカットから約2時間半でワディ・シャーブ入口に到着。
パスポートなどの貴重品はバンに置き、スマホと水、サンダル、タオルを持って渓谷へ進む。

渓谷入口では、マリンシューズや防水ケースも売っていたけれど、私はここでライフジャケットだけ1リアル(=約373円)でレンタル。
実は去年、ラオスの川で溺れかけた経験があるので、今回は念のため装備を万全にした。
ラオスで溺れかけた時の旅日記はこちら。

まずは小さな渡し船に乗り込み、対岸へ移動。

船は人が乗るたびにグラグラと大きく傾くので、ちょっとドキドキする。
でも、ボートで移動するだけで、冒険の旅感がぐっと高まって、ワクワクしてきた。

小さなグランドキャニオンを歩く|ワディ・シャーブ渓谷トレッキング

ボートを降りると、ナツメヤシが茂るスタート地点に到着。
ここから、トレッキングが始まる。
最初は集落の畑の中を通り抜けるが、村人は写真撮影禁止なのでスマホはしまっておいた。

切り立った岩壁に挟まれた渓谷沿いを、ツアーメンバーと一緒に進む。
トレッキングは片道約40分ほど。
強烈な日差しの中、ただ歩くだけでもなかなかハードだ。

絶景が続くので足を止めながら景色を楽しみつつ進んでいく。

エメラルドグリーンに輝く川では、暑さに耐えかねたのか、時折水に飛び込んで泳いでいる人の姿も見かけた。

渓谷の崖道を歩いていると、ガイドのラシェが突然、崖から飛び込みを始めた。

高さはかなりある。
私は、以前ラオスで5mの高さから川に飛び込んで、思いっきり尻を打ちつけて数日間痛みに苦しんだ経験があるので、それ以来飛び込みは封印している。
だからラシェの飛び込みを見て、ただただ「すごいなぁ」と感心するしかなかった。
しかもラシェは2回も連続で飛び込み、ツアーメンバーたちを沸かせてくれた。

汗だくで歩く私たちとは違い、泳いだ彼は涼しそうに歩いていて、ちょっとうらやましい。
私も早く川に入りたいと、頑張って足を動かした。

さらにゴツゴツした岩場を飛び越えながら奥へと進む。
途中、滑りやすい場所もあるので、滑りにくい靴は必須。
私はトレッキングシューズだったから平気だったけれど、道中、一人の女性が転倒して肩を打ち、しばらく立ち上がれなかった。
慎重に歩く必要があると改めて思った。

トレッキングルートには人工の滝があり、さらにオマーン独自の灌漑システム「ファラジ」も見ることができる。

ファラジの上を慎重に渡りながら進むと、ダイナミックな形をした巨大な岩壁が現れる。
そこを越えれば、もうすぐトレッキングの終点だ。

秘密の洞窟を目指して|川を泳いで奥地へ進む冒険
岩壁を越えると、目の前に広がったのは、たくさんの人が泳いでいる開けた川のエリア。

エメラルドグリーンの水が、道をふさぐように広がっている。
ここでいったん荷物を降ろし、トレッキングシューズを脱いでサンダルに履き替えた。
防水ケースに入れたスマホだけを持ち、いよいよ水に入る。


この先は、ところどころ足がつかないほど深い水路を、自力で泳いで進まなければならない。
誰かが引っ張ってくれるわけではないので、泳げることがこのツアー参加の必須条件だ。

水深が浅い場所では休憩しながら進み、時には岩場を歩いて進むこともある。
川底は滑りやすく、ビーチサンダルだと脱げてしまうので、かかとを固定できるマリンシューズが絶対に必要だ。


泳ぎ、歩き、また泳ぎ──そしてついに洞窟への入り口へたどり着いた。
洞窟の入口は本当に狭く、人ひとり、頭ひとつ分がやっと通れるギリギリの割れ目。

首の角度を慎重に調整しながら、手探りで岩を伝い、奥へと泳ぎ込む。

するとその先には、小さな滝が流れ落ちる、秘密の洞窟が隠れていた。
ツアーメンバー全員が感激して、しばらくその静かな洞窟で秘境の空気を味わった。
帰りは同じルートを泳ぎ、歩いて戻るのだが、水をたくさん持ってきていなかったので、喉の渇きがつらかった。
水は渓谷入口付近でしか売っていないので、トレッキングに出発する前に多めに準備しておくことを強くおすすめする。

再び渡し船で対岸に戻るころには、全身くたくた。
車に戻った頃にはお腹がぺこぺこになっていた。
トレッキング&水泳のあとのご褒美|昼食とビマ・シンクホール
車で少し走ったところにあるレストランで昼食。

地元民や他のツアー客でにぎわっていたが、料理は手際よくすぐに運ばれてきた。

ビリヤニ、チキン、フムス、アラビックパン、サラダ、カレーなどが大皿に盛られていて、ツアーメンバーとシェア。
空腹は最高のスパイス──どれもとても美味しかった。
昼食後は、ビマ・シンクホール(Bimmah Sinkhole)に立ち寄った。

かつて隕石が落ちてできたと言われる巨大な穴には、太陽光を反射して輝くエメラルドグリーンの水がたっぷりと溜まっている。

地下で海と繋がっているのか、水を舐めてみると少し塩味があった。
体力を使い果たした私たちは誰も泳がず、日陰で休憩しながらのんびり。
ツアースタッフが切ってくれた甘いスイカが、疲れた身体にしみわたった。
帰りの車では爆睡。
朝集合した場所にバンは戻り、ツアーメンバーと別れて、私はタクシーで宿へ帰った。
宿に帰還|オーナーのペット犬「アカマル」に癒される
宿に戻り、シャワーを浴びて夕食の支度をしていたら、オーナーに「犬は好きか」と聞かれた。
「好きだよ」と答えると、奥から1匹の犬が登場──。

その名も「アカマル」。なんと日本語の名前!
吠えることもなく、しっぽを振りながら甘えてきたアカマルに完全にノックアウトされた。

普段は猫派の私だけど、こんなにかわいい犬もたまらない(´Д`)

夕食は、バジルパスタ。
今日は適量を茹でたので、残さず完食。
このバジルソース、美味しくてマスカット滞在中ずっと食べ続けたけど全然飽きなかった。
4月22日:使ったお金
今日はワディ・シャーブのツアーに参加したので、出費は高め。
オマーンは現地ツアーの料金が高額なため、今回の旅では自力で行くのが難しそうなワディ・シャーブだけを厳選してツアーに申し込んだ。
・タクシー代(2回分):4.5リアル(=1,679円)
・日焼け止め:2.5リアル(=932円)
・ライフジャケットレンタル:1リアル(=373円)
・ガイドチップ:1リアル(=373円)
・ツアー代:10,252円
合計:13,609円