【83】アルーシャからサーバルワイルドライフへ!迷走の果てに動物天国(2025.6.30)

タンザニア

朝9時、トゥクトゥクで出発し、今日はモシ郊外の「サーバル・ワイルドライフ(Serval Wildlife)」へ!

──のはずが、まさかの大誤算。

ガイドのゼデクが場所を勘違いし、1時間後に着いたのはまったく別の場所。

そこから急きょ、乗合バスとトゥクトゥクを乗り継ぐことに。

ゼデクの言い訳と嘘に振り回されながら、ようやく昼過ぎに現地に到着した。

サーバル・ワイルドライフは、ライオンやサーバルキャット、キリン、シマウマと間近でふれあえる、ちょっと特別な動物施設。

トラブル続きだったけれど、動物たちに癒された時間は、そんな疲れも忘れさせてくれた。

……とはいえ、帰りもまた一苦労。

宿に戻ったのは夜9時過ぎ。

想定外のハプニングの連続で、心身ともにクタクタな一日だった。

サーバルワイルドライフへ出発!…が、いきなり迷走スタート

宿の朝食会場

朝は宿の屋上にあるレストランで朝食。

朝食

1泊800円ほどの宿なのに朝食付きとは、なかなかのコスパ。

パンやフルーツなどをしっかり食べて、出発に備えた。

乗合バンとトゥクトゥクを乗り継ぎ、ゼデクの言い訳に疲弊

朝9時、ホテルのロビーで昨日約束したガイドのゼデクと待ち合わせ。

てっきり料金を支払ったら、あとはトゥクトゥクの運転手と私だけで向かうのだと思っていたら、ゼデクも同行するとのことで少し驚いた。

彼はグーグルマップで目的地を確認し、運転手に説明していたので、安心して乗っていたのだが──1時間後、トゥクトゥクが停まったのはまったく見覚えのない場所。

どうやら、彼が示した場所は全然違っていて、最初は「Googleマップが間違っていた」と責任転嫁。

こちらが自分のGoogleマップで正しい場所を見せると、今度は「2年前に移転したから、古い住所に行ってしまった」と言い訳を始めた。

ところが、後にサーバルワイルドライフのガイドに確認すると、移転などしておらず、創業から一度も場所は変わっていないとのこと。

つまり、ゼデクの言い訳は完全な嘘だった。

それでもツアー代金はすでに支払い済みだし、今日どうしてもサーバルワイルドライフに行きたかったので、強めに「どうにかして行ってほしい」と伝える。

すると彼は、「ここからは距離がありすぎて、トゥクトゥクでは行けない。乗合バンとトゥクトゥクを乗り継ぐ必要がある」と提案してきた。

一瞬、「実はトゥクトゥクを全ての区間チャーターすると高くつくから、公共交通で費用を浮かせたいだけでは?」と疑ったが、たしかに道がかなり悪く、時間もかかりそうだったので、しぶしぶ了承することに。

モシ行きの乗合バン

爆音の音楽が鳴り響くモシ行きの乗合バンの中、ぎゅうぎゅう詰めでゼデクとともに移動。

車内の密度と音量だけで、すでに疲労感がじわじわと溜まる。

Boma Ngombe Bus Station

途中のBoma Ngombeというバスターミナルで下車し、ここからは別のトゥクトゥクに乗り換える。

トゥクトゥクに乗り換え

新たに乗ったトゥクトゥクの運転手さんは、とても明るく親切な人だった。

ただ、ゼデクの嘘にイライラしていた私は、つい不機嫌な態度を取ってしまい、ちょっと申し訳なかった。

レストランで野菜カレーをテイクアウト

ゼデクによれば、「サーバルワイルドライフではお弁当を持ち込んで、園内でピクニックしながら食べられる」とのこと。

しかも「3〜4時間は滞在できる」と言う。

事前に調べた限りでは、滞在時間は2時間程度とされていたし、園内でピクニックができるという情報もなかったので、またしても話が噛み合わない。

それでも一応、ローカルレストランで野菜カレーのお弁当といちごのデザートをテイクアウトし、再びでこぼこ道を進みながら、ようやく目的地へと向かった。

ロビーでお弁当を食べ、いざ2時間のふれあいサファリへ

サーバルワイルドライフのロビー

13時45分、ようやくサーバル・ワイルドライフに到着。

ロビーでゼデクが入園料を支払うと、やはりというか、案の定「園内での飲食は不可なので、お弁当はロビーで食べてください」と案内された。

もはやゼデクの言うことはことごとく的外れ。

今回もまたか…と、半ばあきらめモードでロビーのベンチに腰を下ろし、静かにお弁当を広げる。

ロビーでテイクアウトしたお弁当を食べる
いちごのデザートも

野菜カレーのお弁当と、いちごのデザートを急いでかきこみ、すぐに園内へと移動。

サーバルワイルドライフのレストラン

パーク内のウォーキングサファリは、1グループにつき専属ガイドが1名つくシステム。

所要時間は約2時間だ。

私とゼデクは、ガイドと合流するために敷地内のレストランへ向かうことに。

サーバルキャット

するとその道中、なんとサーバルキャットが目の前に登場!

サーバルキャットは、アフリカに生息する中型のネコ科動物で、長い足と大きな耳が特徴。

体格は小柄ながら俊敏で、野生ではネズミや小鳥などを狩るという。

突然の出会いに、ゼデクは大興奮。

「写真撮って!お願い!」と私にスマホを差し出してきた。

いやいや、あなたはガイド、私は客。

なんで私があなたの写真を撮らなきゃならんのよ……と内心あきれつつ、しかたなくシャッターを切ってあげた。

サーバルワイルドライフの専属ガイドと周る

レストランに到着すると、ガイドから“お約束”の念書が差し出される。

内容は、「これから肉食動物も含む野生動物に接近しますが、何があっても自己責任です」というもの

まあ当然といえば当然。

英語の文面をしっかり読んで、署名。

その後、担当ガイドのウィルフレッドと共に、いよいよ2時間のウォーキングサファリに出発──

──の、はずだったのに。

なぜかゼデクが、しれっとついてくる (‘A`)

シマウマやキリンと写真を撮っていると、すぐ横から「僕も撮って!」とウィルフレッドに自分のスマホを渡して、撮影に夢中。

もう完全に、観光客のテンションである。

このままだと、自分の写真を撮るのもままならないし、ガイドと動物についてゆっくり話すこともできない。

さすがに我慢の限界で、「もうついてこないで」と、かなり強めに言ってしまった。

ここまでで道を間違え、嘘をつき、言い訳を重ね、挙句の果てには客を差し置いて自分の写真撮影に夢中とは──もうガイドとしては完全に失格。

昨日、「タクシーは高いし、トゥクトゥクで行けるならその方がいいかも」と、自分から提案してしまった手前、すべてをゼデクのせいにすることもできない。

とはいえ、彼の「行けるよ」という言葉を鵜呑みにしたのは完全に失敗だったし、その判断を下した自分にもイライラする。

これまでの旅では、ガイドやドライバーはみんな親切でプロフェッショナルだっただけに、今回のようなタイプに出会ったのは本当に初めてで、ただただ驚いた。

ライオンもキリンも至近距離!動物たちに癒されたひととき

ここ「サーバル・ワイルドライフ」は、5年前に創業された動物施設。

敷地内には超高級ロッジも併設されているが、日帰りゲストでも入場料120ドルを支払えば、2時間のウォーキングサファリに参加できる。

園内には、ホワイトライオンやサーバルキャット、ブルーモンキーといった個性的な動物たちをはじめ、キリン、シマウマ、ワイルドビースト、エランド、ウォーターバック、クドゥなど、サバンナで見られるような野生動物が数多く飼育されている。

ここにいる動物たちは、すべて子どもの頃から人に慣れるよう訓練されており、餌をあげたり、実際に触れたりすることができる。

なんと、すべての動物に名前がついており、専属のガイドは一頭一頭を見分けられるというから驚きだ。

もちろん、野生動物を人間とのふれあい目的で飼育することには賛否両論あるだろう。

だが、セレンゲティやンゴロンゴロといった本格的なサファリでは、ここまで近づいて餌をあげたり触ったりすることはできない。

そういう意味では、まさに“唯一無二”のふれあい体験ができる場所だった。

エランド(Eland)

エランドのドリルみたいな角がかっこいい。

見た目はどっしり大きいけれど、性格はとてもおだやか。

ゆっくり近づいてきて、やさしく餌を食べてくれる姿にほっこりした。

キリン

にょきっと首を伸ばして、長い舌で餌をペロリ。

まつ毛バサバサの瞳で間近に見つめられると、なんだか照れる。

角のように見える“オシコーン”にも触らせてもらったら、意外にもふもふで気持ちよかった。

シマウマ

白黒の縞模様が本当にきれいで、近くで見ると想像以上に可愛い。

警戒心もなく、ぴったり横に並んでくれた。

たてがみにそっと触ると、思ってたより固くてびっくり。

ブルーモンキー

手のひらにちょこんと乗ってきて、草をじーっと観察する姿が可愛すぎる。

小さな手で指をギュッと握ってくるのがたまらなくて、思わずニヤけてしまった。

ホワイトライオン

南アフリカの動物園で生まれた、2歳半のメス・ナラ。

さすがにライオンは危険なので、まわりには常に3人のパークスタッフが待機していた。

ナラは、ごろんと横になって大あくび。

その背後からそっと撫でながら記念撮影。

内心ドキドキだったけれど、大きな猫みたいでちょっと可愛い。

毎朝10kgの牛肉を食べているそうで、空腹じゃないからこそ人間が安全に触れられるとのこと。

周囲の草食動物を襲わないのも、そのおかげらしい。

サーバルキャット

このパークの名前の由来にもなっている、サーバルキャット。

毎朝うさぎやネズミ、鶏肉などを2kg食べているそうで、普段はお腹いっぱい。

でも夕方になると狩猟本能が目覚めるのか、園内のネズミを狙って戦闘モードに突入。

肉食動物なので、サーバルキャットにも専属のスタッフが付きっきり。

一緒に園内を歩き回るスタッフさん、めちゃくちゃ大変そうだった…。

狩りに飽きたあとは、芝生の上でゴロゴロ。

そっと近づくと、警戒しつつも撫でさせてくれた。

しなやかで野性味あふれる動きに加え、猫っぽいツンデレ感がたまらない。

そして担当ガイドのウィルフレッドが、本当に素晴らしかった。

動物の説明はもちろん、プロ並みの撮影センスでたくさん写真を撮ってくれ、撮影中は私のショルダーバッグまでずっと持っていてくれた。

道中のトラブルやゼデクへの怒りもすっかり忘れるくらい、楽しくて癒された2時間だった。

帰り道もひと苦労。波乱づくしの日帰り旅がようやく終了

17時すぎ、駐車場で待機してくれていたトゥクトゥクに乗って、まずはBoma Ngombeのバスステーションへ戻る。

Boma Ngombe Bus Station

そこで再びバスに乗り換え、アルーシャへ向かう。

帰りは大型バスに乗れたので、行きの乗合バンに比べて座席も広く、音楽もうるさくなくて快適だった。

ただ、バスが来るまでかなり待たされたのが地味にしんどい。

スナックやマフィンを購入

その間、スナックやマフィンを買おうとしたら、ゼデクが「これは自分が出すよ」と支払ってくれた

もしかして、少しは責任を感じているのだろうか。

そして21時すぎ、ようやくアルーシャのホテルに到着。

ホッとしたのも束の間、ゼデクからまさかの発言が飛び出した。

「今日のツアー代は160ドル。120ドルは入場料だから、残る40ドルで交通費と昼食代をやりくりして、自分の手元に残ったのはたったの5,000シリング(=283円)だ。チップをもらえないか?」

──えっ。

あまりの展開に、しばらく言葉が出なかった。

今までの流れを考えると、素直に信じるのはちょっと難しい。

道を間違えた件、往復トゥクトゥクチャーターのはずが公共交通を使ったこと、約束と違う内容だったことを伝え、「それはそっちの不備だから、チップは出せない」とハッキリ断った。

私の説明にゼデクは「うん、たしかにそうだね」と納得し、そのまま静かにお別れ。

ただ、最後までちょっと後味の悪さが残る終わり方だった。

明日の朝は、6時10分にサファリツアーのお迎えが来る。

今日1日で心も体もどっと疲れたというのに、明日からは体力勝負のサファリ…大丈夫か。(‘A`)

こうして、ハプニングだらけのサーバルワイルドライフ日帰り旅は、ようやく幕を閉じた。

6月30日:使ったお金

この日は、サーバルワイルドライフのツアー代金のみ。

・ツアー代金(160ドル):421,000シリング(=23,433円)

合計:23,433円