【114】トドラ渓谷の川歩きとサハラ砂漠の灼熱キャンプ体験(2025.8.1)

モロッコ

朝6時、ホテルのビュッフェでしっかり朝食をとり、いよいよサハラ砂漠を目指す2日目がスタート。

最初の目的地は、モロッコ東部にある渓谷「トドラ渓谷」。

乾燥地帯にありながら、トドラ川の恵みで豊かな緑が広がる谷間を、ガイドと一緒にハイキングする。

いちじくをもいで食べたり、小川を渡ったり──まるで探検のような2時間の道のりだった。

渓谷の中心部ではモロッコ人たちが川辺で避暑を楽しんでおり、私も冷たい水に足を浸してクールダウン。

その後はサハラ砂漠の玄関口・メルズーガへ。

夕方まで砂丘の目の前にあるホテルで待機し、いよいよラクダに乗って砂漠の奥へ。

立って滑るサンドボードに挑戦し、日没を待ったが、あいにく曇りで夕日は見られず。

期待していた砂漠のキャンプ地も、実際は街の灯りが見える場所だった。

夜はテントの暑さに耐えられず、ベルベル人に頼んで外で就寝。

過酷さと魅力が入り混じる、サハラ砂漠での長い一日。

早朝のホテル朝食でしっかりエネルギーチャージ

朝食

朝6時、ホテルのビュッフェで朝食をいただく。

フレッシュジュースは3種類、ヨーグルトやパンも揃っていて、朝からしっかり栄養補給できる内容だった。

そして7時過ぎ、バスに乗って最初の目的地「トドラ渓谷」へ出発。

トドラ渓谷でハイキング!畑と小川を歩く探検コース

渓谷沿いの畑の中を歩く

10時ごろ、渓谷に到着。

ここでは無料でガイドがついてくれるらしく、さっそくハイキングが始まった。

まずは渓谷沿いの畑の中を歩く。

乾燥した砂漠地帯にありながら、トドラ川のおかげで一帯は緑豊か。

谷底には水源があり、その水を利用してナツメヤシやとうもろこし、野菜が育てられている。

切り立つ岩山に囲まれた谷間に、畑やパームツリーが点在する風景は、まさに“砂漠のオアシス”。

小川に架かる橋を渡る

畑の奥には小川が流れていて、簡素な木の橋を渡ってさらに奥へ。

藪の中の獣道のようなルート

進むにつれ道はだんだん細くなり、藪の中の獣道のようなルートに。

平坦な道なのに予想以上に本格的で、ちょっとした探検気分だった。

いちじくを食べ歩き

途中、ガイドさんが木になっていたいちじくを摘んでくれた。

甘くておいしい、まさに自然のおやつ!

後半は橋のない小川を何度も横断する。

私はゴアテックスのトレッキングシューズだったので濡れずに済んだが、他の人たちは裸足になったり靴がびしょ濡れになったりと苦戦していた。

小川をびしょびしょになりながら歩く

そして最後に登場した小川は、深さがあって私の靴でも無理そう…。

靴を脱ごうとしたそのとき、なんとガイドさんが私を背負って向こう岸まで運んでくれた!

他の人たちはずぶ濡れになって渡っていたので、なんだか申し訳ない気持ちになったけれど、優しさに感謝…。

お土産屋さん

ハイキングを終えた後は、ちょっとだけお土産屋さんへ。

ミントティーを出してくれながら、色とりどりの絨毯を次々に見せてくれる。

けれど、ツアー参加者のほとんどは学生のイタリア人たち。

お金を持っている人は誰もおらず、結局ひとつも売れずに終了…。

ちょっと店主が気の毒だった。

トドラ渓谷

その後、さらに歩いていよいよトドラ渓谷の中心部へ。

モロッコ東部、アトラス山脈の中に位置するこの渓谷は、切り立った岩壁がそびえる圧巻の景観で、ロッククライマーたちの憧れの地としても知られている。

足だけ水に浸かった

渓谷の川辺には、地元のモロッコ人たちが家族連れで避暑に来ていて、川沿いにテントを張ってピクニックを楽しんでいた。

足を冷たい川に浸しながら、のんびりおしゃべりしたり食事をしたり──そこはまるで天然の避暑地。

イタリア人たちが土産屋のストールを買っている間、私も川に足を浸してみた。

水は驚くほど冷たいけれど、猛暑のなかのハイキング後だったこともあり、足だけで全身がスッと冷えていく感覚がたまらなく気持ちよかった。

約2時間のハイキングを終えてバスに戻ると、ガイドさんがちょっとモジモジ。

「無料のガイド」と聞いていたけれど、暑い中しっかり案内してくれたし…と、少しばかりチップを渡すと、とても嬉しそうにお礼を言ってくれた。

シートベルト違反で罰金発生、昼食はジュースで終了

バスが出発してしばらくした頃、突然パトカーに呼び止められる。

なんと、後部座席のイタリア人たちがシートベルトをしていなかったため、ドライバーのホスィーンが400ディルハム(=6,490円)の罰金を支払う羽目に。

ホスィーンは「ドライバーの責任だから」と自腹で払っていたけれど、モロッコでは400ディルハムはかなりの大金。

たしかにルール上の責任はドライバーにあるのかもしれないけれど…倫理的には、シートベルトをしていなかった本人たちが罰金を負担してもいいのでは?と、どうしてもモヤモヤが残った。

昼食のレストラン

そんなこんなでレストランに到着。

ツアーで連れて行かれる系の高額なレストランで、ビュッフェ+ドリンク1本つきで120ディルハム(=1,947円)。

…だったのだけど、炎天下に放置されていたような料理が多く、なかには空っぽの皿やカピカピのお肉も。

ちょっと衛生面が心配で、私は食事をパスすることに。

昼食はジュースのみ

幸い、暑さのせいであまりお腹も空いていなかったので、ジュース(25ディルハム=404円)だけ買って、みんなの食事が終わるのをのんびり待つことにした。

砂漠の暑さに耐えながら…ホテル待機とラクダ旅へ出発

昼食を終えたあとも、車はさらに東へ。

午後4時すぎ、ようやくサハラ砂漠の玄関口・メルズーガに到着した。

ここは砂丘観光の出発点となる小さな町で、この先には一面の砂の世界が広がっている。

今夜の宿泊は、砂漠の中にあるキャンプ地。

とはいえ日中はとにかく暑いため、涼しくなる夕方まで、砂丘の目の前に建つホテルで待機することになった。

キャンプ前の休憩地

ホテルの屋外スペースには椅子とテーブルがあり、そこでラクダ出発の時間までしばしの休憩。

目の前はサハラ砂漠

目の前には、いよいよ始まるサハラ砂漠が広がっている。

風は吹いているものの、まるでドライヤーの温風を全身で浴びているような熱気。

クーラーが恋しい…(‘A`)

ティーとお菓子

そんな中、ホテルのスタッフがミントティーとお菓子を出してくれた。

昼食を抜いていたので、ちょっとした軽食がありがたい。

シャワールーム

念のため、ここでシャワーを浴びておくことに。

キャンプにもシャワーはあるらしいけれど、どんなレベルかは未知数。

ホテルには4つのシャワールームがあったが、鍵がちゃんと閉まるのは1つだけ。

利用者も多く、混雑は避けられそうにない。

プール

また、ホテルにはプールもあり、イタリア人たちは嬉しそうに次々と飛び込んでいた。

最初は入るつもりはなかったけど、あまりの暑さに命の危険を感じ、ついに私もプールに浸かることに。

サハラ砂漠が一年で最も暑くなるのは、6月から8月にかけて。

とくに7月と8月は、気温が45〜50℃に達することもあって、観光は早朝か夕方以降に限られる。

乾燥していて汗をかいている実感がないぶん、脱水には要注意。

ちなみに観光のベストシーズンは10〜4月ごろ。

昼は過ごしやすく、夜は砂漠らしい冷え込みが楽しめる。

私が8年前に訪れたのは6月だったけど、今回の8月は体感的に別格の暑さだった。

この日は6時頃までプールに浸かり、そのあと服のままシャワーを浴びた。

軽く絞って濡れた服のままラクダライドに出発する作戦。

気化熱で少しでも体を冷やすためだ。

でも乾燥した砂漠では、そんな濡れた服もあっという間に乾いてしまう。

ラクダに乗ってサハラ砂漠へ

午後7時ごろ、いよいよラクダに乗って砂漠の奥地へと出発。

私のバックパックもラクダの背中へ。

私と荷物の重みをのせて黙々と歩くラクダに、ちょっと申し訳ない気持ちになる。

ラクダの隊列

隊列の先頭に私、後ろにイタリア人たちが続く形で、ラクダの列は砂丘を進んでいく。

らくだに乗って記念写真

途中、らくだ使いのベルベル人が写真を撮ってくれたり、観光客慣れしたサポートぶり。

ラクダ使いのベルベル人たち

日没スポットに着くと一度ラクダを降り、しばらくのフリータイム。

ベルベル人たちと写真を撮ったり、サンドボードにも挑戦してみる。

サンドボード

このサンドボードは立って滑るタイプで、実は私にとっては初体験。

叫びながら滑ったら口の中が砂でいっぱいに…

バランスを取るのが難しく、叫びながら滑ったら口の中が砂まみれになってしまったけれど、それもまた楽しい思い出。

砂丘の上でサンセットを待つ

サンセットを待ったが、この日はあいにくの曇り空で、夕日は見られず。

自然相手なので仕方ないとはいえ、やっぱりちょっと残念。

街の灯りが見えるキャンプ地と、暑すぎた夜の過ごし方

キャンプ地は街のすぐそば

日が沈む頃、今夜のキャンプ地に到着。

想像していたのは、360度砂漠に囲まれ、街の明かりも一切届かないような奥地のキャンプ地。

ところが実際に着いてみると、メルズーガの街の灯りがこうこうと見えるほど近い場所だった。

8年前に訪れたときは、完璧なサンセットに満天の星空、そして静寂に包まれた砂漠のキャンプ体験ができた。

今回は、サンセットも雲に隠れて見えず、星空もおあずけ。

天候ばかりはどうしようもないけれど──街の明かりが見える立地という点だけは、やっぱり「安いツアーにはそれなりの理由がある」と実感させられた。

初めて来た人なら満足できるのかもしれないけれど、私は本物のサハラの美しさを知っているからこそ、少し物足りなさを感じてしまう。

「またいつか3回目のサハラへ」と、心に誓う夜となった。

テントにはベッドが一つ

キャンプのテントは1人用のプライベート仕様。

中にはベッドが1台だけあるシンプルな作りだったけど、テント内はとにかく暑い。

荷物を置いたらすぐに夕食会場へ。

夕食会場

夕食会場は大きな共用テント。

サラダ、パン、ご飯と凍っているお水

まずはサラダ、パン、ご飯と、シンプルな前菜が運ばれてきた。

嬉しかったのは、キンキンに凍ったペットボトルの水。

常温の水だとすぐにお湯になってしまうこの環境では、本当にありがたい。

ちなみに水は別料金で10ディルハム(=161円)。

チキンタジン

その後、メインのチキンタジンと、デザートにオレンジとメロンが続いた。

キャンプファイヤーとベルベルの伝統音楽鑑賞

食後は、ラクダ使いのベルベル人たちによる伝統音楽の演奏と、キャンプファイヤーの時間。

みんなで輪になって踊る中、私はすでに暑さでぐったり。

少しだけ音楽を見学してから、シャワーへ向かうことにした。

みんなが演奏に夢中になっている間だったので、シャワールームはガラガラ。

のんびり浴びられて、ちょっと得した気分だった。

しかし、シャワー後にテントへ戻っても、あまりの暑さにとても眠れない。

濡れタオルを首に巻いても効果なし。

そこでベルベル人に頼み、外で寝かせてもらうことに。

一人で外で寝る

シーツと枕を持って砂漠の地面に寝床を作ってもらった。

風があるぶん、テントの中よりはまだマシ。

ビショビショのタオルを体にかけ、気化熱をフル活用しながら、なんとか夜を乗り切った。

8月1日:使ったお金

昼食は衛生面に不安がありパスしたため、出費は控えめ。

・ガイドチップ:20ディルハム(=323円)
・ジュース:25ディルハム(=404円)
・水2本:20ディルハム(=323円)

合計:1,050円