サファリツアー2日目。
昨日はトラブル続きで気持ちも沈んでいたけれど、せっかく憧れのマサイ・マラに来たのだから、今日は気分を切り替えて自然を楽しみたい。
そんな思いが届いたのか、今日はまさかの大迫力シーンに連続で遭遇!
まずは、チーターがガゼルを狩る瞬間を目撃。
目の前でガゼルが息絶え、チーターがその体にむしゃぶりつく姿に、ただただ息を呑んだ。
昼はサバンナのど真ん中に敷物を広げてランチタイム。
午後は、何台ものサファリカーに囲まれながら繰り広げられる、ライオンの長時間の交尾シーンを観察。
「プライベートなんてないわね」とつぶやいたツアーメンバーの言葉に、思わず笑ってしまった。
夕方にはマラ川に到着し、銃を持った国立公園スタッフに先導されてウォーキングサファリへ。
カバやワニを間近に見ながらの散策はスリル満点。
残念ながらヌーの川渡りには出会えなかったけれど、今日は動物たちの“生の姿”をたっぷりと堪能できた、マサイ・マラならではの濃密な一日だった。
今日はどうなる?期待とともに野生の王国「マサイ・マラ」へ

朝6時半、キャンプの朝食ビュッフェで一日をスタート。
テントに2連泊なので、荷物を置いたまま出かけられるのがありがたい。
7時20分にサファリカーが迎えに来て、他のキャンプ地を順に回って乗客をピックアップ。
今日は、昨日の午後サファリで一緒だったカップル2組に加え、ナイロビから一緒に移動してきたメンバーのうち5人が合流。
私を含めて計8人で出発した。
車内は助手席も含めて満席。
一番後ろの席は3人ぎゅうぎゅうで、ちょっと気の毒なくらい。

ケニア南西部に広がるマサイ・マラ国立公園は、タンザニアのセレンゲティ国立公園と地続きになっていて、ヌーやシマウマが群れをなして移動する「グレート・マイグレーション」の舞台として知られている。
見頃は7月から10月。
昨晩の夕食時、中国人旅行者に「どうやら今日からヌーの川渡りが始まったらしいよ。あなたはラッキーだね、明日見られるかも」と教えられ、淡い期待を抱いていた。
ただし、ヌーの川渡りはマラ川周辺でしか見られないため、車でかなり奥地まで走る必要がある。
どうしても見たいなら、マラ川近くのキャンプに泊まるプランがおすすめ。
ただし国立公園内の宿泊施設は料金もそれなりに覚悟が必要だろう。
今日はまず、公園のゲートから南へ進み、タンザニア国境方面を目指す。

しばらく走ると、狩りの真っ最中のライオンを発見。
何度もアタックを試みているが、なかなか獲物を仕留められず、ちょっと切ない姿だった。

驚いたのが、もはや「水たまり」では済まされない、川のようになった泥道をサファリカーが迷いなく突っ切っていくこと。
今回のドライバーは、昨日の安全軽視の件で正直いい印象はないのだけど、運転テクニックは確かに高い。
動物も次々と見つけてくれるので、そこだけは認めざるを得ない。

広い草原には、今日もたくさんのキリンたちが姿を見せてくれた。
遠くをゆったりと歩くその姿は、優雅そのもので、マサイ・マラの静けさと調和しているようだった。
目の前で繰り広げられる命の攻防──チーターの狩りに息を呑む
今日のハイライトは、何と言ってもチーターの狩り。
突然、目の前で全速力で走り出したかと思うと、あっという間に草むらでガゼルを仕留めていた。

ガゼルは手足をピクピクさせて必死に抵抗していたけれど、チーターは首元にがっちり噛みついたまま離さない。
さすがは地上最速の動物。
全力で走ったあとなのか、チーターは肩で息をし、胸が大きく上下していた。
数分後、ガゼルは絶命。
静かに、確実に、命が奪われていった。

仕留めたからといって、すぐに食事タイムとはいかない。
全速力で走った後のチーターは息も絶え絶えで、動けないほど疲れている。
さらに、他の肉食動物に獲物を横取りされる危険もある。
だからまずは、周囲をしきりに見渡して警戒を怠らない。
このチーターも、神経を尖らせた目つきでサバンナを見回していた。
もしライオンやハイエナに見つかれば、苦労して仕留めた獲物を一瞬で奪われてしまう。

しばらくすると、チーターはガゼルの太ももにがぶりと噛みついた。
後肢は肉が柔らかく、栄養価も高い“ごちそう部位”。
ほかの肉食動物がやって来る前に、少しでも食べておきたいという本能がむき出しだった。
とはいえ完全に安心しているわけではなく、口元に血をつけたまま、数秒おきに顔を上げては周囲をキョロキョロ。
目は鋭く、耳もピンと立ったまま。
その張り詰めた様子から、サバンナで生き抜くことの厳しさが伝わってきた。

チーターに食べられているガゼルは、目を見開いたまま絶命していた。
その瞳には、さっきまでの恐怖や驚きがそのまま焼きついているようで、生と死の境がほんの一瞬であることを思い知らされた。
一方でチーターは、もう“次の生”へと進んでいる。
美しさと残酷さが同居するその光景に、目を離せなかった。

少し離れた場所に、じっとその様子を見つめている1頭のガゼルがいた。
ドライバーによれば、きっとさっきのガゼルの兄弟だろうとのこと。
目の前で仲間が食べられているのに、何もできず、その場を離れることもできず、ただ立ち尽くしている──その姿があまりに切なく、胸を締めつけられた。
ここで降りるの!? サバンナで食べるランチボックス

午後2時すぎ、サバンナのど真ん中でサファリカーが停車。
ドライバーが風呂敷を取り出し、「ここでランチだ」と言う。
見晴らしの良い場所ではあるけれど、こんな場所で車から降りて大丈夫なのか、ちょっと不安になるレベル。

それぞれの宿泊キャンプから持たされたランチボックスを取り出す。
中身はほぼ共通で、ジュース、フルーツ、パン、ヨーグルト、チキン、スナック菓子といった軽食セット。

チキンはアルミに包まれていて、手を汚さずに食べやすい。
ヨーグルトにはスプーンがついていなかったので、フタを少し開けて、直接口をつけてすするしかなかった。
ライオンに“プライベート”は無し?交尾シーンを大観察
食後、再び車で移動していると、草むらでまさかの光景に遭遇。

よく目を凝らしてみると──なんとライオンが交尾の真っ最中!( ゚Д゚)
オスライオンがメスにまたがり、一生懸命に腰を振っている。
周囲には何台ものサファリカーが集まり、まるで観客のようにその様子を見守っていた。
「プライベートなんてないわね」とつぶやいたツアーメンバーの一言に、思わず吹き出してしまった。

ようやくトイレに立ち寄ったのは、なんと出発から8時間後。
朝7時20分にキャンプを出て以来、ずっとトイレがなかった。
途中で「トイレに寄ってほしい」とお願いしても、「外でしろ」と言われ、ツアーメンバー8人中5人が女性にもかかわらず、皆草むらで用を足していた。
車のすぐ横でお尻丸出しでしゃがんでいる女性メンバーを見て、私はどうしてもその気になれず、ひたすら我慢…。
タンザニアのサファリでは3〜4時間おきにきちんとトイレ休憩があったのに、マサイ・マラにはそういう配慮はないのだろうか?
1日200ドルもの高額な入園料を取る国立公園なのに、トイレの整備がされていないってどういうこと!?(‘A`)

トイレの近くで見かけたのは、赤いのど袋にハゲ頭が特徴的なアフリカハゲコウ。
死肉やゴミを食べる“自然の掃除屋”で、あのハゲ頭も衛生面を考えた進化なんだとか。
見た目はちょっと怖いけど、自然界ではちゃんと役割があるんだなぁと感心。
ヌーは来ずともスリル満点!マラ川でワニとカバのそばを歩く

午後3時半すぎ、マラ川に到着。
楽しみにしていたヌーの川渡りは、どうやらまだ始まっていない様子で、残念ながら姿は見えなかった。
ここでは、銃を持った国立公園スタッフの案内で、15分ほどのウォーキングサファリに参加できる。
最初の挨拶で、ガイドが「10ドルでも15ドルでもチップがもらえたら嬉しい」とはっきり口にした。
ケニアの物価や平均収入を考えると、たった15分の案内でその金額?とちょっとモヤッとしたので、私はチップを渡さなかった。

せっかくなので、マラ川を背景に記念撮影。
着ていた服は、ナイロビの日本人宿「RAHAKENYA」でレンタルしたもの。
500シリングで何日でも何着でも借り放題で、洗濯しなくていいのが最高に助かる。
この時期のケニアは意外と洗濯物が乾きにくく、下着だけ洗えばOKというラクさにどっぷり甘えていた。

マラ川の岸辺では、大きなワニが口を開けたまま微動だにせずにいた。
体温調節中らしいけれど、目つきは鋭く、じっと周囲の気配をうかがっている。
うっかり走って近づいてきたら…と想像するだけでビクビク。
川渡りが始まれば、ワニたちは水中に潜み、ヌーを一斉に襲う。
その“狩りの時”を今は静かに待っているのかもしれない。

対岸には、のんびりと過ごすカバの群れ。
その中に小さな赤ちゃんカバの姿も見えて、ちょっと和む光景…と思いきや、ガイドが見せてくれたのは、ワニに襲われる赤ちゃんカバの写真。
小さな体が水中で引き裂かれているその姿に、言葉を失った。
可愛さの裏に、命をめぐる過酷な現実がある。

川辺には、毎晩カバが上陸する“専用通路”のような道ができていた。

その先には、これでもかというほど積み重なったフンの山!
ガイド曰く、あれは縄張りのマーキングで、カバはしっぽをブンブン回しながらフンを遠心力でまき散らすらしい。
…カバ、意外とワイルド。(*´Д`*)
ヌーの川渡りを期待して、マラ川周辺をしばらく走ってみたものの、結局この日は姿を見られなかった。
遠くに豆粒サイズのヌーは見えたけれど、渡りが本格化するのは明日か明後日あたりかもしれない。
今年は例年よりスタートが少し遅れているのかも。
残念。

帰り道、広い草原に現れたシマウマの群れを横目に、ゆっくりとキャンプ地へと戻る。
今日は天気にも恵まれて、動物たちの姿もたくさん見られて、本当に充実した一日だった。
茶色のシャワーと、マサイ族の祝福で締めくくる夜

ツアーから戻ってシャワーを浴びようとしたら、なんと茶色いお湯が噴き出してきた!
水にすると透明だけど、お湯にすると茶色くなるという謎仕様。
一瞬ひるんだけど、寒さには勝てず、そのまま茶色のお湯を浴びた。
おかげで髪はバリバリ…(‘A`)

夕食は日替わりで少しずつメニューが変わるので飽きずに食べられる。
とはいえ、毎日ケニア料理なので、そろそろ洋食も恋しくなってきた。

食事中、突如マサイ族の一団がケーキを持って登場!
独特のうなるような声とリズムで店内を練り歩き、お誕生日のゲストのテーブルを囲んで歌い、踊り、祝福。

その歌声は大地の鼓動のように響き渡り、伝統衣装に身を包んだマサイたちが笑顔でステップを踏む様子は、とても印象的だった。
7月7日:使ったお金
食事もお水もツアー代に含まれてたので、出費ゼロ!