旅の足を少し休めたくて、この日は観光をせず、青の街シャウエンで穏やかな時間を過ごすことにした。
朝の散歩で出会ったのは、階段の片隅で眠る小さな子猫。
地元の人たちが段ボールの家や餌を用意して世話をする様子に、猫にやさしい街の温かさを感じる。
その足で「世界で一番美しい路地」Derb El Assriを訪れ、朝の光に包まれた青い壁や花々を背景に記念写真を撮影。
川沿いのカフェでは熱々のビサーラを味わい、小川で涼をとる。
宿を移動したあとは、屋上から街を一望しながら休養し、夕暮れはレストランのテラスでタンギヤと夕焼けを堪能。
明日はタンジェへ──ヨーロッパが近づく旅の節目の日となった。
世界一美しい路地で迎える、青の街の朝

昨日シャウエンをしっかり観光したので、今日は観光はせず、のんびり過ごすことにした。
朝、朝食を食べに散歩へ出かけると、階段の隅っこで小さな子猫がちょこんと座ったまま、うとうとしているのを見つけた。
まだ生まれて間もないような小さな命。
シャウエンにはこうした子猫が本当に多い。
段ボールで家を作ってあげたり、餌を与えたりする人も多く、エッサウィラ同様、猫にやさしい街だと改めて感じてうれしくなる。

今朝は、シャウエンの中でも“世界で一番美しい路地”と称される「Derb El Assri」へ。
青く塗られた壁と階段に、花を植えた鉢が整然と並び、朝の柔らかな光に包まれている様子はまるで絵本の一場面のよう。
人通りも少なく、静かな空気の中で、ゆっくりと記念写真を撮ることができた。
川沿いカフェで味わうビサーラ

昨日訪れて気に入ったラス・エル・マにも足を運んだ。

朝食は、川沿いにある「Restaurant et Café Al Cherif」へ。
運ばれてきたのは、熱々の鉄鍋に入ったビサーラ。
乾燥そら豆をじっくり煮込み、オリーブオイルとクミンで香りづけしたモロッコ定番のスープだ。
湯気とともに立ちのぼる素朴な香りに食欲がそそられ、パンを浸して頬張れば、やさしい味わいが体の芯まで温めてくれる。
小川のせせらぎに耳を傾けながら足を水に浸すと、気持ちまで涼やかになった。
少し涼んだあと、宿へ戻る。
Dar blue pearlへ移動、屋上から望むシャウエンの街並み

今日は宿替えの日。
この日だけは同じ宿が取れなかったため、徒歩1分ほど離れた「Dar blue pearl」へ移動。

ツインルームに専用バス付きで15.39ユーロ(=2,750円)。
扇風機はないが、窓があり、なぜか室内はひんやりとしていて、十分快適に過ごせた。

屋上からはシャウエンの街並みを一望できる景色も楽しめる。
頭痛がひどかったため、昼間は部屋でゆっくり休むことにした。
シャウエン最後の夜を彩る、夕焼けとタンギヤの夕食

夜は「Restaurant Bab Ssour」へ。
最上階のフロアからは、夕日に染まる空を眺めることができた。

夕食には、マラケシュの郷土料理「タンギヤ」を注文。
壺のような素焼きの器に牛のふくらはぎ肉とスパイスを詰め、長時間かけてやわらかく蒸し煮にした料理だ。
ほろほろと崩れるジューシーな肉は、シャウエン最後の夜にふさわしい贅沢な一品だった。

食後は季節のフルーツでさっぱりと締めくくる。
明日はタンジェへ移動。
ジブラルタル海峡に面し、古くからモロッコとスペインを結ぶ玄関口として栄えた港町だ。
ヨーロッパが近づき、アフリカ大陸との別れが近づいているのを感じると少し寂しいが、新しい土地での出会いや発見への期待も同じくらい大きく膨らんでいる。
8月8日:使ったお金
今日は宿代と食費だけ。
・朝食代(ビサーラ等):35ディルハム(=571円)
・宿代(1泊分):15.39€(=2,750円)
・夕食代(タンギヤ等):100ディルハム(=1,631円)
合計:4,952円