フィリピン留学を始めてから、気がつけば毎日があっという間に過ぎていく。
平日はマンツーマンレッスンと自習に追われ、英語が思うように伸びないことに焦りを感じる日もある。
そんな留学生活のなか、週末には日本から友人がマニラに遊びに来てくれた。
一緒に出かけたのは、東南アジア最大級ともいわれるスラム街・トンド。
そこで目にしたのは、観光地を巡るだけでは知ることのできない、人々の暮らしだった。
墓地で生活する人々の姿にも触れ、マニラが抱える貧困や格差について考えさせられた。
一方で、ラグーナではフィリピンの天然温泉を楽しみ、マニラに戻ってからは高層ビルのルーフトップバーで美しい夕景と夜景を満喫。
華やかな街並みを眺めながらも、心のなかには簡単には整理できない思いが残った。
英語学習に悩む日常と、週末に出会ったさまざまな景色。
今回は、そんなフィリピン留学中の出来事をまとめて紹介したい。
海外滞在中に突然やってきた、セキュリティ対策の見直し
今週は、セキュリティ対策に追われる怒涛の一週間だった。
PHPの脆弱性問題をきっかけに、iPhoneやMacのソフトウェアを最新の状態にアップデートしたり、さまざまなオンラインサービスのアカウントを見直したりした。
普段からネットを通じて、銀行や金融サービス、SNS、買い物、ホテルや航空券の予約など、数え切れないほどのサービスを利用している。
そのため、ひとつずつアカウントを確認し、パスワードをより強固なものに変更。
パスキーや二段階認証が設定できるサービスは新たに設定し、今後使う予定のないアカウントは退会するなど、かなり大掛かりな整理を行った。
さらに、家族が所有するアカウントの中にも私が管理しているものがあるため、日本にいる家族と通話しながら、そちらのセキュリティ設定も見直した。
結局、毎日あれこれ対応しているうちに、連日の就寝時間は深夜3時頃。
十分な睡眠時間を確保できず、普段取り組んでいる英語学習の時間もほとんど取れなかった。
おかげで、心身ともにボロボロの一週間になってしまった。
もちろん、セキュリティ対策に終わりはない。
どれだけ設定を強化しても、リスクを完全になくすことはできないし、新しい脆弱性やサービス側の問題が見つかれば、その都度対応が必要になる。
やり始めると次々に気になることが出てきて、不安も尽きない。
だからこそ、どこかで区切りをつけることも大切だと思う。
できる限りの対策をしたら、あとは必要以上に神経質にならず、普段の生活に戻る。
その見極めも必要なのだろう。
今回、私がフィリピンに滞在しながら一連の対応をできたのは、普段から「1Password」というパスワード管理アプリを利用していたことも大きい。
パスワードを一元管理しているので、海外からでも必要なアカウントにアクセスし、設定変更を進めることができた。
今回のような緊急のセキュリティ対応は、いつ発生するかわからない。
長期留学や海外旅行などで日本を離れる予定がある人は、万が一のときに現地からでも各種アカウントの確認や変更ができるよう、事前に準備しておくと安心だと思う。
海外にいるからといって、デジタル上のトラブルと無縁でいられるわけではない。
むしろ、普段以上に自分のアカウントや情報を守るための備えが必要なのかもしれない。
フィリピンの屋台街で生徒交流!周りと比べて焦る気持ち

セキュリティ対策の見直しがようやく一段落した金曜日。
EBの神谷校長にお誘いいただき、生徒数人で近所の屋台街へ遊びに行った。
屋台街にはさまざまな食べ物やジュース、お酒などが並び、たくさんのフィリピン人で賑わっている。

夕食はすでに学校で済ませていたので、この日は搾りたてのレモネードジュースだけを注文。
1杯105ペソ(=260円)とリーズナブルだった。
実は、これまでほかの生徒とあまり話をする機会がなかった。
今回は初めて自己紹介をして、ゆっくり会話することができた。
話題は、校長からの学校の宣伝方法についての相談や、私たちが普段どんな授業を受けているのか、授業以外の時間にどんな自習をしているのかといった学習の話までさまざま。
人によって、これまでの英語学習の経験も、人生経験も、伸ばしたい英語力の方向性も違う。
そのため、授業の進め方や勉強方法も本当に千差万別だ。
ほかの生徒の学習方法を聞くことができ、とても参考になった。
なかでも興味深かったのが、学校独自のエントリーテストと定期テストの結果についての話だった。
私はコロナ前に英検準2級を取得したことがあるものの、その後はほとんど英語の勉強をしてこなかった。
中学レベルの文法もあやふやで、語彙力もかなり乏しい。
そんな状態で受けた最初のエントリーテストは、50点満点中16点だった。
| スコア | 英語レベル | 日本語の目安 |
|---|---|---|
| 50 | Advanced | 上級 |
| 48〜49 | High Intermediate B | 中上級B |
| 46〜47 | High Intermediate A | 中上級A |
| 43〜45 | Mid Intermediate B | 中級B |
| 40〜42 | Mid Intermediate A | 中級A |
| 37〜39 | Low Intermediate B | 初中級B |
| 34〜36 | Low Intermediate A | 初中級A |
| 31〜33 | High Beginner B | 初級上位B |
| 26〜30 | High Beginner A | 初級上位A |
| 21〜25 | Mid Beginner B | 初級中位B |
| 16〜20 | Mid Beginner A | 初級中位A |
| 11〜15 | Low Beginner B | 初級下位B |
| 6〜10 | Low Beginner A | 初級下位A |
| 1〜5 | Pre Beginner | 入門レベル |
一方、大学受験の頃に英検2級まで取得し、文法や語彙の基礎知識があるという男性のスコアは、なんと5点ほどだった。
彼は英会話に慣れていなかっただけで、1か月後の定期テストでは7点アップして12点に。
それに対して私は、わずか1.5点アップの17.5点だった。
彼の伸び幅を見ていると、きっとあっという間に追い抜かれるだろう。
やはり英語の基礎がある人は、会話に慣れると成長も早いのかもしれない。
それにしても、基礎知識がある彼が5点だったのに、文法も語彙もろくに身についていない私が、なぜ16点も取れたのだろう。
思い当たるのは、これまでの旅の経験だ。
世界一周の1年間を含め、海外を旅する中で、現地の人とブロークン・イングリッシュで意思疎通を図ってきた。
私の場合、頭の中で日本語を英語に翻訳するというより、相手の言葉に反応して、知っている単語やフレーズが瞬発的に口から出てくる。
もちろん、ほぼ単語の羅列なのだけど。
電車やバスに乗るときなど、ゆっくり英文を考えている余裕がない場面は旅先にいくらでもある。
乗り遅れないように、困った状況を切り抜けるために、必要に迫られて英語を使ってきた。
そうした経験が、多少なりともテストの結果に表れていたのかもしれない。
文法や語彙を勉強して身につけた英語とは違う、旅先でサバイブするための英語だ。
ただ、意思疎通はできても、正しい英文を組み立てる力や語彙力は全然足りない。
そんな自分の英語を変えたくて、私はフィリピン留学に来た。
周りの生徒が成長している一方で、自分だけが足踏みしているように感じ、内心かなり焦っている。
勉強方法を変えたほうがいいのではないか、自分には英語の才能がないのではないか。
そんなことを考える日もある。
5か月間の留学生活はあっという間だ。
せっかく時間とお金をかけてフィリピンまで来たのだから、帰国するときに後悔だけは残したくない。
周りと比べて落ち込むこともあるけれど、時間を無駄にせずに勉強を続けていきたいと思う。
マニラのスラム街・トンドで見た人々の暮らし
この土日は、日本から仕事でフィリピンに来ていた友人と一緒に、マニラ周辺のいろいろな場所へ遊びに出かけた。
トンドのスラム街から温泉、ルーフトップバーまで、なかなか盛りだくさんの2日間。
書きたいことはたくさんあるのだけど、すべて紹介すると長くなってしまうので、今回は少しコンパクトにまとめてみたいと思う。
それぞれの場所については、また後日、詳しい記事もアップする予定だ。

土曜日、この日は友人と一緒に、マニラ北部に位置するトンド(Tondo)を訪れた。
トンドは、東南アジア最大級ともいわれるスラム街を抱える地域で、マニラの中でも人口密度が非常に高いことで知られている。
特に、かつて大規模なゴミの集積場だったスモーキーマウンテン周辺は、貧困問題を象徴する場所として世界的にも知られてきた。

現在のトンドは、単に貧困地域という言葉だけでは語れない。
狭い路地に住宅が密集し、小さな商店や露店が並ぶなど、そこには多くの人々の日常生活がある。
一方で、住環境や衛生面、安定した仕事、子どもたちの教育機会など、さまざまな課題を抱える地域でもある。
今回は、Tondo Youth Pataasという団体の代表を務めるライアンという青年に、集落を案内してもらった。
この団体は、社会的に弱い立場に置かれた地域住民が、教育やさまざまな機会にアクセスできるよう支援するNGOだ。
主催するウォーキングツアーでは、地域の人々の暮らしや文化、抱えている課題について学ぶことができる。
そして、ツアーの収益の一部は、地域の子どもや若者たちへの教育支援に活用される仕組みになっている。
観光客が地域を訪れることが、単なる見学で終わるのではなく、そこに暮らす人々の未来を支えることにもつながる。
そんな取り組みに興味を持ち、今回のツアーに参加することにした。
参加者は私たち2人だけだったが、代表のライアンに加え、ボディーガード役の若者2人も同行してくれた。
少人数のツアーにもかかわらず、3人で案内してくれるという手厚い体制だった。

スラムツアーの中でも、特に衝撃を受けたのが、ゴミの集積場で食べ物を探す人々の姿だった。
ゴミの山から生ゴミを漁り、ジョリビーなどのファストフード店のゴミ袋から、客が食べ残したチキンを集めている人たちがいた。
こうして回収した食べ残しを洗浄・再調理したものは「パグパグ(pagpag)」と呼ばれ、1袋25〜35ペソ(=62〜86円)で販売されている。
そして、私の目の前で、そのpagpagを食べている少女の姿もあった。
日本では捨てられる食べ残しが、ここでは誰かにとって大切な食事になっている。
食べ残しなので、可食部分も少ない。
でも、そうした食べ物を必要とする人々がいるという現実が、目の前にあった。
死者の日に訪れたマニラ北墓地、そこに暮らす人々

ライアンのガイドで、マニラ北墓地(Manila North Cemetery)にも足を運んだ。
ここはフィリピン最大の墓地で、訪れた日はちょうど万聖節・死者の日(Undas)の時期。
多くの人々が先祖のお墓参りに訪れ、墓地はお祭りのような賑わいを見せていた。
驚いたのは、ここには実際に墓を住居として暮らしている人々がいること。
立派な墓はまるで小さな家のようで、その一部を住居として使っているのだという。
墓の清掃や管理をする代わりに、年間1,000〜2,000ペソ(=2,481〜4,962円)の報酬を受け取り、そこに住むことができるそうだ。

今回は、実際に墓で暮らす女性に住居の中を見せてもらった。
墓石をベッド代わりにして生活する姿は、あまりにも想像を超えていて、強烈に印象に残った。
マカティの夜景と、同じ街に広がる2つの世界

夜は、友人が宿泊しているマカティの「シティ ガーデン グランド ホテル」のルーフトップバーで夕食をとった。
ホテルの屋上から眺める夜景はとても美しく、高層ビルが立ち並ぶマカティの街並みが一望できる。
おしゃれなカクテルに美味しい料理。
そこには、昼間に訪れたトンドやマニラ北墓地とはまったく異なる世界が広がっていた。
高級ホテルのバーで食事を楽しむ私と、食べ物を求めてゴミの山を漁る人々。
その距離は、物理的にはそれほど離れていない。
私は昼間に貧困の現場を訪れたあと、こうして夜にはホテルのバーで食事を楽しみ、行きたい場所へ行き、自分の意思でこれからの人生を選んでいくことができる。
自分には当たり前のように選択肢がある。
一方で、生まれた環境によって、その選択肢さえ限られてしまう人たちがいる。
同じ街に生きているのに、あまりにも違う人々の暮らし。
その現実を目の当たりにして、戸惑いややりきれなさ、言葉にできない感情が次々と込み上げてきた。
美しい夜景を眺めていても、最後まで気持ちは晴れなかった。
マニラ近郊のラグーナ温泉へ!フィリピンの天然温泉を満喫

翌日は、友人と一緒にマニラ近郊にあるラグーナ温泉へ出かけた。
マニラからは少し距離があるため、今回は配車アプリの「In Drive」で車を手配し、往復することにした。
フィリピンといえば海やビーチのイメージが強いけれど、実はラグーナ州は天然温泉でも知られる地域。
マキリン山周辺の地熱によって温泉が湧き出ており、山の麓には温泉プールを楽しめるリゾートが点在している。
今回は日帰りで温泉を楽しめる「ラグーナ・ホットスプリング・リゾート(Laguna Hot Spring Resort)」へ。
お湯の温度はぬるめで、温泉の中にはたくさんの魚が泳いでいて、じっと浸かっていると足の角質を食べてくる。
午後からはマッサージの女性も来たので、プールのすみっこでアカスリマッサージもしてもらった。
温泉には、外国人は皆無で、気さくなフィリピン人がたくさん。
人によって英語力は様々で、アメリカに住んでいるという女性は英語がとても流暢だった。
たくさんの人に話しかけてもらえて、温泉に浸かりながら会話を楽しむことができた。
グランド・ハイアット・マニラのルーフトップバー「The Peak」

夜は、マニラのBGCにある「グランド・ハイアット・マニラ」のルーフトップバー「The Peak」へ向かった。
グランド・ハイアット・マニラが入る建物は、高さ318m、地上66階建てで、フィリピンで最も高い建物として知られている。
ルーフトップバー「The Peak」は、フィリピンで最も高い場所から街を一望できる。
ちょうど到着した時間はサンセット。
摩天楼の向こうに沈んでいく夕日がとても美しかった。

やがて空が暗くなると、BGCやマカティの高層ビル群が一斉にライトアップされ、今度はきらびやかな夜景へと変わっていく。
ヘリポートさえも見下ろすほどの高さには驚いた。

スパークリングワインやおしゃれなカクテル、美味しい料理を楽しみながら、翌日に帰国する友人といろいろな話をした。
ところが、途中からお酒が回ってしまったのか、私は突然、大泣きしてしまった(T_T)
天下のグランド・ハイアットのルーフトップバーで、日本人女性がいきなり大泣き。
スタッフも驚いただろうし、何より一緒にいた友人には申し訳ないことをした。
でも、私の中では、もう感情を抑えきれなくなっていた。
実は今、ラオスの貧困集落出身で、戸籍もなく、行政の支援からも取り残されている男の子に、少額ながら毎月経済的な支援をしている。
彼のことをずっと考えていたところに、今回トンドで目にした光景が重なった。
本当に生きるか死ぬかという状況にあり、支援を必要としている人たちがいる。
それでも、私は自分の全財産を投じてまで支援することはできない。
自分の人生も大切だし、旅も留学も続けたい。
世界を見て、さまざまな文化や人々の暮らしを知り、それをブログに書きたい。
でも、それで目の前の人たちの生活が変わるわけではない。
結局、私は自分が知りたいから旅をしているだけなのだ。
何かしたいと思いながら、何もできない自分。
自分の人生を楽しみたい気持ちと、目の前の現実を見過ごせない気持ちの間で、どうにも整理がつかなくなっていた。
美しい夜景が広がるグランド・ハイアットのバーで、私はただただ泣いていた。

