昨夜、レストランで犬に足を引っかかれた。
血も出てないし、大したことはないと思っていたけど、頭のどこかに「まさか」の不安がずっと引っかかっていた。
昼すぎ、悩んだ末にダハブのパブリック病院へ行くと、まさかの狂犬病ワクチン・ブースター2回接種を宣告される。
涙目で注射を受けたあと、腕がじんわりと痛くなってきたので、今日は海に入るのをやめた。
その代わり、シュノーケルグッズを探したり、明日のツアーを申し込んだり。
天国から地獄へ、そしてちょっとだけ地上に戻ってこれた、そんな1日。
薄皮の傷でも油断禁物|ダハブの病院でワクチン接種

朝食は本来テラスで食べるのがこの宿のスタイルだけど、ハエが群がるうえに猫が食べ物を狙ってくるので怖くなり、部屋に持ってきてもらった。
パン、卵、ポテト、豆、チーズ、ジャムという定番メニュー。
ワディラムで出会ったマルコも、ペトラで猫に噛まれていて、腕にはくっきりと歯型が残っていた。
彼もペトラやアカバで狂犬病ワクチンを打っていたそうで、思いきって相談してみた。
すごく親身に話を聞いてくれて、自分の不安に共感してくれる人がいるだけで心強かった。
旅先の孤独が少しやわらいだ気がした。
マルコの言葉に背中を押されて、午後、宿の人に教えてもらった病院へ向かうことに。

病院までは徒歩で40分ほど。
スタッフは「遠いからタクシー手配しようか?」と言ってくれたけれど、私にとっては十分歩ける距離。
暑さの中、汗をかきながら歩く。

病院はまるで野戦病院のような雰囲気で、設備は整っていないし、患者でごった返していた。
でも、犬に引っかかれたと告げるとすぐに処置室に案内された。
パスポートと渡航予防接種証明書を見せ、1年前に3回の狂犬病予防接種を受けていることを英語で説明。
医師は多少英語が通じたけれど、念のためGoogle翻訳でアラビア語にも訳して提示した。
実際の傷は、洗えば跡も残らないほどの薄い擦り傷。
「この程度で?」「あなたはすでに免疫あるから不要だよ」と笑い飛ばしてほしい――そんな期待も虚しく、医師の答えは違った。
「ブースターを2回接種します。今日1回目を打ち、3日後にもう一度来てください。」
ワクチンが苦手な私は、顔を引きつらせながら左腕を差し出し、涙目で接種。
接種後、証明書にワクチンの製造番号や病院名を書いてもらえないかと頼んだが、「製造番号は記録していない」との返事。
ワクチンは古かったり、適切に保管されていなければ効果が薄れることもある。
製造番号が管理されていないのは不安だったけど、今はこの病院を信じるしかない。
代わりに医師のサインだけもらった。
診察代を聞くと「無料です」とのこと。
日本では1本16,500円もしたのに、ここではタダ…。
なんとも言えない気分だったけど、素直にエジプト政府に感謝した。

半ば放心状態で歩いていると、道端にらくだの姿。
飼われているのか野良なのか分からない。
でも、エジプトは本当に動物との距離が近い。
近いからこそ、気をつけなければいけない。
旅の安全は、まず自分の判断と行動から。
泳げない日は道具探しと、ブルーホールツアーの申し込み

街に戻り、気分を変えたくて中華レストラン「Dragon House Dahab」へ。

チャーハンとグアバジュースを注文。
少し元気が戻ってきた。
今日はワクチンを打ったばかりで、腕もじんわり痛み始めていたので、無理せず海には入らずに過ごすことにした。

海沿いを歩くと、空と一体化したようなエメラルドブルーの海。
海に入らなくても、その透明感と色彩だけで心が癒やされる。

通りにはヤシの木が揺れ、強い日差しのなかでもどこか涼しげな風景。
観光地のはずなのに、観光地っぽすぎない、ゆるやかな空気が漂っている。

ライトハウスリーフの浅瀬では、子どもも大人も水遊びを楽しんでいる。
カヌー、素潜り、歓声…。
リラックスした時間が流れていて、こちらまで笑顔になりそう。

明日はブルーホールに行ってみようと決めて、いくつかのツアー会社をまわって料金を比較。
最終的に選んだのは、ブルーホール、ブルーラグーン、Abu Galoumの3カ所をめぐり、昼食とブルーホールの入場券も含まれている内容で、25ドルのツアー。
ドルで払うのは避けたかったので、現金で1,270ポンド(=3,654円)を支払った。
お店の人が「シュノーケルセット、ライフジャケット、フィンも全部無料で貸すよ」と言ってくれたけれど、シュノーケルとライフジャケットは自分で購入するつもりだったので、フィンだけ借りることにした。
「明日の朝9時45分にここに集合ね」と言われ、店をあとにした。

近くの店をいくつかまわり、シュノーケルセット・ライフジャケット・マリンシューズを合わせて800ポンド(=2,338円)で購入。
これで明日からの海遊びの準備は完了。
海を眺めながら味わう、ぷりぷり海老サラダのごほうび

夕食は、評判の良いShark Restaurantへ。
このエリアでは少し高級な部類だけど、味の評判は折り紙つき。

店内は海が見えるロケーションで、インテリアも落ち着いていて居心地がいい。

海老サラダ(370ポンド=1,081円)を注文すると、ぷりぷりのエビと絶妙なドレッシングに大満足。
値段以上の価値がある一皿だった。

夜のダハブの街をぶらぶら歩きながら、ゆっくり宿へ戻る。
「あと4泊するから安くして」と頼んでみると、1泊630ポンド(=1,841円)にしてもらえた。
予約サイト経由よりも1泊あたり約400円お得。
こういう小さな交渉がうまくいくと、ちょっと嬉しい。
部屋に戻り、筋肉痛でじんわり痛む腕をさすりながらベッドへ。
この痛みは、きっとワクチンがちゃんと効いてる証拠。
そう自分に言い聞かせながら、眠りについた。
5月6日:使ったお金
今日は宿泊代、ツアー代とマリングッズの買い物で出費がかさんだ1日。
でも病院代が無料だったのは大きな救い。
・昼食代(チャーハン等):180ポンド(=518円)
・シュノーケルセット:350ポンド(=1,007円)
・マリンシューズ:150ポンド(=431円)
・ライフジャケット:300ポンド(=863円)
・ジュース:40ポンド(=115円)
・ツアー代:1,270ポンド(=3,654円)
・夕食代(サラダ等):375ポンド(=1,102円)
・宿代(4泊分):2,520ポンド(=7,252円)
合計:14,942円