【98】セットプラスと乗合タクシーで向かう旧都サン・ルイ(2025.7.15)

セネガル

今日はダカールを出発して、サン・ルイへ移動する日。

セットプラスと呼ばれる乗合バンに乗り、さらに乗合タクシーを乗り継いで、ようやく目的地にたどり着いた。

バスターミナルでは道がわからず迷い、フランス語もわからず戸惑う場面も多かったが、周囲の人たちの助けに救われながら、無事にチェックイン。

昼はセネガルの家庭料理「マフェ」を食べ、夕方には漁師町の浜辺で大西洋に沈む夕日を見た。

乗合バンや乗合タクシーの乗り継ぎは一筋縄ではいかなかったけれど、どうにか乗りこなして、サン・ルイまでたどり着けたのはちょっとした達成感。

ただ、気がかりなのはモーリタニアのe-Visa。

サン・ルイでの滞在中も、解決の糸口はまだ見えてこない。

セットプラス&乗合タクシーでサン・ルイへ!

今日は、首都ダカールから、かつてフランス領西アフリカの首都だったサン・ルイへ向かう移動日。

選んだのは、セネガルのローカルな長距離移動手段としておなじみの「セットプラス(sept-place)」。

フランス語で「sept(セット)」は7、「place(プラス)」は座席という意味で、名前の通り本来は7人乗りの車。

出発時刻は「人数が集まり次第」という、いかにも西アフリカらしいスタイル。

あまり遅く行くと出発すらできないかもしれないので、朝7時すぎにピキンのバスターミナルへ向かった。

ところがこのピキンのバスターミナル、とにかく広い。

サン・ルイ行きの乗り場がどこにあるのか見当もつかず、完全に迷子状態。

周囲のセネガル人に「サン・ルイ!」「セットプラス!」と単語を連発して声をかけてみるものの、みんなフランス語しか話せないので、返ってくる説明もさっぱりわからない。

乗り場まで連れて行ってくれたセネガル人

そんな中、一人のセネガル人が私の様子に気づき、言葉が通じないにもかかわらず、親切に乗り場まで案内してくれた。

今思えば、少しでもチップを渡してお礼すべきだったのかもしれない。

でも、その時はとにかくセットプラスに乗ることで頭がいっぱいで、「ありがとう」の言葉しか出てこなかった。

少し申し訳ない気持ちが残る。

ようやく乗り場に到着
★:サン・ルイ行きセットプラス乗り場

ようやくマップ★印の、サン・ルイ行きのセットプラス乗り場に到着。

バスターミナルのかなり奥まった場所にあり、これは確かに自力ではたどり着けなかったと思う。

サン・ルイ行きセットプラス

車の名前の由来は「7人乗り」だけれど、座席を数えると12人乗りだった。

座席の間隔はせまい

一人がけの席はまだマシだけれど、2人がけの席はかなり窮屈。

しかもセネガルの人たちは体格のいい人も多く、そんな人が隣に来ると、長時間の移動はかなりキツい。

さらにエアコンはなし。

窓からの風だけが頼りなので、暑さとの勝負でもある。

支払いの仕方もよくわからず苦戦していると、乗客の中に英語を少し話せる女性がいて、通訳のように助けてくれた。

こういうときの親切が本当にありがたい。

運賃は6,000CFA(=1,574円)。

チケットを無事に受け取り、1時間ほどで人数が揃ったところで、ようやく出発!

途中のトイレ休憩

道中は一度、ガソリンスタンドでトイレ休憩あり。

車に揺られること約5時間。

セットプラスが到着したのは、サン・ルイ南部にある「Gare routière de la ville de Saint-Louis」というバスターミナル。

ここでバンを降り、さらに乗合タクシーに乗り換える必要があるのだけれど──もちろん英語はまったく通じない。

しかも私が泊まる予定の宿は、Googleマップにも表示されないような小さな宿。

場所を説明するのもひと苦労で、どうしたものかと途方に暮れていたそのとき…。

チケット購入のときに助けてくれた、あの優しい女性が、またしても神のように登場。

彼女は私の代わりにドライバーに宿の場所を正確に伝えてくれ、料金も適正な1,000フラン(=262円)でいいと案内してくれた。

あの時の彼女の存在は、まさに救いの女神だった。

黄色い車体の乗合タクシーで街なかへ

サン・ルイの乗合タクシーは黄色い車体が目印。

彼女に丁寧にお礼を伝え、タクシーに乗り込む。

途中で他の乗客を乗せたり降ろしたりしながら、車はサン・ルイの象徴・フェデルブ橋へと向かう。

フェデルブ橋を渡って、世界遺産の街へ

フェデルブ橋を渡ると、そこはもう歴史ある世界遺産の街並み。

コロニアル建築が建ち並ぶ、ノスタルジックなエリアの一角にある宿まで、無事にたどり着くことができた。

看板ちっちゃ!地図にもない快適宿「Keur Mina」

サン・ルイ中心地にある快適宿「Keur Mina」

私が泊まった「Keur Mina」は、看板も小さくてとてもわかりづらい宿。

Googleマップにも表示されておらず、事前に口コミを読んで「迷いやすい」と書かれていた通りだった。

なので念のため、WhatsAppで宿のスタッフと連絡を取り、到着予定時刻を伝えておいた。

すると、タクシーが到着するタイミングでスタッフがドアの前で待っていてくれた!

この宿にはフロントも常駐スタッフもなく、建物の入り口には常に鍵がかかっているので、事前連絡なしではチェックインはなかなか難しかったと思う。

おしゃれで快適なエアコン付き個室

部屋に入ってまず嬉しかったのは、家具がシンプルでおしゃれだったこと、そして何より──エアコン付き!

セネガルに来てからずっと「エアコン難民」だった私にとって、涼しい空間で休めるというのは本当にありがたく、暑さでバテていた体にしみわたるようだった。

ホテル代が高めのセネガルで、エアコン付き個室というとかなり予算がかかる印象があるけれど、ここは1泊4,000円ほど。

サン・ルイの中心にあり、観光にも便利な立地でこの値段はありがたい。

水回りも使いやすい

バスルームは個室内にあり、熱いシャワーも勢いよく出る。

洗面台も広くて、全体的に使い勝手がよく、旅の疲れを癒すのにぴったりな環境だった。

屋上で洗濯物もカラッと乾く

屋上は日当たりがよく、昼間に洗濯物を干せば数時間で乾く。

こまめに洗濯したい旅人には嬉しいポイント。

清潔な共同キッチンも完備

共同キッチンもきれいに保たれていて、冷蔵庫も使用可能。

ちょっとした調理や食材の保存にとても助かった。

昔ながらの街並みと、ピーナッツ香るマフェランチ

フランス風のコロニアル建築が今も残るサン・ルイの街並み

荷物を部屋に置いたあと、遅めのランチを求めて街を歩きはじめる。

サン・ルイは小さな島の上に築かれた街で、本土とはフェデルブ橋でつながっている。

通りには、フランス植民地時代のコロニアル建築が今も立ち並び、歩いているだけで時が止まったような感覚に包まれる。

ダカールとはまったく異なる、ゆったりとした静けさが漂っていて、旅の疲れがすっとほどけていくようだった。

Chez Dasso

ランチには、静かな通り沿いにあるレストラン「Chez Dasso(シェ・ダッソ)」へ。

看板には「SLOW FOOD」とあり、その通り、注文から料理が出てくるまでの時間はとてもゆったり。

でもこの街では、それすら心地いい。

せかせかした都会のテンポとは無縁の、「待つ時間さえ楽しむ」スタイルだ。

セネガルの定番家庭料理「マフェ」

この日のランチは、セネガルの代表的な家庭料理「マフェ」を注文。

ピーナッツバターをベースにした濃厚なソースをごはんにかけ、鶏肉や野菜を添えていただくスタイル。

ほんのり甘みを感じるピーナッツソースがクセになる美味しさだった。

食後はそのまま、ゆるやかな風に吹かれながら、街をのんびり散歩。

馬車の音が響く、時の止まったような通り

歩いていると、石畳の道をパカパカと音を立てて馬車が通り過ぎる。

それは観光用の馬車で、いまも街の移動手段として使われているもの。

その光景はどこかノスタルジックで、まるで時間がゆっくりと巻き戻されたかのよう。

サン・ルイの象徴、フェデルブ橋

タクシーで通ったフェデルブ橋を、夕方になって少しだけ歩いてみた。

この橋は1897年に建設された歴史ある鉄橋で、あのエッフェル塔の設計者、ギュスターヴ・エッフェルが設計に関わったとも言われている。

優美なアーチを描くその姿は、どこかパリの香りを感じさせる。

ノスタルジー漂う漁師町で、ゴミと夕日とローカルの笑顔

サン・ルイ島の西の端──フェデルブ橋とは逆方向に歩いていくと、観光地の顔とはまったく違う、ローカルな空気に包まれた漁師町が現れる。

カラ・ラピッド

通りを走っていたのは、カラフルでレトロな乗合バス「カラ・ラピッド」。

ポップなデザインがなんとも可愛い。

ローカル用の馬車

その横では、地元の人が使う素朴な馬車も行き交っていて、「本当にここは2025年なのか?」と思うような光景が広がっていた。

海岸にはたくさんの漁船

海岸に出ると、色とりどりの漁船がずらりと並んでいる。

その姿もどこか絵になる。

ビーチでサッカーする人々

ビーチでは、サッカーをする若者、腕立て伏せに励む人たち、仲間同士で談笑するグループ──地元の人々が思い思いに時間を過ごしていて、この街の“生きた日常”がそこにあった。

「こんなに人がいたのか」と驚くほど、夕暮れ時の浜辺はにぎやかだった。

大西洋に沈む夕日

西の海にゆっくりと沈んでいく太陽。

大西洋に沈む夕日は圧巻だった。

…ただ、足元には大量のゴミが散乱していて、ゴミを避けながら歩くのもひと苦労。

それでも、地元の人たちはそんなことをまったく気に留める様子もなく、日常としてこの風景を受け入れていた。

美しいのに、ちょっともったいないな──と、勝手ながら思ってしまう。

旅人レベルは上がったけど…モーリタニアe-Visaに撃沈

乗合バンに、乗合タクシー。

英語もフランス語もろくに話せないのに、なんとか人の助けを借りながら乗り継いできた今日の移動。

正直、乗合タクシーはどこへ向かうのかも曖昧で、配車アプリのように場所を確認する手段もない。

そんな“確証のない移動”に身を委ねるのは、最初は不安だった。

でも、意外にもちゃんとたどり着けてしまった。

少しずつ、“旅人レベル”が上がってきている気がして、それがちょっと嬉しかった。

…が、そんな旅の達成感も束の間。

頭の片隅にはずっと、「モーリタニアのビザ問題」が重くのしかかっていた。

モーリタニアでは、2025年1月5日からビザ制度が変更され、これまでのアライバルビザは廃止。

今では事前にe-Visaを取得しておく必要がある。

私も7月18日に陸路で入国する予定だったので、6月末には申請を済ませていた。

……のだが、待てど暮らせど音沙汰なし。

2週間以上経ってようやく届いたのは、まさかの「リジェクト(申請拒否)」。

理由は「パスポート写真の添付漏れ」だという。

え、ちゃんとアップロードしたはずだけど…?とモヤモヤしつつ、ダカール滞在中に再申請。

すると今回はわずか2日で返信が来た──が、まさかの「理由不明のリジェクト」。

もしかして、一度リジェクトされたことでブラックリスト入りしてる…?

制度が変わったばかりで旅人の数も少なく、ネットにも体験談はほとんど出てこない。

情報はなく、見通しは立たず、焦りばかりが募っていく。

三度目の申請を出すべきか。

それともVISAなしで国境に突撃して、賄賂でどうにかなる…なんて荒業にかけてみるか?

そんな考えが頭の中をぐるぐる回って、結局答えが出ないまま、時間だけが過ぎていった。

のんびり過ごすはずだったサン・ルイでの3泊4日は、気がつけばモーリタニアのビザ問題に振り回される日々となっていた。

7月15日:使ったお金

ダカールと比べて、サン・ルイは物価がかなり良心的。

・タクシー代(宿→バスターミナル):2,700フラン(=708円)
・バス代(ダカール→サン・ルイ):6,000フラン(=1,574円)
・タクシー代(バスターミナル→宿):1,000フラン(=262円)
・昼食代(マフェ等):5,000フラン(=1,312円)
・宿代(3泊分):48,500フラン(=12,730円)
・マンゴー:500フラン(=131円)
・水:500フラン(=131円)

合計:16,848円