今日はいよいよ、アスワンからルクソールへ向かう2泊3日のナイル川クルーズに出発。
キャッチで予約した激安クルーズだったから、正直「本当に乗れるの?」「ボロ船じゃないよね…?」なんて不安もあったけど、いざ船を見た瞬間、その不安は一瞬で吹き飛んだ。
エントランスはピカピカ、部屋は清潔、屋上にはプールとサンベッド、そして昼にはアフタヌーンティーまで──思っていた以上にちゃんとしてて、むしろ豪華。
午前はアスワン観光をして、船に戻ってランチ。
そして午後の出航。
ナイル川の流れに身をゆだねていると、物売りたちのボートが猛スピードで近づいてきて、観光客に向かって土産を投げてくるという、まさかのアトラクションも体験。
夕方にはコム・オンボ神殿に到着。
夕暮れの神殿は美しかったけれど、クルーズ客でごった返し、観光ラッシュのような賑わいだった。
期待半分、不安半分で始まったクルーズ旅は、想像以上に濃密な初日となった。
乗ってみたら豪華だった|5つ星ナイル川クルーズ船の中へ
朝8時半、Montyが宿まで迎えに来てくれた。
いよいよこれから、ナイル川をアスワンからルクソールまで北上する、2泊3日のナイルクルーズに出発。
このクルーズでは、ナイル沿いに点在するいくつかの神殿を訪れる。
初日の夕方にはコム・オンボ神殿、2日目の早朝にはエドフ神殿へ。
最終日はルクソール観光が組まれている。
私がMontyと契約したクルーズの料金は、190ドル(=27,214円)。
内容は以下の通り。
- シングル1室
- 船での食事(朝食2回、昼食3回、夕食2回)
- アフタヌーンティ
- 夜のベリーダンスショー
- コム・オンボ神殿とエドフ神殿の立ち寄り(ガイドなし)
- 3日目のルクソール観光(ガイド付き)
※観光施設の入場料は別途必要。
これに加え、初日のアスワン観光(ガイド付き)をオプションで追加(+15ドル=2,148円)。
合計で205ドル(=29,362円)となった。
正直、申し込んだときは「本当にこの金額で乗れるの?」「まさかボロ船じゃないよね…?」と、ちょっと疑っていた。
でも、実際に船を目にした瞬間、その不安はあっさり吹き飛んだ。

「QUEEN OF SHEEBA」は少し古さこそ感じるものの、エントランスはピカピカ、部屋は清潔感があり、屋上にはプールとサンベッドもある。
想像以上にちゃんとしていて、むしろちょっと豪華なくらいだった。

まずはエントランスで、残りの料金をMontyに支払う。
支払いは米ドルかエジプトポンド。
私はエジプトポンドで支払った。
その後、船員さんに案内されて客室へ。

私の部屋は1階にあり、水面すれすれに小さな窓があるタイプ。
予約はシングルだったけど、実際には広めのダブルベッドが置かれていて、のびのびと使えた。

冷蔵庫やテレビも完備。
船内の飲み物は有料でかなり割高なので、出航前にあらかじめ買っておいたほうが賢明。

シャワールームも驚くほど清潔で、普通のホテルとほとんど変わらない設備。
これまでずっとバックパッカー宿を転々としていたから、今回が初めての「5つ星体験」。
思わずテンションが上がった。
もちろん、この船よりもっと豪華なクルーズ船に乗る日本人旅行者も多いと思う。
でも、私にとってはこのレベルでじゅうぶんすぎるほど。
それに、この内容でこの価格は破格。
とはいえ、「QUEEN OF SHEEBA」に乗っている人すべてが同じ料金ではなく、契約する会社によって値段も内容もバラバラ。
ガイド付きの団体ツアーもあれば、私のようにガイドなしの自由行動スタイルもある。
だから、申込時は値段だけで選ばず、自分に合ったプランかどうか、内容をよく確認することが大事だと思う。
荷物を部屋に置いたら、すぐに再びエントランスへ。
ガイドと合流し、オプションで申し込んだアスワン観光へ出発した。
フィラエ神殿、ハイダム、そして切りかけの巨石へ
私を含む5人のツアー参加者を乗せたミニバンは、まずボート乗り場へと到着。

ここからフィラエ神殿へ向かうため、いったん船に乗り換える。

最初にボートでチケット売り場へ向かい、入場チケットを購入(※料金はツアー代に含まれていないため、各自でカード払い)。
その後、再びボートに乗り込み、フィラエ神殿のある島へと進む。

ごつごつとした岩の小島が点在し、まるでディズニーランドのジャングルクルーズのよう…でも、ここにあるのはすべて“本物の自然”。
遺跡へ向かって水路を進む感覚は、まるで冒険の始まりのようで、自然と胸が高鳴る。

ナイルの中洲に浮かぶフィラエ神殿は、イシス神を祀るために建てられた、神話と信仰の交差点。
古代エジプトとギリシャ・ローマの宗教文化が融合する、美しくも不思議な雰囲気をまとっている。
ただ、この神殿はもともと別の島にあった。
アスワン・ハイ・ダム建設の影響でその島が水没の危機にさらされ、神殿は一度バラバラに解体され、現在の島へと移転・再構築されたのだという。
ブロックごとに切り出し、丁寧に再び組み上げたという壮絶な作業。
それだけの労力をかけても、神殿を守りたかった人々の思いに胸を打たれる。

ガイドが見せてくれたのは、神殿が半分水没していた時代の写真。
柱の中ほどまで水に浸かり、水面に浮かぶように立つ神殿は、まるで幻想の世界の遺跡のようだった。

上陸すると、まず出迎えてくれるのは、青空の下に凛と並ぶ列柱たち。
彫刻が施された柱が立ち並び、神々の回廊のような静けさと気高さがある。

その奥にそびえる第一塔門は高さ18メートル。
壁面にはファラオと神々が彫られていて、圧倒される。

神殿内部では、古代の宗教儀式や神話を描いたレリーフが壁一面に広がっていた。

ふと目をこらすと、壁の一部にキリスト教時代のコプト十字の刻印も残っている。
かつてイシス神を祀っていたこの場所が、時代を経てコプト教会としても使われていたことがわかる。
異なる信仰が重なり合い、同じ空間に息づいている。
その静かな共存が、とても印象的だった。

遺跡内には猫たちの姿も。
大きなネズミをくわえていた子もいたけど、さすがにグロテスクすぎたので、しっぽで遊んでいる姿をそっと撮影。

本殿の裏手にあるハトホル神殿は、ひっそりと川のほとりにたたずむ、小さく控えめな建物。
観光客も少なく、どこか神秘的な空気に包まれていた。
フィラエ神殿のあとは、他の参加者はクルーズ船へ戻り、私とガイドのふたりだけでアスワン・ハイ・ダムへ向かった。

アスワン・ハイ・ダムの展望台からは、ナセル湖に向かって広がる巨大なダムの全貌を見渡すことができる。

館内の展示パネルには、ナイル川全域の流れを示す図があり、エチオピア高原を源流とする青ナイルと、アフリカ中部から流れてくる白ナイルが合流し、エジプトを貫いて地中海へと注いでいく大河のスケールを改めて実感する。
アスワン・ハイ・ダムは、このナイルの流れをコントロールするために1960年に建設が始まり、完成までに10年近くを要した国家プロジェクト。

断面図のパネルを見ると、その内部構造の複雑さと巨大さに驚かされる。
高さ111m、長さ3.6kmという、とてつもないスケールの人工建造物。
このダムがナイルの流れをせき止めたことで、ナイルワニは下流に行けなくなり、現在ではエジプト北部でその姿を見ることはほとんどなくなったのだという。
そして、工事中の当時の写真も並べられていて、膨大な労働力と、機械を使いながらの過酷な環境での建設風景が映し出されていた。

命がけの難工事を経て完成したこのダムは、洪水を防ぎ、灌漑用水を安定供給し、エジプトの農業と経済を支えてきた。
ただその一方で、「ナイルの水を独占している」として、上流の国々から“水泥棒”と批判されることもあり、恩恵と対立の両面を抱える存在でもある。
ダムのあとは、切りかけのオベリスクへ。

…と言っても、あまりの暑さに中には入らず、外から眺めるだけに。
観光客の姿もなく、灼熱の中で静まりかえっていた。
このオベリスクは、花崗岩から巨大な石柱を切り出そうとしていた跡。
もし完成していれば、高さ約42m、重さ1200トンという史上最大級のオベリスクになっていたらしい。
途中で石に亀裂が入り、未完成のまま今に残されている。
優雅な午後に土産が飛んできた!物売りボートとの攻防戦
13時前、フィラエ神殿などの観光を終えてクルーズ船に戻ると、エントランスに今日のスケジュールが貼り出されていた。

ランチは14時から。
それまでに飲み物を買い出したり、軽く船内を散策することに。

船内のラウンジやバーカウンターは、「これぞクルーズ船」といった感じで、優雅さと気品が漂っている。


小さな売店もあり、エジプトらしいお土産グッズが並んでいた。

14時、レストランに入ると指定の席に案内された。
私の席は、入口に最も近い通路側。
Montyから予約した他のお客さんたちと同じ、8人グループのテーブルだった。
席はツアー会社ごとに割り振られているようで、どうやら私の申し込んだ会社が一番リーズナブルだったらしく、いわば「末席」。
他のテーブルでは水やジュース、ビールを楽しむ客が多かったけど、うちの席では誰も水すら頼んでいなかった。
…が、私はというと、「クルーズ船に乗ってまで水代を節約するのもなぁ」と思い、潔く注文。
水1本1.5ユーロ(=約243円)は正直高いけど、ここは必要経費と割り切った。
飲み物代は部屋付けで、2日目の夜にフロントでまとめて精算する。
なんと、アスワン空港から市内まで一緒に乗り合ったスペイン人男性3人組も、偶然このクルーズに乗っていた。
Monty経由で予約していたらしい。
思わぬ再会に喜び、船内アクティビティや食事も一緒に楽しむことになった。

ランチはビュッフェ形式で、エジプト料理が中心だけど、洋風メニューもあり、どれも観光客向けに食べやすくアレンジされていて美味。
サラダやデザートも豊富で、つい食べすぎてしまうほど。

Montyのツアーメンバーには、スペイン人男性3人のほか、イタリア人の夫婦、中国人の夫婦もいて、自然と会話が生まれ、和やかな雰囲気に。
船内を見渡してみても、どうやら一人旅は私だけ。
日本人も私一人だったけど、メンバーに恵まれて孤独を感じることはなかった。
部屋に戻ってブログを書いていると、突然窓の外から「バシャバシャッ」と水の音が。

何かと思って窓を見ると、なんと物売りのボートがクルーズ船にロープを結びつけて並走しているではないか!( ゚Д゚)
布製品を手に、必死に売り込みをしている…!!
「どうやって売るつもりなんだろう…」と興味が湧いて、屋上デッキに移動してみることに。

デッキから見下ろすと、アラビア語と英語が入り混じった大声で、物売りたちが猛烈アピール中。
そして驚いたことに、布製品をビニール袋に入れて、勢いよくデッキへ投げ込んできた。

その袋を開けて気に入れば、中にお金を入れて投げ返すという、なんともアクロバティックな販売スタイル。

小さなボートで巨大なクルーズ船に張りつくその様子は、まさに命がけの商売。
誰も買う気はないのか、商品をそのままボートに投げ返す乗客たち。
物売りたちはめげずに次から次へと商品を放り投げる。
そのやりとりが面白くて、私はデッキのプールに浸かりながら、しばらく眺めていた。

エジプトの灼熱の太陽の下、物売りたちが水しぶきを浴びながら必死に叫ぶ姿と、デッキでのんびり泳ぐクルーズ客。
同じ時間、同じ場所にいながら、こんなにも違う世界があるのかと、ちょっと複雑な気持ちになった。
川沿いには、生活感あふれる集落も見える。
あの人たちの目に、私たちクルーズ客はどう映っているのだろうか――そんなことを考えながら、水面で涼をとる。

デッキに立つと、ゆったりと流れるナイル川と、その向こうに広がる乾いた砂漠が一望できる。
まさに「優雅な船旅」という言葉がぴったりの風景だった。

サンベッドでごろごろと横になっていると、どこからかカップとスプーンを鳴らす音がリンリンリン…
船員がアフタヌーンティの時間を知らせてくれる、ちょっとした優雅な合図だった。

カウンターには紅茶やコーヒー、クッキーが並べられ、セルフで好きなものを取ってデッキで楽しめる。

プールで泳いで、サンベッドで昼寝して、アフタヌーンティ。
普段のバックパッカー旅との落差がすごすぎて、思わず笑ってしまうほどの優雅な午後。

お茶を飲みながら、反対側から南下してくるクルーズ船をぼんやり眺める。
ルクソールからアスワンへ――私とは逆方向に南下していくクルーズ船も多く、すれ違うたびにちょっとした船同士の“すれ違いロマンス”気分。

どの船もピカピカに豪華で、デッキには水着姿の欧米人たちがずらりと並んで、太陽に向かって全力で肌を焼いている。
アスワンやルクソールは、エジプトでも有数の灼熱地帯。
今の時期、気温はなんと43度。
日陰を探して右往左往している私をよそに、彼らはまるで“太陽電池式”かと思うほど元気に日光浴。
「いや、そこまで太陽が恋しいの!?」と思わずツッコミたくなるけれど、これが欧米スタイルらしい。
夕焼けの中で神々に出会う|コム・オンボ神殿を歩く
18時半、船は最初の寄港地・コム・オンボ神殿に到着。

船着き場から神殿までは歩いてすぐ。
私のツアーにはガイドが付いていないので、出航時間の20時まで自由散策となる。

チケット売り場で入場料450ポンド(=1,361円)をカードで支払い、中へ。
この時間帯は、昼の暑さを避けた他のクルーズ船も一斉に到着するため、神殿内は観光客でごった返し、ちょっとした“神殿ラッシュ”状態だった。

この神殿は、ハヤブサの頭を持つホルス神と、ワニの頭を持つソベク神――異なる二柱の神を祀る、珍しい「二重構造」の神殿。
入口の前庭には祭壇があり、かつてここで人々が祈りを捧げていたのかと思うと、石に刻まれた時の重みにしばし立ち止まる。

列柱室には、宗教儀式や神話を描いたレリーフがずらりと並び、壁面にはソベク神に供物を捧げる場面も。

ワニの顔が強烈に印象に残る。

さらに奥へ進むと、それぞれの神を祀る至聖所がふたつ。
同じ神殿の中に二つの“聖域”が並ぶ不思議な構造は、どこか並行世界を覗いているような感覚だった。

中でも目を引いたのが、古代エジプトの医療器具を描いたレリーフ。
壁には、メスやピンセットのような器具が刻まれており、当時の医術の高さに驚かされる。

神殿の隅には、ナイル川の水位を測るナイロメーターも残されていた。
年ごとの洪水に備え、ここで水位を測って税を決めていたという、まさに“水の文明”を支えた技術の跡。

覗き込むと、思っていたよりもずっと深く、少しこわかった。

ナイルの彼方に夕日が沈み、あたりはオレンジ色のやわらかな光に包まれていく。

神殿のすぐ隣にある博物館も見学。

ここにはソベク神の象徴でもある“ワニのミイラ”が展示されていて、その保存状態の良さに思わず「すごっ」と声が漏れる。
見学を終えたあと、出航まではまだ少し時間があったので、再び神殿へ戻ってみた。

完全に日が落ち、薄暗がりのなかライトアップされた神殿は、昼間とはまるで別の世界。

幻想的で、まるで異世界に迷い込んだかのような静けさに包まれていた。

船着き場には、何隻ものクルーズ船がぎっしり停泊していた。
桟橋の数には限りがあるため、船同士がぴったり寄せ合うようにして横付けされている。
桟橋から離れた場所に停まっている船の乗客は、他のクルーズ船を乗り越えるようにして、自分の船までたどり着かなければならない。
そのため、自分の船の名前だけでなく、手前にある他の船の名前まで覚えておかないと、うっかり迷子になってしまうのだ。
にぎやかなディナーと静かな夜風|船上の夜をゆったりと
20時、少し遅めの夕食タイム。

豪華に盛り付けられたビュッフェ形式の料理が並び、サラダやエジプト料理、チキンのカービングまで、目にも楽しいラインナップ。




食事中には、船員たちがバースデーソングを歌いながらケーキを持って登場。
太鼓のリズムに合わせて祝われるエキゾチックなバースデーサプライズに、船内はちょっとしたお祭りムードに。

21時半からは「GAVLABIA PARTY」の予定だったが、実際にはラウンジに音楽が流れ、踊っていたのはわずか3人。
パーティというより“交流スペース”といった感じだった。

夜のデッキは生ぬるい風が吹き、昼間のような灼熱はなく、心地よい。

プールに入る人はさすがにいなかったけれど、サンベッドや椅子に腰かけて、静かな夜の時間をそれぞれが楽しんでいた。
私はというと、部屋に戻ってラップトップを開き、ブログ執筆。
朝からずっと動き回っていたはずなのに、興奮しているのか全然眠くならず、気づけば明け方まで夢中で書き続けていた。
船のWi-Fiは高額だったので、エジプトのVodafone SIMでテザリング。
思いがけず、旅先で買ったSIMがこういう場面でも重宝する。
5月17日:使ったお金
クルーズ代のデポジット500ポンド(=1,445円)は昨日支払い済みだったので、今日は残金を支払って精算完了。
クルーズ代金の合計は、205ドル(=10,280ポンド/29,362円)。
この内容でこの金額は、かなりお得だったと思う。
・宿チップ:50ポンド(=145円)
・ナイル川クルーズ乗船代残金:9,780ポンド(=27,917円)
・フィラエ神殿入場料:550ポンド(=1,663円)
・アスワン・ハイ・ダム入場料:200ポンド(=580円)
・ガイドチップ:50ポンド(=145円)
・ドライバーチップ:50ポンド(=145円)
・水2本:20ポンド(=58円)
・ジュース2本:90ポンド(=261円)
・コム・オンボ入場料:450ポンド(=1,361円)
合計:32,275円
ちなみに、今回私が予約したMontyのクルーズが気になる方は、以下から直接連絡できます。
📧 monty1974@hotmail.com
📱 WhatsApp: +201025111063
