海外旅行保険の保険金請求方法と実体験レポート

海外旅行保険の保険金請求方法と実体験レポート
ねこ
ねこ

保険金ってどうやって請求するの?

海外旅行中の思わぬトラブルに備えて加入する海外旅行保険。

しかし、実際に保険金を請求する機会は意外と少なく、「どうやって申請するの?」「必要な書類は?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。

私はこれまでに世界各地を旅し、実際に保険金請求を経験しました。

今回は、私が体験した「疾病治療」と「携行品損害」の2つのケースをもとに、保険金請求の流れや必要書類、海外から保険会社に連絡する方法、注意点を詳しく解説します。

いざという時にスムーズに対応できるよう、ぜひ参考にしてください!

海外旅行保険の基本的な保険金請求方法

保険金を請求するには、基本的に以下のステップが必要です。

  1. 事故・病気発生直後の対応
    病気やケガの場合 → すぐに医療機関を受診する
    携行品損害の場合 → 盗難なら警察に届け出る、破損なら証拠を残す
  2. 保険会社への連絡
    契約している保険会社の緊急連絡先に連絡
    キャッシュレス診療が可能か確認
  3. 必要書類の準備
    診療明細書、領収書、警察の盗難証明書(ポリスレポート)など
  4. 保険会社への請求手続き
    郵送で請求書を提出
    追加書類を求められることもあるため、保険会社の指示に従う

【体験談1】疾病治療で保険金請求したケース

発生したトラブル:インドネシアで体調不良、日本帰国後に救急搬送・入院

インドネシア・スラウェシ島を旅していた際、ひどい風邪をひきました。

なんとか帰国便に乗ったものの、機内で体調が悪化。

関西空港に到着する頃にはフラフラで、空港の検疫所にたどり着いた後、動けなくなりました。

検疫所でインフルエンザ、COVID-19、デング熱、マラリアの検査を受けましたが、結果は全て陰性。

空港のスタッフにより、空港内のクリニックへ搬送されました。

その後、血液検査の結果、CRP値が高く、感染症の疑いがあるため救急車で総合病院に搬送。

3日間の入院と点滴治療を受けました。

退院後も約1ヶ月間、かかりつけ医で点滴や投薬治療を継続。

治療費の約34万円は、クレジットカード付帯の海外旅行保険で全額カバーされました。

※トラジャ旅行の旅日記に興味のある方は以下のリンクからどうぞ。

疾病治療の保険金請求の流れ

  1. 病院での対応
    治療費を全額自己負担で支払う
    診療明細書・領収書を受け取る
  2. 保険会社への連絡
    24時間対応の窓口に連絡し、必要書類を確認
    治療費が30万円を超えたため、医師の診断書が必要
  3. 書類の準備と提出
    保険金請求書、診療明細書・領収書、医師の診断書、出入国確認書類等を郵送
  4. 保険金の受取
    提出から約1〜2週間後に銀行口座へ振込

疾病治療の保険金請求に必要な書類

今回のケースでは、三井住友海上(クレジットカード付帯の海外旅行保険)に保険金を請求しました。

必要書類一覧
  • 保険金請求書
    振込先や他の保険契約の有無を記入
  • クレジットカード利用明細書
    利用付帯の保険のため、旅行の交通費をカードで支払ったことを証明
  • 日本出入国確認書類
    eチケット控や搭乗券など
  • 治療費の領収書・明細書
    原本を提出
  • 医師の診断書
    三井住友海上では、治療費が30万円以下なら省略可能
    ※保険会社によって省略できる金額が異なる
  • 入通院交通費申告書・利用した交通機関の領収書
    タクシーや公共交通機関を利用して入通院した場合、治療費と合わせて請求できる
  • その他の書類
    保険会社から追加で求められる場合あり

キャッシュレス診療の確認

入院時、保険会社にキャッシュレス診療が可能か確認しましたが、提携病院でなかったため、全額自己負担で支払うことになりました。

キャッシュレス診療の注意点
  • 保険会社と提携している病院のみ対応可能
  • 提携外の病院では、一旦自己負担が必要

医師の診断書の必要性

入院費は30万円以下でしたが、退院後にかかりつけ医を受診し、合計30万円を超えたため診断書が必要になりました。

かかりつけ医に診断書を作成してもらい、三井住友海上が診断書費用も負担してくれました。

保険会社による申請ルールの違い

以前、同じくクレジットカード付帯の海外旅行保険である楽天損害保険損保ジャパンにも疾病治療の保険金請求をしました。

楽天損害保険の対応
  • 健康保険に加入している場合、保険証で受診し、3割の自己負担分のみ後日保険金が支払われる
  • 治療費が10万円以下なら医師の診断書は不要
  • 診断書費用は自己負担
損保ジャパンの対応
  • 健康保険に加入している場合、保険証で受診し、3割の自己負担分のみ後日保険金が支払われる
  • 治療費が30万円以下なら医師の診断書は不要
  • 診断書費用は保険会社負担

保険会社によって申請ルールが異なるため、病院を受診する前に保険会社に確認することをおすすめします。

【体験談2】携行品損害で保険金請求したケース

発生したトラブル:タイでiPhoneが水没

タイのタオ島でウミガメと一緒にシュノーケリングを楽しんでいたとき、防水ケースに入れていたiPhone SE2が水没してしまいました。

ケースに小さな穴が開いていたようで、海水が侵入。

電源が入らなくなり、完全に故障してしまいました。

すぐにタオ島で唯一の修理店に駆け込みましたが、修理技師は島を離れており、戻るのは2か月後とのこと。

すぐに修理することはできませんでした。

そこで、タオ島を出てタイの首都バンコクへ向かい、MBK CENTER(マーブンクロン・センター)内の修理店「Gmobile」を訪ねました。

MBK CENTERの4階は、日本でいう秋葉原のようなエリアで、スマートフォンや家電を扱う店が多く、修理店も充実しています。

しかし、修理店で診てもらったところ、海水の影響で内部が深刻に損傷しており、修理は不可能とのこと。

結局、帰国後に新しいスマートフォンを購入することになりました。

※パンガン島旅行の旅日記に興味のある方は以下のリンクからどうぞ。

携行品損害の保険金請求の流れ

  1. 現地での対応
    海外でスマートフォンの修理を試みるも、「修理不能」と判断される
  2. 保険会社への連絡
    帰国後、保険会社に連絡し、携行品損害の請求方法を確認
    修理不能の場合、「修理不能証明書」と「購入証明書」の提出が必要とのこと
  3. 書類の準備と提出
    故障したスマートフォンの写真を撮影
    MBKの修理屋から「修理不能の理由」をメールで取得
    楽天モバイルの購入履歴と修理屋のメールをコピーして保険会社へ提出
  4. 保険金の受取
    提出から約1〜2週間後に銀行口座へ振込

携行品損害の保険金請求に必要な書類

今回のケースでは、三井住友海上(クレジットカード付帯の海外旅行保険)に保険金を請求しました。

携行品損害の保険金請求に必要な書類は、損害の原因(盗難・紛失・破損)によって異なります

【盗難の場合】警察の盗難証明書(ポリスレポート)
現地の警察署で発行してもらう必要があります
国や地域によっては取得が難しいことがあるため、観光警察やホテルスタッフに相談するとスムーズです

【紛失の場合】事故内容証明書(紛失の経緯を詳しく記載)
ただし、「うっかり失くした場合」は保険会社によって補償対象外となることがあるため注意が必要です

私が実際に体験したのは破損であったため、破損時の保険金請求に必要な書類を以下にまとめます。

【破損の場合】必要書類一覧
  • 保険金請求書
    保険金の振込先や、他の保険契約の有無などを記入
  • 携行品損事故内容報告書
    事故の内容、損害品の詳細、損害状況を記載
  • クレジットカード利用明細書
    利用付帯の保険のため、旅行の交通費をカードで支払ったことを証明する明細が必要
  • 日本出入国確認書類
    eチケット控え、搭乗券など
  • 写真
    損害の程度が分かる写真
  • 修理見積書、修理代金請求明細書または修理代金領収書
    損害の額や修理費用を証明するための書類
  • 修理不能証明書(全損の場合)
    修理業者が発行する、修理不可能であることを証明する書類
  • 購入時の領収書・保証書
    損害品の購入時期や購入金額を証明するため、保管していれば提出
  • その他の書類
    必要に応じて保険会社から追加で求められる書類

必要書類が揃わなくてもあきらめないで!

修理不能証明書について

バンコクの修理店で「修理不能」と言われましたが、その場で書面をもらい忘れてしまいました。

帰国後、修理店にメールを送り、修理不能の証明を依頼しました。

英語でもタイ語でも構わないので、その内容をメールで送ってほしいとお願いしたところ、すぐにタイ語で返信をもらえました。

このメールの本文に日本語訳を添え、印刷したものを「修理不能証明書」として保険会社へ提出しました。

もし修理不能証明書を入手できない場合は、「事故内容報告書」に証明書を取得できなかった理由を詳しく記載する必要があります。

内容によっては、保険金の支払い対象として認められるケースもあるようです。

購入時の領収書・保証書について

私のiPhoneは3年以上前にクレジットカードで購入しましたが、カードの明細の保存期間が過ぎており、購入履歴を確認できませんでした。

しかし、楽天モバイルのサイトで購入していたため、契約履歴に購入の記録が残っていました。

その履歴のスクリーンショットを撮影し、印刷したものを領収書として保険会社へ提出しました。

領収書がない場合、保険金の支払可否や減価償却費の適用については保険会社の判断となります。

携行品損害における補償額の計算について

私のiPhoneには非純正のバッテリーが入っていたので、ダメ元で保険を申請しました。

保険会社に確認したところ、非純正部品が入っていても保険の対象になるとのことでした。

補償される金額は、以下のいずれか安い方になります。

  • 減価償却後の時価総額
  • 修理費用

修理ができない場合は、減価償却後の時価総額が補償されます。

また、いずれの場合も自己負担額3,000円が差し引かれた金額が支払われるとのことです。

iPhoneは1年ごとに約20%ずつ価値が下がると保険会社に言われましたが、私のケースでは『減価償却率が50%』と算定されました。

計算すると、

購入金額61,150円 × 50%(減価償却率)− 3,000円(自己負担額)= 27,600円

この金額が申請から1〜2週間後に振り込まれました。

Appleの保証について

今回の事故をきっかけに、Appleの修理や保証について調べたことをまとめました。

まず、非純正バッテリーが入っているiPhoneでも、Appleの正規修理店に修理を依頼できます。

もし修理ができない場合でも、iPhone SE(第2世代)であれば38,000円を支払うことで新品と交換してもらえます。

この交換はAppleCare未加入でも可能ですが、正規の販売ルート(通信会社、家電量販店、Apple直営店など)で購入したiPhoneに限ります。

また、新品交換は「修理扱い」となるため、海外旅行保険の保険金申請も可能です。

ただし、交換費用の38,000円が全額補償されるわけではありません。

保険では減価償却後の時価額または修理費用のいずれか低い方が補償され、さらに自己負担額3,000円が差し引かれます。

今回の場合、iPhone SE(第2世代)の時価額は30,600円だったため、自己負担額を引いた 27,600円 が保険金として支払われます。

つまり、38,000円で新品交換した場合、実質負担は10,400円(38,000円 − 27,600円) となります。

これを踏まえ、

  • 実質10,400円の負担で新品のiPhone SE(第2世代)を入手する
  • 27,600円の保険金を受け取り、iPhone 15の購入資金に充てる

この2つで悩みましたが、最終的にUSB-C充電対応でバッテリー持ちが良いiPhone 15を選択しました。

スマートフォンが海水に水没した時の応急処置

スマートフォンが海水に落ちてしまった場合、できるだけ早く以下の対処をすることが重要です。

  1. すぐに電源を切る
  2. SIMカードを取り出す
  3. 真水で軽く洗い流す(海水に含まれる塩分が基盤を腐食させるため)
  4. しっかりと乾燥させる
    ドライヤーの冷風で乾かす
    ジップロックに乾燥剤(シリカゲル)と一緒に入れる

この処置を行ったうえで、できるだけ早く修理店に持ち込むことをおすすめします。

私の場合、こうした知識がなかったため、SIMカードを入れたままにし、水洗いもせずに放置してしまいました。

その結果、スマートフォン内部の基盤が海水によって腐食してしまいました。

バンコクの修理店でSIMカードの腐食部分を削り取ってもらい、SIMカード自体は復活しましたが、スマートフォンは修理不能になってしまいました。

防水ケースを過信してはいけない

今回の事故で、防水ケースの品質を過信してはいけないと教訓になりました。

防水ケースは経年劣化するため、1シーズンで買い直す等対策が必要です。

海外から保険会社に連絡する方法

海外旅行中に急病や携行品の盗難が発生した場合、保険会社の緊急連絡先に連絡する必要があります。

多くの保険会社は、国別の緊急連絡先を提供しており、主に「無料電話(フリーダイヤル)」と「コレクトコール」の2種類があります。

それぞれの特徴と使い方を説明します。

無料電話(フリーダイヤル)

特徴
・指定された番号にかけると、通話料が無料で保険会社と繋がる
・多くの保険会社は各国専用のフリーダイヤル番号を提供している
・ただし、一部の国では公衆電話やホテルの電話からはかけられない場合がある

かけ方
1️⃣保険会社のフリーダイヤル番号を確認
2️⃣現地の電話(公衆電話、ホテルの電話、携帯電話)からその番号にかける
3️⃣国際オペレーターを通さず、日本語オペレーターが直接電話に出る

コレクトコール

特徴
・通話料は受信者(保険会社)が負担する
・日本の保険会社が指定する「コレクトコール専用番号」にかける
・国際オペレーターを通じて発信するため、通常の電話とはかけ方が異なる

かけ方
1️⃣現地の国際電話オペレーターを利用
2️⃣国ごとに異なる「国際オペレーター番号」を調べてダイヤル
3️⃣オペレーターに「コレクトコールをかけたい」と伝え、保険会社の専用番号を伝える(例: 「I want to make a collect call to this number: +81-XX-XXXX-XXXX」)
4️⃣オペレーターが接続し、保険会社が通話を受け入れれば通話が開始され、料金は保険会社が負担

無料電話とコレクトコールのどちらを選ぶべきか?

項目無料電話(フリーダイヤル)コレクトコール
通話料金無料保険会社負担(無料)
かけ方直接フリーダイヤルに発信国際オペレーター経由で発信
使用可能な電話一部の国や回線で制限あり公衆電話・ホテル電話でも可能
推奨の選び方フリーダイヤルを優先(簡単で確実)フリーダイヤルが使えない場合に利用

KDDIジャパンダイレクトでコレクトコール

英語でのやりとりが不安な場合、KDDIジャパンダイレクトを利用する方法もあります。

これは、海外から日本の電話番号に日本語対応のオペレーターを通じてかけるサービスで、コレクトコールにも対応しています。

コレクトコールの場合、通話料はかからず、受信者(保険会社)が費用を負担します。

フリーダイヤルやコレクトコールが使えない場合

現地SIMカードを使用している場合や、滞在先の国・地域によっては、フリーダイヤルやコレクトコールが使えないことがあります。

その場合は、以下の方法を検討してください。

  1. 有料で国際電話をかける
  2. IP電話:例えば「My050」を使えば、海外から無料でフリーダイヤルにかけられます

「My050」の詳細については、以下の記事を参考にしてください。

世界一周の準備完全ガイド!出発前にやるべきこと一覧

まとめとアドバイス

海外旅行中の思わぬトラブルに備えて海外旅行保険に加入していても、いざ保険金を請求する際には手続きに手間取ることがあります。

本記事では、実際の体験談をもとに、保険金請求の流れや注意点を詳しく解説しました。

一般的に、海外旅行保険の保険金の請求期限は事故発生から30日以内となっています。

そのため、事故や病気が発生した場合は、できるだけ早く保険会社に連絡し、請求手続きを開始することが重要です。

また、請求に必要な書類の中には、現地でしか手配できないものや、保険会社所定の用紙に記載しなければならないものもあります。

現地で診断書や証明書を確保できるよう、事前に保険会社の指示を確認し、スムーズに手続きを進めましょう。

ねこ
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万が一の際に迅速かつ確実に保険金を請求できるよう準備を整えておくことをおすすめします