シャウエンでの涼やかな朝を背に、いよいよモロッコ北端の港町タンジェへ。
選んだのは大手ではないNejme Chamal社のバス。
10時出発、約3時間弱で到着予定──のはずが、待っていたのはエアコンも窓もない蒸し風呂のような車内と、行き先の勘違いによる大幅なタイムロスだった。
4時間近く揺られて辿り着いたのは、メディナから10km離れたMain Bus Station。
そこからバイクタクシーで旧市街へ移動し、ようやく宿にチェックイン。
真夏のタンジェは予想以上に暑く、個室は予算オーバーでドミトリー泊。
昼は老舗カフェで甘いベイリーズを味わい、夜はグナワ音楽を聴きながらの散歩とフルーツサラダで一日を締めくくった。
灼熱と寝不足の中での新しい街の始まりは、波乱含みのスタートとなった。
シャウエンからタンジェへ──灼熱ローカルバスと行き先勘違い
朝9時過ぎにホテルを出発し、歩いてシャウエンのバスステーションへ向かう。
今日はタンジェへ移動だ。
シャウエン到着日に購入していたチケットはNejme Chamal社のもので、集合は9時45分、出発は10時、到着予定は12時45分と聞いている。
CTMやSuper Toursといった大手ではないので、設備面が少し心配だったが──その予感は見事に的中することになるとは、このときは思いもしなかった。

出発まで少し時間があったので、バスステーション併設のカフェで朝食。

卵とベーコン、パンにミントティーが付いたセットで23ディルハム(=375円)。
15分でかき込み、急いでバスへ向かった。

荷物をトランクに預ける際、ドライバーから預け代10ディルハム(=163円)を請求される。
乗り込むとき、ドライバーは「タンジェのメディナとステーションに止まる」と言っていたので、私は「メディナまで行ってくれる」と勘違い。
これが後々の悲劇につながる。

座席は大手バスとは雲泥の差で、古くて汚れ、あちこち破損。
さらに、驚くことにエアコンはなく、窓も開かない造りで、車内は真夏の蒸し風呂状態。
真夏にこの会社のバスを選ぶのは絶対おすすめしない。
予定より遅れて、バスはタンジェのCTMオフィス付近(メディナから5km)に停車。
しかし私は「まだ先のメディナまで行くはず」と思い込み、降りずに乗り続けてしまった。

するとバスはどんどん西へ進み、最終的にメディナから10km離れたMain Bus Stationへ到着。
渋滞のせいで到着は1時間遅れ、乗車時間は約4時間。
完全に体力を削られた。
どうやら「メディナ=CTMオフィス近く」、「ステーション=Main Bus Station」という意味だったらしい(‘A`)
英語がほぼ通じず、うまく確認できなかったのが悔やまれる。
バスターミナルでシェアタクシーの料金を交渉するも、100ディルハムという法外な値段を提示され、即却下。
inDriveの配車アプリで検索すると、バイクタクシーが28ディルハム(=456円)だったので、それでメディナへ向かった。

メディナ入口のGrand Soccoで降車し、歩いて3分ほどで宿に到着。
宿チェックインと旧市街でのひと休み

タンジェでは「Tanja Lucía Hostal」の女性用ドミトリーに2泊する。
本当は個室が良かったが、どこも高くて予算オーバー。
2泊で267ディルハム(=4,357円)と、モロッコの中でも高め。
ヨーロッパに近い都市だけあって物価は上がり、エアコンも扇風機もない部屋は蒸し暑い。
正直、真夏のタンジェでエアコンなしは厳しい。

汗と油でベタベタだったので、まずはシャワーを浴びてから外へ。

食欲はなかったので、搾りたてオレンジジュース(15ディルハム=244円)を昼食代わりに。

メディナ中心の老舗かつ有名な「Gran Café Central」で休憩。
観光客はもちろん、地元の常連にも長く愛されてきた名店で、クラシックな内装とゆったりした雰囲気が心地よい。

珍しくカクテルがあったので、ウイスキーと生クリームのリキュール「ベイリーズ」(35ディルハム=571円)を注文。
デザート感覚で飲める甘いお酒だった。
夜のメディナ散歩とフルーツサラダ探し
夕方は昼寝のつもりが爆睡し、気づけば夜9時。
お腹は空いていなかったが、夜中の空腹対策に軽く食べることに。

メディナの城壁沿いの広場では、グナワ音楽の路上パフォーマーが演奏していて賑やかだった。

さっぱりしたフルーツサラダを求めてレストランを探し回ること1時間半、ようやく「KANZAMAN restaurant」に入店。

フルーツサラダとピーチジュースを注文したら、フルーツの上にアイスが乗っていた。
甘すぎて少し邪魔だったが、ジュースはとても美味しかった。
これで65ディルハム(=1,060円)とシャウエンに比べると高めだが、マラケシュよりはまだましだ。
昼間あれだけ寝たこともあって夜はすぐ眠りにつけたが、騒音と暑さで何度か目が覚めた。
ケニア以来のドミトリー泊は、やはり個室ほど快適ではない。
ヨーロッパではアルヘシラス以外ドミが続く予定なので、「この環境で寝不足にならずに体力がもつだろうか…」と少し不安になる。
8月9日:使ったお金
シャウエン→タンジェのバスチケットは別日に購入済。
・朝食代(卵&ベーコン等):23ディルハム(=375円)
・荷物預け代:10ディルハム(=163円)
・バイクタクシー代(バスターミナル→メディナ):28ディルハム(=456円)
・宿代(2泊分):267ディルハム(=4,357円)
・オレンジジュース:15ディルハム(=244円)
・カフェ代(ベイリーズ):35ディルハム(=571円)
・夕食代(フルーツサラダ等):65ディルハム(=1,060円)
合計:7,226円