ついに迎えた、サファリ旅の最終日。
今日は朝から霧が立ちこめ、あいにくの空模様。
ここまで快晴続きだったから、ちょっと残念だけど、こんな天気も旅の一部。
そう思って出発するしかない。
今日は新たにモロッコ人とカーボベルデ人のカップルが加わり、私たち6人でクレーターの中へと向かった。
世界遺産に登録されているンゴロンゴロ保全地域は、かつて巨大な火山だった場所が陥没してできたクレーター地形。
その中には湖や草原が広がり、今も多くの動物たちが自然のままに暮らしている。
今日は、優雅に湖を彩るフラミンゴやペリカン、頭に金色の冠のような羽をのせたクラウンクレイン、そして目の前をのっしのっしと歩くライオン、そして何より──圧巻のヌーの大群に出会った!
クレーターの真ん中で、風と土と動物の気配を肌で感じる。
これぞまさに、大自然の鼓動。
ランチは、カバが泳ぐ川辺のピクニックエリアで。
夕方にはアルーシャへ戻り、宿の屋上で旅人仲間と串焼きとピラフの夕食を囲んだ。
こうして、体力勝負だったサファリ旅の3日間は、無事に幕を閉じた。
霧に包まれた朝、最終日のサファリがスタート

サファリ最終日。
キャンプサイトには朝から霧がかかり、空はどんより。
ああ、今日はちょっと残念な天気。
でもこれもまた旅の一幕。


朝食は6時半から。
隣の車のグループは6時スタートだったのに、なんでうちのグループは遅いのかな?と思っていたら、今日から新たにモロッコ人のレイラとカーボベルデ人のレダ、カップルのふたりがツアーに合流することが判明。
私たちは7時過ぎには食事も済ませて出発の準備も完了していたのに、彼らを待つために出発が遅れることに。
しかも、ふたりは出発時に「朝食はまだ」と言い出した。
どう考えても、ツアー間の連携ミス。
二人が気の毒だった。
結局、途中で朝食休憩を挟むことになり、その調整にも手間取り、キャンプサイトを出たのはなんと8時15分。
すでに1時間以上のロス。

あいにくの曇り空で、今日はクレーターの壮大な景色がまったく見えない。
それでも私たちの車は、ゆっくりとクレーターの縁を下り、内部へと進んでいく。

その途中、入口付近の休憩ポイントで一度停車。
レイラたちが車内で朝食をとるあいだ、私たち4人は外でぼーっと待機することに。
朝の出発がすでに1時間遅れていたうえに、ここでもさらに30分の足止め。
結果、トータルで1時間半ものロスになってしまった。
しかも、今日が唯一のンゴロンゴロサファリ。
貴重な時間がじわじわ削られていくのは、正直もったいない…。
フラミンゴ、ペリカン、クラウンクレイン──湖畔に集う美しき鳥たち

ようやくサファリ開始!
巨大クレーターの中に広がる湖と草原。
まず目に飛び込んできたのは、湖畔で優雅に佇むフラミンゴとペリカンたち。

ペリカンは、でっかいくちばしを携えてスタスタ歩いたり、ゆうゆうと泳いだり。
なんだかマイペースなその姿が、じわじわと可愛い。

そして注目すべきは「クラウンクレイン」。
金色の冠のようなトサカを頭にのせた姿は、まるで王様みたい。
すらりとした足でスタイリッシュに歩く姿は、鳥界のスーパーモデルと呼びたいくらい。
このクラウンクレイン、出会えるとちょっとラッキーな鳥らしい。
見られてラッキー!
車のすぐ横をライオンが通過!ヌーの大群に圧倒される

サファリ初日と2日目にもライオンには出会ったけど、どれもゴロゴロ寝てる姿だった。
でも今日は違った。
歩いてる!
それも、サファリカーのすぐ横をのっしのっしと悠然に歩いていくライオン。
その堂々たる風格に、車内は一気にざわめき、歓声が上がった。
昼間はぐうたらしていることが多い夜行性のライオンが、こんなふうに歩いてるのはちょっとレア。
これは嬉しい出会いだった。

そしてこの日のハイライトは、なんといってもヌー(ワイルドビースト)の大群!
クレーター内の草原に広がる、文字通り“見渡す限りヌー”の景色には思わず息をのむ。

その周囲には、相棒のようにぴったり寄り添うシマウマたちの群れ。
ヌーとシマウマはよく一緒にいるらしく、今日もセットで何度も目にした。

いったい何匹いるんだろう?と思うほど、あたり一面がヌーで埋め尽くされていた。

途中、ありがたいことにトイレ休憩にも立ち寄ってくれた。
サファリは動物との出会いだけでなく、「トイレ我慢との戦い」でもあるのだ。
カバが泳ぐ川辺で、ちょっとスリリングなランチタイム

ランチは、なんとカバが泳ぐ川のすぐそばにあるピクニックエリアで。

テーブルの向こう、ほんの数メートル先の水面には、ぷかぷかと浮かぶカバたちの姿。
「え、こんなに近くで?ここでごはん食べてて大丈夫なの?」とちょっと不安になる。
カバは草食動物とはいえ、サファリでは“人間を最も多く殺している動物”として知られている。
のんびり屋に見えて、実は超・凶暴らしい。
でもドライバーが「問題ないよ」と言うので、それを信じていただくことにした。

ピクニックエリアはいつも混雑していて、テーブル争奪戦。
食べ終わりそうなグループに目星をつけて、うまく入れ替わるタイミングを狙う。
場所取りにもなかなか神経を使う。

今日のランチも、青空の下でマティ特製のごはん。

どの料理もおいしくて、最後までしっかり楽しめた。

食後はしばらくクレーター内をまわり、14時前には外へと向かって登っていくことに。
その途中、道端にぽつんと現れたのが一頭の象。
まるで「じゃあね」とでも言うかのように、私たちの車を見送ってくれるようだった。
動物たちに別れを告げながら、ンゴロンゴロをあとにする。
クレーターを出る頃には、空はますます厚い雲に覆われていた。
それでも、「せめて展望台からの景色だけでも見られたら…」という淡い期待を胸に車は進む。
ンゴロンゴロ保全地域には、クレーターを見渡せる展望台がいくつか点在していて、私もずっとその眺めを楽しみにしていた。
なのに──
実はこれまでの2日間、私たちの車は展望台のすぐ近くを何度も通過していたのに、一度も立ち寄ってくれなかった。
初日には展望台のひとつを通り過ぎ、2日目には別の展望台の真横を通過。
それなのに、いずれもスルー。
周囲のツアー車は次々と展望台に寄っていく中、私たちだけ素通り…これはさすがに寂しい。
どうしてもあの壮大な景色を見たくて、初日の夕方にドライバーのサモに「展望台に寄ってほしい」とお願いしてみた。
彼の返事は「明日行くよ」。
でも、翌日もやっぱり通過しただけ。
再び「今日も寄らなかったね」と伝えると、「じゃあ明日行こう」と繰り返すサモ。

そして迎えた3日目、ようやく展望台に立ち寄ってくれた…と思ったら、辺り一面ガスに包まれ、クレーターの姿はまったく見えず。
これには私だけでなく、他のツアー客からも不満の声。
リクエストしていたのに、ずっと後回しにされたうえに、ようやく寄ってくれたタイミングは最悪。
さすがにみんな、ちょっとがっかりしていた。
その流れもあって、最終的には「シェフにはチップを渡すけど、ドライバーには渡さない」ということで話がまとまった。
もちろん、ドライバーの大変さは理解している。
彼はこの1ヶ月、休みなく毎日長時間の運転を続けていて、今日が連続勤務最終日。
明日からはようやく2週間の休みに入るそうだ。
体力的にも精神的にも、限界が近いのかもしれない。
そしてチップが彼らにとって大切な収入源であることも、重々わかっている。
だからこそ、できる限りの感謝を形にしたいと思ってきた。
でも──
今回は、何度もお願いしていた展望台の件を繰り返し後回しにされ、最後まで真摯に向き合ってもらえなかった。
そのことが心にひっかかり、感謝の気持ちをそのままチップに乗せることがどうしてもできなかった。
申し訳ないとは思いつつも、今回は見送る判断をした。
宿の屋上で串焼き&旅仲間と語るサファリ最終夜
18時頃にアルーシャの宿へ到着。
荷物を置いてひと息ついたところで、別のサファリカーに乗っていたコウジさんとコウダイさんと合流。
なんと彼らも同じ宿に泊まっていた。
せっかくだし、3人で一緒に夕食を食べることに。

まずはKhan’s Barbequeで串焼きとサラダをテイクアウト。
そのあと近くのスーパーでビールなどを買い、宿の屋上レストランへ。

屋上のレストランは本来、外部の食べ物やお酒の持ち込みはNGっぽい雰囲気だったけれど、事情を話すと「いいよ、持ち込んで食べていいよ」と快くOKしてくれた。
こういう柔軟さ、ありがたい。
一応レストランで最初の飲み物とピラフは注文。
好意に甘えさせてもらって、テイクアウトした串焼きやスーパーで買ったビールも一緒に並べた。

3人で割り勘にしたのでいろいろなメニューをシェアできて、満足度も高め。
旅の話に花が咲き、サファリ旅の締めくくりにふさわしい、楽しい夕食時間になった。
7月3日:使ったお金
今日は夕食を旅仲間とシェアできたおかげで、お腹も心も満たされたうえに、出費も控えめ。
・シェフチップ代:10,000シリング(=568円)
・宿代(1泊分):15,000シリング(=852円)
・夕食代(バーベキュー):8,000シリング(=454円)
・お酒、アイス:5,400シリング(=307円)
・夕食代(ピラフ):5,000シリング(=284円)
合計:2,465円