セネガルからモロッコ・カサブランカへ。
灼熱地帯から一転、涼しい風に迎えられて思わず深呼吸。
実はモロッコは今回の旅で唯一2度目の国。
ジブラルタル海峡を船で渡る夢のため、そして何よりこの国が大好きだから。
到着初日はハッサン2世モスクやメディナを巡り、夜は映画の世界を再現した「Rick’s Café」で優雅なディナー。
ピアノの生演奏にうっとりし、締めくくりはモスク地下の巨大ハマムで極楽タイム。
……ただし宿のクオリティだけは最安値級。
そんな落差も旅の一部。
モロッコ初日、贅沢と現実のギャップも含めて、最高のスタートだった。
カサブランカ到着!旅の中で唯一の“再訪の国”へ

深夜3時半すぎ、機内食が運ばれてきた。
でも眠気が限界で、食べながらウトウト……気づいたら半分以上残してしまっていた。

朝7時、カサブランカ空港に到着。
飛行機を降りた瞬間、涼しい風が吹き抜けてきて、その心地よさにびっくりした。
灼熱のセネガルから来たばかりだったから、この快適な気温が本当にありがたくて、思わず深呼吸。
実は今回の世界一周旅では、基本的に“初めて訪れる国”を優先して回っている。
でも、モロッコだけは例外。
2回目の訪問だ。
というのも、ジブラルタル海峡を船で渡るのが小さな夢で、それを叶えるために、どうしてももう一度モロッコに来たかったのだ。
そして何より、私はこの国が大好き。
(ちなみに、再訪予定の国はもう一つあって、10月に行くネパールも2回目になる。)
到着後すぐにSIMを買おうとしたけれど、バゲージ・クレーム内のSIM売り場の近くにATMが見つからず、ひとまず断念。

バゲージ・クレームを出てキャッシングを済ませたあと、空港の鉄道駅の近くでOrangeのSIM売り場を発見。
ここで20GBのSIM(100ディルハム)を購入。
カード代20ディルハムを加えて、合計120ディルハム(=1,972円)だった。
空港から市内まで鉄道移動、モロッコ初日がスタート!

カサブランカ空港から市内までは鉄道が直結していて、駅は空港の地下にある。
チケット売り場で「Casa Port(カサポール)駅まで」と伝え、2等車の切符(60ディルハム=986円)を購入。

1時間に1本ペースで出ている電車だけど、ちょうど出発した直後のタイミングだったようで、しばし構内のカフェで待機。
深夜便で寝ていたとはいえ、やっぱり身体は少し重い。

電車が入線したのでホームに移動し、2等車に乗り込む。

2等は自由席で、向かい合わせのボックスシート形式。
約45分でCasa Port駅に到着。

ちなみに、この駅にもSIM売り場が並んでいたので、空港で買いそびれても市内で十分間に合う。

駅から歩いて、旧市街(メディナ)の中にある宿を目指す。
カサブランカのメディナは、現代的な街並みに囲まれて、ぽつんと残るように広がる歴史地区。
ゲートをくぐると一気に雰囲気が変わり、ローカル感たっぷりの細い路地が続いていた。
私の宿は、そのメディナの入口すぐの場所にあり、迷わず到着できた。
激安ゲストハウスに泊まって、モスクとメディナを歩く

この日はカサブランカで1泊だけ。
「Youth Hostel Casablanca」というゲストハウスを予約していた。
チェックインは12時からだったけれど、スタッフに頼んで先にシャワーだけ浴びさせてもらい、共有スペースで軽く朝食をとりながら、時間までのんびり待つ。

朝食は、機内で出たパンと、セネガル空港で余った通貨で買っておいたスナック菓子、そしてビサップジュース。
そんな簡単な朝ごはんでも、長旅のあとにはありがたい。
しばらくくつろいでいたら、スタッフが気を利かせてくれて、少し早めに部屋に案内してくれた。

部屋は個室のツイン。
けれど、ベッドのシーツに触れた瞬間、手に細かいゴミやホコリがたくさん……おそらくシーツは交換されていない。
共同トイレにもトイレットペーパーがなく(どうやらこれが通常運転らしい)、まさに「最安値帯ゲストハウスあるある」といった感じ。
ちょっと寝るのが怖いくらいなので、持参のベッドシーツにくるまって寝ることにする。
南京虫がいないことを祈るばかり。

エアコンも扇風機もないけれど、天井近くに通気口があって、風が通るせいか、そこまで暑さは感じない。
暑さが心配だったけれど、この部屋に限っては思いのほか快適だった。
荷物を置いたら、さっそくカサブランカの街歩きへ出発することにした。

最初に向かったのは、カサブランカの象徴「ハッサン2世モスク」。
海辺に堂々とそびえる、モロッコ最大のモスク。
その壮麗な建築美は、外から眺めるだけでも思わず息をのむほどだった。
このモスクは、モロッコでは珍しく外国人も内部見学が可能。
ただし見学は、決まった時間に行われるガイドツアーのみで、今回はスケジュールが合わず断念。

けれど、外壁にあるイスラム幾何学模様の装飾水盤の前で記念撮影。
繊細なタイル装飾と色彩の美しさに見とれ、外観だけでも十分にその魅力を堪能できた。

モスクを後にして、次はカサブランカのメディナへ。
ローカル感あふれる細い路地には、食料品や日用品を扱う商店が軒を連ね、生活のにおいが漂っていた。
ここは観光地というより、地元の人々の暮らしがそのまま息づく場所。
ただ歩いているだけで、旅の空気をたっぷり感じられる。
映画「カサブランカ」の世界を味わう、Rick’s Caféで優雅なディナー

今夜のディナーは、映画『カサブランカ』の世界観を再現したレストラン「Rick’s Café」へ。
当日の午後に電話で18時半の予約を入れ、ちょっと背伸びしておしゃれして出発。
限られた旅のワードローブの中から、できるだけ雰囲気に合いそうな服を選んだけれど……足元だけは、どうしてもビーサンのまま。
店に到着すると、白壁にアーチが映えるクラシカルな外観が目の前に現れた。

中へ入ると、まるで映画の世界に入り込んだかのような空間が広がっていた。
モロッコらしい装飾とヨーロッパの洗練が美しく調和していて、静かにテンションが上がる。

まず運ばれてきたのは、ドライフルーツがトッピングされたクリーミーなチーズとパンのセット。
見た目も上品で、クセのないチーズはパンとの相性も抜群だった。
ドリンクには爽やかなミントが香るモヒートを選び、優雅なひとときのはじまり。

続いて登場したメインは、タラゴンクリームソースが香るストロガヌフ。
お皿の中央にストロガヌフが盛られ、まわりをマッシュポテトがぐるりと囲む“王冠仕立て”の盛りつけが印象的。
やわらかなお肉と、ほんのり甘く香るタラゴンの風味がクリームソースと絶妙にマッチしていた。
別皿のサラダには、芽キャベツなど普段あまり食べないような高級野菜がたっぷり。
さっぱりしたドレッシングとのバランスも良く、おしゃれで美味しい一皿だった。

「月曜だし、生演奏はないかも。そろそろ帰ろうかな」と思い始めたころ──20時前になると、ふわりとピアノの音色が店内に響きはじめた。
なんと、生演奏がスタート。
ピアニストが登場し、しっとりとした弾き語りを披露してくれた。
優しい歌声とピアノの音色が、空間をさらに心地よく包みこんでいた。

演奏の余韻に浸りつつ、ピアノの前で記念写真を一枚。
夢のような時間だったけど、まだこの日の楽しみは終わっていない。
宿に一度戻ってお風呂セットを準備し、再びハッサン2世モスクへ。
モスクの地下で極上体験!夜のハマムで癒される

夜のモスクは、ライトアップされていて昼とは違う幻想的な美しさ。
実はこのモスク、地下に巨大なハマムがあるのだ。

モスクのハマムは広く、ローカルにも観光客にも人気。
入口は男女別になっていて、案内板に従って女性用の受付へ。

受付で入場料50ディルハム(=821円)を支払い、リストバンドを受け取る。

このリストバンドが、ゲート通過にもロッカーの鍵にもなる仕組みで、セキュリティ面も安心。
更衣室も広々としていて、とても清潔だった。
中には温度の違う3つの部屋(60度、45度、40度)があり、自分の好みに合わせて選べる。
私はもちろん、一番熱い60度の部屋へ。
たまに冷水を浴びながら、出たり入ったりを繰り返し、たっぷり1時間半のハマムタイムを堪能した。
ハマムは下着を着用して入るルールなので、パンツの替えは忘れずに。
もちろん、手ぶらで来ても中で全部レンタル・購入できるので安心。
高級レストランでの優雅なディナーに、モスク地下の極上ハマム。
宿の快適さには少し難ありだったけれど、それも旅の味のうち。
本当はモーリタニアのあとにモロッコへ行くつもりだったけど、予定より少し早まって、カサブランカに立ち寄ることになった。
でもこうしてこの街に来られたのは、もしかしたら何かに呼ばれていたのかもしれない──そう思えるような、最高のモロッコ初日だった。
7月21日:使ったお金
今日はちょっと贅沢して高級レストランでディナー。
お財布の紐、ゆるめました。
・航空券代(ダカール→カサブランカ):263,800フラン(=72,602円)
・SIM代(20GB100+カード代20):120ディルハム(=1,972円)
・電車代(空港→カサ・ポール):60ディルハム(=986円)
・カフェ代:22ディルハム(=361円)
・宿泊税:20ディルハム(=328円)
・宿代(1泊分):2,959円
・夕食代(ストロガヌフ等):300ディルハム(=4,931円)
・ハマム:50ディルハム(=821円)
合計:84,960円